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誰と2009年を創り上げますか?
コピーしました コピーに失敗しました2009年が幕開けしました。
読者のみなさまは、この一年をどんな年にするかについて熟考し、ビジョンを描く年明けを過ごされたことと思います。
今、私の手元にはアメリカで購入したニューズウィーク誌のオバマ氏特集号「オバマのアメリカンドリーム」(2008年)があります。その中に書かれているトピックで、とても印象的だったものをひとつご紹介します。
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「イリノイ州のひとりの若手上院議員が、果たして大統領選など切り盛りできるのだろうか?」
多くのジャーナリストや活動家が皮肉をこめて投げかけたこの疑問に、オバマ氏は次の言葉を繰り返しました。
「私のリーダーシップスタイルを知りたいのなら、どのように大統領選挙戦を運営するか見ていてください」
(Newsweek Obama's American Dream, 2008 p.62)
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ご存知のとおり、オバマ氏は大統領選を見事勝利し、アメリカの新リーダーとしての役割を務めることとなりました。
そのリーダーシップスタイルの特徴は、ヒラリー・クリントン氏の大統領観と比較して次のように紹介されています。
【クリントン氏の大統領観】
「大統領のリーダシップとは、リーダーのビジョンを示すことであり、同時に上から方向性を示し、確実に実行させるようコントロールすることである」
【オバマ氏の大統領観】
「リーダーシップとは、リーダーのビジョン、判断とインスピレーションに完全に集中することである。マネジメントは他者に委譲し、実行することに責任を持たせる」
この違いは顕著です。
実際、オバマ氏は大統領選挙戦にて、支持者と「共に創り上げること」に集中し、そのプロセスに関わらせることで関係者を主体者にしました。彼の有名なセリフ「Yes, we can.」は、そのスピリットを象徴しています。
カリスマ的なリーダー像を見せて後を追わせるのではなく、共に歩むことによって、一人ひとりの能力を引き出し、主体者にし成功を共に祝う。
これを「キャタリティック・リーダーシップ(触媒型リーダーシップ)」と呼び、ステークホルダー(関係者)との間で化学反応を起こし、ひとりでは成しえないことを実現させる、新時代には必須のリーダーシップスタイルであるとアメリカのメディアは取り上げています。
彼のリーダーシップスタイルは、コーチングマネジメントを代表しているといえるでしょう。
現代の、組織におけるリーダーも、「私」から「私たち」に視点をシフトさせ、共に発展していくことが求められます。そのためには、コーチとしての関係性を築く高い能力が重要となってきます。
2009年の目標は、もう決められたでしょうか?
「私(I)」の目標ではなく、「私たち(We)」に焦点をあて、共に目標を実現していく人たちを特定する。目標達成にむけたスタートであり、周りの人たちと共に発展していく年の幕開けとなるでしょう。
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