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頭の中は体育会

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私はラグビー一色の高校時代を送りました。

私の通った高校は旧制中学の流れを汲む学校で、もともとは男子校。その校風はいわゆるバンカラ風でした。

ラグビー部の体質は、先輩は神様的な旧態依然とした上下の人間関係。そのような環境で育った私の基本的な考え方は、典型的な体育会系と言っていいと思います。

自分がキャプテンだったとき、どのようにメンバーを選ぶか。当然のことですが、その時点でもっとも信頼できるメンバーを選びます。言い方を換えれば、チームに対する忠誠心が高く、技術的に優れている選手を選ぶ。

どんなにラグビーがうまくても、自分勝手な選手は大事な試合には選びにくい。自分がトライすることばかり考えて、守備や周囲へのサポートの意識が薄ければ、信頼することはできない。逆に、人柄が良くチームに対する気持ちが強くても、ラグビーそのものが下手では当然選べない。

試合では、選手一人ひとりが与えられた責任を果たします。

刻一刻と変化するボールや選手の動きを瞬時に判断して、自分が動く。目の前に敵の選手が走ってくれば、自分よりもはるかに体格のいい巨漢選手だったとしても勇気をもってタックルにいく。怖いからといって敵前逃亡しては、試合には勝てない。それを行うには気持ちも技術も必要。その両者を持っている選手を信頼するわけです。

その頃の私は、試合に勝つために誰を選ぶかはキャプテンの仕事、しかし、メンバーに選ばれるかどうかは本人次第、と考えていました。自分自身のことで必死だったこともありますが、後輩をプレーヤーとして育成するという意識はほとんどなかったように思います。


ビジネスもスポーツと似ている部分があります。

私にとっては会社での日々の仕事は、ラグビーで言えば毎日、試合をしているようなもの。

試合には勝ちたい。勝てるメンバーとチームを組みたいと日々思っている。できれば、会社をラグビー部と同じように考えたいとさえ思っている。会社のマネジメントはそんなに単純でないことはわかってはいますが、頭の中ではすぐにラグビー部に置き換わるわけです。

能力を発揮できない部下に対して、ラグビー部なら、嫌ならやめろで済む話も、会社ではそうはいかない。能力を発揮するのは自分次第だ、と声を大にして言いたいところですが、それは、自分のリーダーシップの問題ともいえる。自分でコーチングの講演や研修で、そう言っているわけですから、その点については言い訳はできない。

幸いなことに、今のチームは、私が思う理想のチームに近づきつつあります。信頼できるメンバーと毎日試合ができるのは、本当に楽しく幸せなこと。そこに必要なことは、ともすれば本人次第だと開き直りたい私にとって、人を育てる、という観点なのだと思います。

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