Coach's VIEW は、コーチ・エィのエグゼクティブコーチによるビジネスコラムです。最新のコーチング情報やコーチングに関するリサーチ結果、海外文献や書籍等の紹介を通じて、組織開発やリーダー開発など、グローバルビジネスを加速するヒントを提供しています。
リーダーは関係性の中でしか育てられない
2009年03月04日
私の考えるリーダーの定義とは、次の3つです。
1.成果を上げていること
2.成果を上げ続けていること
3.次のリーダーを育てていること
リーダーの仕事は、自分の率いるチームや組織を生き残らせること、そして、さらに成長させることです。これは、リーダーひとりの力では、決して実現できないことです。
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1.成果を上げていること
2.成果を上げ続けていること
あるリーダーは、一時期、花火のように成果を上げてみせます。しかし、成果にこだわるあまり、チーム全体を疲弊させてしまい、次の年度に向けて、全体の力の蓄えがなくなってしまう場合があります。チーム内の競争をあおりすぎた結果として、チーム内の協力体制が薄くなり、成果を上げるために必要なソーシャルキャピタルの蓄積がなくなってしまうのです。
リーダー自身がスタープレイヤーとしてトップの成績を上げ、それを継続していたとしても、ともに働くチームメンバーの成績が上がらなければ、長期的な視点でみたとき、チームの成長はないでしょう。
では、どうすればいいのか。
まわりの人たち、つまりチームメンバーをうまくいかせることが、チームを成長させ、生き残らせる唯一の方法です。
まわりがうまくいく方法を考えるのはリーダーのもつべき大切な視点のひとつです。だからこそ、リーダーには、チームメンバー一人ひとりの個性や能力を把握することが求められるのです。
部下に対して共感するといった感情論は関係ありません。好き嫌いなども超えていく必要があります。リーダーに求められているのは、チーム全体の成長なのですから。そのためにはどうしたらいいかを考えたとき、自分の部下の能力を最大限に引き出す方法を考えざるを得ないということです。
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3.次のリーダーを育てていること
成果を上げ続け、チームや組織を生き残らせるために重要なのが、チームメンバーの中にリーダーシップを育てることです。
リーダーシップを育てるには、役職につけたり、権限を与えたりするよりも、チームメンバー一人ひとりの中に、リーダーとしての視点をインストールしてしまうのです。
もちろん「こういうものの見方をするように」と言ったからといって、これまでと異なる視点をもてるようになるわけではありません。新しい視点をもてるようにするためには、行動を変えるのが先です。
そのひとつは、自分以外の人の目標達成に協力させることです。チームメンバーが、それぞれ自分の営業成績だけを考え、それを競っているだけでは、たとえ業績は上がったとしても、真のリーダーシップは育たないでしょう。若いうちから、自分以外の人の目標達成に協力する機会を与えることが、リーダーシップを育てるひとつの方法です。
リーダーシップは、関係性の中で育成されるものです。会社に入り、数年が経って、時期が来て研修を受けだからリーダーになれるわけでもないし、リーダーシップが育つわけではありません。
リーダーシップは、入社時からチームの中で育成していくものです。リーダーは、チームという場を、部下のリーダーシップを育成する場にするのです。他人の目標達成に関心をもたせ、チーム全体の成長を考えるマインドを育てる。
そして、リーダーが、メンバー一人ひとりと関わり、その才能を開花させていくプロセスは、リーダーにとってのさらなる成長の機会でもあります。
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