Coach's VIEW

Coach's VIEW は、最新のコーチング情報やリサーチ結果、海外文献の紹介を通じて、組織改革や人材開発、リーダー開発グローバルビジネスを加速させていくヒントを提供するコラムです。


未完了の完了

今から11年前、最初にコーチングについてのトレーニングを始めたとき、
アメリカから来日したコーチは、私たちに興味深いことに取り組ませました。

それは、「未完了を一掃するプログラム」といい、
仕事、人間関係、パーソナルなことなど、いくつかの領域で
「やろうと思ってやっていないこと」
「やめようと思ってやめていないこと」
をチェックリストにし、
3ヶ月かけて完了させていく、というものでした。

私は、

□机の引き出しを整理する
□貯金通帳を整理し、現在持っている貯金額を把握する
□返事をしていない手紙に返事を書く
 (まだメールが今ほど普及していなかった時代だったので)
□家で不要になった家具を捨てる
□歯の治療をする

など、やろうと思っていて手をつけていないことや
なんとなく気になっているけれどやっていないことを
大小にかかわらず50項目ほどリストアップし、
毎週、何に取り組み、何を完了したかについて
コーチと話す時間を取りました。

ずっと気にしていた親不知を抜いたり、
気まずくなっていた友達との関係性の改善に取り組んだことが
今でも鮮明に記憶に残っています。

そしてその結果、多くのことが片付いたり前に進んだりして、
エネルギーが上がり、大きな事柄に取り組めるようになりました。

この「未完了の完了」は、
今でも時折機会を見つけては取り組んでいますし、
クライアントや周りにいる人たちにも薦めています。


さて、先日、なぜこの取り組みが効果的なのかについて、
脳科学の領域から書かれた本に出会いました。

『脳と気持ちの整理術』(築山節著:NHK出版 生活人新書)の
「『見えない敵』が脳を混乱させる」という章の中に、
次のような一節があります。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 解決しなければいけない問題があると、
 それにまつわる情報は脳に感情的な反応を引き起こさせます。

  (中略)

 「なんとなく不安だ」
 「気になる」
 「何とかしなければならない」

  (中略)

 不安や焦りだけがいつまでも残ってしまい、
 それがいくつも重なってくると、
 感情の制御が難しくなる。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *


たしかに、「未完了を一掃するプログラム」に取り組んで、
「なんとなく気になる」
「あ、これもしなければ」
「ああ、これもやらねば」
と、未完了や気がかりなことにアクセスした瞬間に
感情的な反応が次から次へと起こり、
疲弊していたのだということを実感しました。

そして、それに一つずつ取り組み、完了させることで、
「見えない敵」から解放されたのです。


コーチは、日常的に取り組むプログラムやエクササイズを数多く持っており、
コーチングの中でクライアントに実践させます。

私が体験したように、中には脳への負担を減らす内容のものもあります。

未完了の完了は、非常にシンプルでありながら、
そのインパクトは大きいものです。
まだ取り組んだことがない方は、ぜひ一度体験されることをお勧めします。

※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。

関連記事