Coach's VIEW

Coach's VIEW は、最新のコーチング情報やリサーチ結果、海外文献の紹介を通じて、組織改革や人材開発、リーダー開発グローバルビジネスを加速させていくヒントを提供するコラムです。


インテンション(意図)とインタレスト(関心)

リーダーの仕事とは、自らリーダーシップを発揮し、組織を動かすだけでなく、
組織全体のリーダーシップを開発しつつ、次のリーダーを育成することにあります。

コーチング研究所(※欄外参照)が、ある販売会社を対象に実施した
リサーチによれば、業績の上がっている店舗と、そうでない店舗を比較した場合、
業績の上がっている店舗の店長には、
「部下を教育しよう」、「次のリーダーを育成しよう」という
明確な「インテンション(意図)」があることがわかりました。

リサーチの結果では、その他の店舗の店長にも、
部下を育成しようという「インタレスト(関心)」があることがわかりました。
つまり、彼らは、「部下を育成するのは大事なことだ」、そう思っているわけです。

そう思っているのであればいいのではないか、と思うかもしれませんが、
単に「そう思っている」ことと、
実際に行動に移す意図や意志をもっていることは、大きく異なります。

「インテンション」と「インタレスト」。
その間の溝は、ずいぶんと深いものなのです。

部下を育てるというインテンションをもつ店長のもとで働く人は、
日々、単に数字を追いかけているだけではなく、
仕事を通じて、数字を上げることのできる能力を身につけているという、
もうひとつの目的に近づいていることを実感しています。

常に、「できる」ようになっていく、成長している、という実感とともにあります。

一方、思っているだけで行動が伴わない店長のもとで働く人は、
日々、数字だけを追い続け、自分自身の成長の足踏みを感じています。
その結果、仕事は単調で、未来の見えない状態が生まれます。

やがて、言ってもしようがない、誰にも相談できない、
などの症状が現れるようになります。


日本の組織の強みは、上司が部下を育てるのは当然である、
と思ってきたことにあります。

これまでの日本の組織では、上司は部下を誘い、自腹で飲み、
そこで、職場では話さなかったようなことを話しました。

しかし昨今、部下は上司の誘いを断る傾向にあり、
上司の側も、数字ばかりが評価され、部下育成に対して正当な評価が
与えられないため、型通りの教育に終始するようになりました。

このように、これまで自然に行われていたことも、
いまや、仕組みをつくらないとやれないようになってきました。

風土改革、組織改革の核は、
リーダーが、リーダーシップを発揮するだけではなく、次のリーダーを育成し、
その育成の過程で、その次のリーダーがさらに次のリーダーを育成する、
その連鎖によって、つくり出されるものだと思います。

どこかでそれが止まってしまうと、
風土改革や組織改革も、有名無実になるように思います。


ところで、インテンションをもつリーダーは、なぜ部下を育成し、
次のリーダーを育てようという「意図」をもったのでしょうか。

それは、彼ら自身が、「手塩にかけて育てられた」という
「経験」をもつからに他なりません。

残念なことですが、最近は、
その経験の少ないリーダーが増えているように思います。

私は、全体に「自分も育てられた」という経験が不足するこの時代において、
リーダーに対するコーチングは、さらに大きな意味をもち始めると考えています。

コーチは、リーダーの直接の上司ではない場合がほとんどでしょう。
しかし、コーチングというプロセスは、コーチングを受ける人にとって、
自分自身の成長を実感する機会となるはずです。

つまり、コーチは、リーダーに、自分のリーダーシップが
開発されていく「経験」を与えることができる存在であり、
同時に、組織におけるリーダーシップ開発を、
次の世代に引き継いでいく機会をつくり出すことのできる存在なのです。

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コーチング研究所LLP
  コーチ・トゥエンティワンとコーチ・エィが共同で出資している研究機関。

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