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会話の流れをつくる『コーチングフロー』
コピーしました コピーに失敗しました私にとって、毎週日曜日は、コーチ・トレーニング・プログラム(以下CTP、現在のコーチ・エィ アカデミア)のクラスの準備をすることが定例となっています。
コーチングには基本的な技術や理論があります。
しかし、それらを勉強しただけですぐにできるようになるわけではありません。たいていの場合、実際にやってみたらうまくいかなかった、ということが起こります。日常の職場のリアルな現場で、実際に相手を目に前に実践すると思うとおりにはできないのです。
私は、クラスの中で受講生に、次のことを必ずリクエストしています。
「トレーニングに参加するにあたり、クラスで学んだことを実践する相手を5人特定しておいてください」
たいていは直属の部下、チームメンバー、同僚を相手に選びます。お得意先のお客様を選ぶ人もいます。
さて、私はCTPで「コーチングフロー」というクラスを担当しています。このクラスでは、コーチングの流れ、つまりコーチングの会話の進め方について扱っています。
会話の中でコーチングを行うには、
1.セットアップする
2.目標を決める
3.現状を明確にする
4.現実とやりたいことのギャップを分析する
5.具体的な行動を決める
6.行動をフォローする
という6つの要素を会話の流れに取り入れながら行うのですが、頭でわかっていても、部下や同僚を目の前にするとなかなかこのとおりには実践できないものです。
クラスは連続4週間で1クールですので、同じメンバーが4週間電話会議で集結します。毎週1時間のクラスでは、この1週間の成果と課題を持ち込んできます。
「コーチングをする時間を30分と決めていたのに、相手がずっと話していて、2時間聞いてしまいました」
「部下とコーチングの時間を取ったけど、目標は特にないと言われ、その先どう進めたらいいか困りました」
「ギャップを分析するところまでは行くのだけど、その先の行動に移すところまで到達しない」
受講生の持ち込む課題は、リアリティに溢れ、聞いているだけで全員の1週間の取り組みが目に見えるようです。他のメンバーも同じようなことを体験しているので電話の向こうで耳をそばだてて聞いているのが伝わります。
「30分の目標を最初に相手に聞いていますか?」
「あ、それは、聞いていませんでした」
「まずそこからやってみてください」
「ギャップの分析までは行くんですね。ではちょっと練習しましょう。どなたか相手役をやっていただけますか?」
そしてすぐその場で5分間コーチングの練習をして、スキルアップのポイントを明確にします。
コーチングフローのクラスは、会話そのものを学習題材に扱うため、その内容は千差万別です。現場を再現するため、机上の空論ではなく「リアルな世界」がそこで繰り広げられます。
クラスを行う上で毎回実感することは、実際にやってみないとわからないことはたくさんあるということ。そして、受講生は他の人が職場でどのような会話を交わしているかを客観的に聞くことで、お互いから多くを学ぶということです。
クラスの締めくくりでは、「○○さんのタイミングのとり方を取り入れてみます」とか「○○さんの聞き方がとても参考なりました」というコメントを聞きます。
マニュアルにあるコーチングの理論と技術をもとに、職場で実践し、具体的な会話例と課題を持ち込んで検証する。コーチングフローのクラスは、刺激的な学習材料に溢れており、毎週日曜日はその期待でワクワクします。
※会話の流れをつくる「コーチングフロー」は、CTPの中の「コーチングフロー」クラスで詳しく扱っています。
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