Coach's VIEW

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コミュニケーションのインフラ

コーチング研究所の調査では、
企業によって、コミュニケーションのインフラの敷かれている状態が
異なることがわかっています。

ここでコミュニケーションのインフラと言っているのは、
イントラネットが敷かれているか、
使われているかといったことではなく、
社員間のコミュニケーションを活性化する目に見えないインフラ(慣習など)が、
どれだけ普及しているかを意味します。

たとえば、
何を話してもいい、どんな提案も受け付けられる、
上司は部下からの批判にも耳を貸す。
また、お互いに言いづらいことも言う。
知らないことを簡単に聞くことができる。

背景に安心感があり、
そして、それに支えられて、まわりへの関心が芽生え、
そして初めて、行動が起こります。

このインフラがあって初めて
効果的で、生産的なコミュニケーションが交わされます。

もしインフラがないと、
たとえ言葉が交わされていても、
そこには何も生み出されることがありません。
お互いを成長させない言葉のやりとりに、終始してしまいます。

では、会社の中のコミュニケーションのインフラは、
どのように創られているのか?

それは、上司が部下と関わるときの「前提」が大きく影響します。

上司が部下と関わるときに「部下を育てる」、
もしくは「部下の能力を開発する」という「意図」をもって関わるのであれば、
たとえ上司が使う言葉が辛辣に響くものであったとしても、
部下はその言葉を受け止めることができるでしょう。

上司のもつ前提によって、
部下の、上司からの言葉を受け止め方は、変わってきます。

上司がコミュニケーション上の不安を薄めることができれば、
それは、部下の関心を広げ、行動を促すことににつながります。


もちろん、多くの上司は、
部下を育成することを心がけているとは思います。

しかし、それをただ漠然と思っている場合と、
徹底している場合とでは、生じる結果はまるで違います。

実際に、上司が部下育成について、ただ考えているだけで、
行動に移すことができていない部署の業績は、
実際に部下育成を行動に移している上司のいる部署よりも、
業績が低い傾向にあります。

部下育成に強い意志をもった上司は、
どの部署に異動しても同じ意図をもっていますから、
どこでも同じように業績を上げることができるのです。


また、コミュニケーションのインフラをつくることは、
実は、次世代リーダーの発掘にもつながる行為です。

言うまでもなく、次世代のリーダー育成は、
リーダーにとっての大きな仕事のひとつです。
しかし、多くのリーダーは、
自分がいかにリーダーシップを発揮するかに注意を奪われ、
次世代リーダーの育成を後回しにする傾向があります。

Bersin & Associates のリサーチによれば、
次世代リーダーの育成をしていない企業は、70%以上にのぼります。

リーダーの仕事は、組織のリーダーシップを開発すること、
そして、次世代リーダーを「コーチ」することです。

組織におけるコミュニケーションのインフラとは、
次世代を育成するという上司、リーダーたちの「意図」によって紡がれており、
そのことが、普段のコミュニケーションを活性化し、組織の行動を刺激します。

育成する、開発する、という「意図」は、
会社の中にいくつ仕組みをつくっても、生まれるものではありません。
会社に対するロイヤリティを無理矢理もたせようとしても、
そうはならないのと同じです。

部下育成の意図は、体験的に身につけるものです。
「上司に育てられた」という体験があるかないかは、
後進の育成に大きな意味をもつのです。

コーチングスキルを学んでも、使えない人たちは実は少なくありません。
それは、実は、人材開発や育成に対する意志や意図が薄いからなのかもしれません。

 【参考文献】
  Enterprise Learning, Recruiting
  and Talent Management 2009
  Copyright Bersin & Associates

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