Coach's VIEW は、コーチ・エィのエグゼクティブコーチによるビジネスコラムです。最新のコーチング情報やコーチングに関するリサーチ結果、海外文献や書籍等の紹介を通じて、組織開発やリーダー開発など、グローバルビジネスを加速するヒントを提供しています。
3分間コーチ ~もっとカジュアルに~
2009年05月27日
「部下との会話を取ろうにも、なかなかまとまった時間を取ることができないのですが」
「場所は会議室を取った方がいいのでしょうか」
いざ、コーチングを部下に対して実践しようと思ったとき、いろいろな疑問がわいてくるようです。
確かに、30分から1時間をとって、会議室で部下に対してコーチする、というのもありだと思います。
しかし、ここでおすすめしたいのは、こうしたフォーマルなコーチングも良いのですが、もっとカジュアルなコーチング。部下とちょっとした時間のちょっとした会話、5分でもいい。いや、3分でもいい。ほんのちょっとの時間のその会話自体が、今より、ちょっと「コーチングカンバセーション」となれば、部下の可能性はうんと広がるはず、だと思うのです。
ある製薬会社の営業所長Aさんは、いわゆるネイティブコーチ。部下であるMRたちのモチベーションをあげ、望ましい行動を明らかにするのがうまく、営業所の成績は、常にトップクラスです。
Aさんの流儀は、「毎日3人の部下を決めて、朝と夕に3分間コーチすること」。MRが営業先へと外出する直前に、A所長が部下に声をかけます。
「今日の営業の戦略は?」
この突然の問いかけに、はじめは部下もびっくりしたそうですが、今では、もう定番のコーチングタイムのスタートです。
「今日、営業としてのお土産は? 何を持ち帰ってくる?」
所長の小気味いい問いかけに、部下は考え、答え、話しながらまとまってきます。今日一日の自分の行動をイメージし、エネルギーチャージして出発進行!
3分間後には、
「じゃ、いってこいや!」
「いってきます!!!」
A所長は、言います。
「答えがまとまっていなくてもいいんです。答えなんて、話しながらまとまるものですから」
この3分間コーチの効能は、彼自身が一番知っているようです。
そして、朝、コーチをした部下が営業から帰ってくると、A所長はすっと近づいて、
「どうだった? 朝の戦略はうまくいったかい?」
「点数つけるとすると何点?」
「明日に活かせるものは何だい?」
と投げかける。
こうしたコーチングのことを、「ブックエンディング(本立て)」と呼びます。部下の行動が寝転ばないように、部下の行動の直前と直後にコーチングで挟み込む。そのことにより、この営業所のMRたちの行動は、しっかりと積み重なり、業績に結びついているのでしょう。
上司と部下という構図ではなく、同僚間でコーチングをすることを、ピアコーチングといいます。
実は、私の所属するコーチ・エィでも、ピアコーチングを実践しています。年齢、経験に関係なく、お互いが声を掛け合ってコーチしあう。始業前の3分間、朝礼の時間を使って、その日、居合わせたスタッフで二人組を作って、コーチングをしあうこともあります。
「今日一日を、最高の一日にするために、何をしますか?」
「昨日までの自分よりも1%でも成長するために、今日、何をチャレンジしますか?」
このように相手から問われることで、一日をイメージしてから仕事をスタートさせることができ、効果絶大です。
実践的なコーチングには、堅苦しいルールなどはありません。実際に、皆さんも、物理的にまとまった時間もそんなに取ることはできないでしょう。
1時間のコーチングをじっくりするのもいいですが、3分間コーチを20回すると、もっと、もっと、効果は高いでしょう。
※「3分間コーチワークショップ」の詳細はこちら
この記事を周りの方へシェアしませんか?
※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。転載、その他の利用のご希望がある場合は、編集部までお問い合わせください。