Coach's VIEW

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コーチング道

私は、何かを究めるということがとても好きです。
「道」ですね。

もう20年も前になりますが、空手の道場に通っていたことがあります。
空手で要求されるのは、何も蹴りや、突きといった技術だけではありません。

当然のことですが、相手と向かい合った時に、どのような状態を自分の中に作り上げるか。
明らかに自分より強いと感じる相手と対峙したときに、平常心をどう保つか。
そういった、セルフコントロールがとても重要になります。

コーチングもまったく同じだなと思うことがあります。

聞く技術を身につけ、質問のスキルを体得し、要望するための言葉を手に入れる。

が、しかし、コーチングは当然、相手があってのことですから、
どの相手に対してでも同じように自分が獲得した技術が使えるかというと、
(恐らく多くのみなさんが感じられているように)そうではありません。

エグゼクティブコーチングをしていると、
自分よりもパーソナルパワー(人間力)が強いなと思う相手、
要するに上手(うわて)だなと思う方に対しては、どこか「臆して」しまったりします。

いつものように質問が出てこなかったり、フィードバックの切れがなくなってしまったり。
それをする技術は実はあったとしても、発揮する状態を自分で作れない。

最近は、圧倒されて自分のパフォーマンスが思うように出せないということも
減りましたが、それこそ「昔」はしょっちゅうでした。

エグゼクティブコーチングを仕事で始めたのは30歳です。
今42歳になって思いますが、30歳なんて若造です(すみません30歳の方...)
その若造が、百戦錬磨の50歳代、60歳代の経営者を相手にコーチするわけです。
頻繁に「あうあう」状態になっていました。

でも、とにかく当時は必死です。
なんとか、そういう方々を相手にしても自分を失わずにいたいと、
いろいろと試みました。

質問や相手を観察する技術もみんな大事だけれども、
それをいつも使いこなせる状態でいるために
何ができるかということを、一生懸命考えました。
いろいろ試した中で、最終的に今でも自分が選択していることを3つご紹介すると、


1.体のケア

  体がいい状態にないと、どうしてもネガティブな感情が起きやすくなります。
  最近は毎朝5時15分に起きて、30分間は体のケアに使っています。
  ストレッチ、スクワット、腕立て伏せ、腹筋。
  スロートレーニングを取り入れています。

  スクワットは、一度しゃがんで伸び上がるのに30秒かけます。これを20回。
  お陰で足の筋肉がものすごくつきました。
  週末は土日、1時間ぐらい走っています。

  体を鍛えるのは健康のためもありますが、あくまでも最上位に位置する目的は
  コーチングの場面で平常心を保つことです。
  筋肉がついて明らかに「びびる」ことが少なくなりました(笑)。


2.ネガティブな思考の排除

  「この人に評価されていないかもしれない」
  「うまく話せないかもしれない」
  「自分の話は聞かれていないかもしれない」
  誰と会っていても、自分に対して疑いをかけたくなるような思考が起こったら、
  まず自分に「それは事実か?」と問いかけます。大抵それで我に返ります。

  そして、「今すぐできることは?」と自分に問います。
  これを何度も何度も繰り返したことで、人と向かい合った時に、
  平常心を乱すネガティブな思考が「自動挿入」される量が格段に減りました。


3.シールドを作る

  これは私なりのやり方なので、同じようにやられてうまくいくかどうかは
  保証の限りではありませんが、、相手に否定的な態度や威圧的な姿勢を感じたら、
  相手と自分の間に、厚いガラスのシールドがあるところを想像します。

  相手の厳しい目線も、きついトーンの言葉もこちら側に入り込んでくることはない。
  全てガラスで跳ね返されてしまう。もちろんガラスですから、
  こちらからは全てを見通すことができます。

  シールドを使うようになってから、
  相手にむやみに影響されることが圧倒的に少なくなりました。


当意即妙に、質問し、承認し、フィードバックをすることは、
やはり自分の状態が良くないとなかなかできないように思います。

自分の状態をブラッシュアップし、いろいろな人を相手にコーチングを試し、
そして、(ゴルフで言えば)どんなときでも自分の「スイング」が乱れないようにする。

「コーチング道」をこれからも磨き続けていきたいと思っています。


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私がどのようにしてコーチ力を磨いてきたかを、1冊の本にまとめました。
ご興味ある方はぜひご一読ください。

「で?」の一言で、部下の意欲に火をつける─人を動かすコーチの9つの習慣
 (講談社+α新書)

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