Coach's VIEW

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縦を使うか、横を使うか

この不況下、多くの企業が厳しい業績に直面しています。
ところが、社内全てが業績不調かというと、そんなこともありません。

例えば、多くの営業拠点を抱えている企業の場合、
必ず「悪い拠点」と「良い拠点」があります。

企業全体として売上前年対比90%だとしても、一様に全拠点が90%なのではなく、
70%のところもあれば、120%のところもあります。
 
ですから、エグゼクティブのコーチングをしていて、

「業績厳しいよ」

という言葉が出たときには、

「全ての拠点が悪いのですか?」

と必ず聞くようにしています。
そうすると99%は、「いや、良いところもある」という答えが返ってきます。

そこで「違いは何ですか?」とお聞きするのですが、
なかなか明快な説明をいただくことはできません。
自社内にある「成功要因」の分析はあまりできていないようです。

結果として、違いを探るためのリサーチを先方に実施していただいたり、
あるいは弊社で請け負わせていただいたりします。


違いを生み出している要因、つまり変数は様々あるのですが、
ここ最近よく浮かび上がってくるのは、

・うまくいっていない拠点は「縦」の関係だけで日々の課題を解決しようとしている
・うまくいっている拠点は「横」の関係を日々の課題解決に大いに活かしている

ということになります。

例えば、営業所長と所員で構成される拠点の場合、業績が悪くなると
なんとか業績を回復させようと、所長が必死になります。
そうすると、所長は、所員一人ひとりの行動に細かく関わろうとします。
結果、所員は課題がある場合、所長に相談しに行きます。

ところが、所長はマネジメントばかりやっているのではなく
プレーヤーもやっていたりするので、相当に忙しい。
所員が3人ぐらいであればまだいいのですが、
もし10人もいた場合は所員は相談する機会をなかなかとりにくい。
だから、どんどん課題解決が後手に回ります。
所員のパフォーマンスも一向に上がらない。


一方、うまくいっている営業所の所長は、所員がお互いに相談したり、
サポートしたりできるような環境構築を、最初から念頭に置いているようです。

営業会議も「報告と叱責の場」ではなく、「お互いから学習する場」として位置づけ、
そのことを所員に繰り返し説いています。

だから、所長が忙しくても、所員同士が助け合い、日々の課題解決はどんどん進んでいく。
「縦」に教えを請う風土ではなく、「横」から学ぶ風土がそこにはできあがっています。


私たちは多くの管理職にコーチングのトレーニングを実施させていただいていますが、
コーチングを組織のパフォーマンス向上に活かしている方々の多くは、
コーチングというコミュニケーションのインターフェイスを、
自分の部下にも共有されているようです。

自分が部下をコーチするだけでなく、部下同士でもコーチしあえるように、
概念やスキルを分かち合う。
それを実現するための投資を、部としてされている管理職の方も少なくありません。


状況が厳しくなればなるほど、
マネジャーは「自分がやらなければ」「自分が関わらなければ」と
「縦」で課題を解決しがちです。
 
「横」をどう課題解決に活かせるのか、
一度思いっきり戦略的に考えてみる価値はありそうです。


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※「横」を活かすためにどんな工夫ができるのかについての事例をまとめた一冊、
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  最近上梓しました。ご興味のある方はぜひお手にとってみてください。

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