Coach's VIEW

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覚悟を決めている

ある60歳の工場長の話です。

彼は、十数ヶ所の工場を抱える大手メーカーの工場長であり、
これまで、行くところ、行くところで、
業績不振だった工場を復活させてきたことから、
「再生屋」の異名を持っています。

厳格な一面もありますが、自分の部下をどんなことがあっても
最後まで見捨てず大切にするので、部下からの信頼は厚く、
また、部下にとって父親のような存在でもあることから、
社内では「オヤジ、オヤジ」と敬われていました。


「どのようにしてそれほどの信頼を得ているのだろう」と
興味を抱いた私たちは、
この工場長にインタビューをさせていただくことにしました。

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彼は、一つの工場をだいたい一年半くらいで復活させてしまうそうです。
そして、二年目が終わるころには、「別の工場へ」と社長から特命辞令が降りる。

「辞令が降りたら、どうするのか」を聞くと、
真っ先に総務人事からメンバーのプロファイルを取り寄せるとのこと。
ここでのプロファイルとは、顔写真付きの社内での履歴書です。

そして、それらと一週間にらめっこして、
赴任の日までに全て暗記するのだといいます。

「ええ? 300人もですか?」と私が聞くと、
彼は、逆にびっくりした顔つきで、こう返しました。

「中島さん、それはMUSTですよ。実際にはもっと多いのですから」

「?」をつけた私の顔を見て、
工場長は、「わはは!」と高らかに明るく笑いながら言いました。


「次の工場の社員が100人だろうが、300人だろうが、
 彼らの顔と名前を覚えるのは当たり前。
 でもね、実際はその3倍、4倍くらいは覚えなくちゃだめなんですよ、中島さん。

 だって、彼らの後ろには、家族がいるんですよ。
 奥さんが、子供たちが、そして、両親が。
 その人たちのために、がんばらなくっちゃいけないんですよ、社員はね。

 中島さん、僕がこの会社で何て呼ばれているのか、知っていますよね?
 オヤジ、ですよ。オヤジ。

 やっぱり、オヤジと呼ばれるからには、家長として、家族や親戚のことも
 把握しておくべきでしょう。そう思いませんか?

 僕は当たり前のことをしているまでですよ」


「この人は決めているな」と思う瞬間でした。

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リーダーに対して部下たちが求めていることは、「覚悟」。

行き先を決める覚悟、目標を達成させる覚悟、メンバーを守る覚悟......など、
リーダーにはいくつもの覚悟が必要です。

そして、その覚悟を「決めているか、決めていないか」は、
部下には全てお見通しだということを忘れてはいけません。


......ここぞというときに、部下を見捨てて、真っ先に逃げてしまうリーダー
......口だけで、自らは全く動こうとしないリーダー
......「決めない」と決めているリーダー

もうこの状態では、リーダーとはいえないかもしれません。

あなたは、どんな覚悟を決めていますか?

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