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フィードバック
2010年04月28日
ゴルフの練習場で、ボールを打って、打って、打って、思ったような球筋がでるまで、ムキになって打つ。
しかし、練習場でいいボールが出たからといって、それがいいスイングだとは限りません。反対に、結果が悪くても、悪いスイングだったとは限らないのです。
つまり、結果からだけフィードバックを受けていると、いつまでも基本的なスイングを創ることはできなくなってしまいます。
練習の目的のひとつは、自分のスイングを創ることにあります。しかし、打ったボールの行方からだけフィードバックを受けていると、混乱してしまうのです。
いろいろな人からアドバイスを受けるのも考えもの
そうかといって、いろいろな人からアドバイスを受けるのも考えものです。
ゴルフのインストラクターは、よくこう言います。
「ボールから目を離さないで」
もうちょっと優しい人だと、こうです。
「ボールをもう少し長い時間見ていてください」
これで、目はボールに釘付けになる。
それから、こんなことも......。
「右にスエーしている」
「体重移動ができていない」
「ためがない」
「コックを解くのが早すぎる」
「スイングが速すぎる」
「もっとゆっくり」 .........。
これで、身体はがちがちになる。
そして、さらに、
「力を抜いて」
「力み過ぎ」
「はい、リラーックス」
「息とめないで」
とどめに、
「ああー」
「あーあ」
「うーん」
これでほとんど、手も足も動かなくなる。
ゴルフのコーチはもちろん、同伴者、上司や先輩からのアドバイスも、私たちを長い混乱へと導きます。
それなら、ビデオや分解写真はどうなのか?
それらはもちろん役に立ちますが、主観と客観とのあいだには、深い溝があり、写真を見てフォームを直すと、部分的にだけ直すことになります。そして結局、スイングを創るためには役立たないことがよくあります。
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受け身にならないこと
では、こうしたアドバイスやフィードバックはどう受け止めればいいのか? それは、受け身にならないこと。
まず、フィードバックを受ける前に、自分の目的や目標をはっきりさせておく。シングルプレーヤーを目指すのか、ハンディキャップ15ぐらいを目指すのか。それによって、受け取るフィードバックも変わってきます。
目標や目的の設定が曖昧なときにアドバイスを受けたりすると、そのアドバイス自体が、目標や目的になってしまうことがあります。
それから、フィードバックを受けるときには、たったひとつのフィードバックで判断しないこと。視覚、聴覚、触覚、いくつもの器官を通してフィードバックを受け、そして選択する。
フィードバックに対しては、受け身にならない。言われるがままに行動を変えると、自分の軸を失います。何に対してフィードバックを受けるかは、自分で選ぶこと、または、自分から相手に求めることです。
そして、自分の感覚に信頼を置くことです。
外からは違って見えても、自分のやりたいことがやれていることがあります。自分が調子よくやれているときには、そのフィードバックに応えるのがいいと思います。
それは、ゴルフだけではなく、仕事でも同じではないでしょうか。
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