Coach's VIEW

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コーチは質問を創造する

コーチは質問を創造する | Hello, Coaching!
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■コーチは、コーチ自身の経験をシェアしない
→それはメンターがすること 

■コーチは、アドバイスしない
→それはコンサルタントがすること

■コーチは、特定のナレッジを伝達しない
→それはトレーナーがすること

■コーチは、私的な内容を扱わない
→それはカウンセラー、セラピスト、ライフコーチがすること

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コーチは質問を創ります。

そもそもコーチの質問は「興味をかき立てる」質問である必要があります。クライアントが「答えてみたい」「考えてみたい」そう思えるような質問。その質問に答えることがワクワクするような質問である必要があります。

しかし、
「将来どうなりたいですか?」
「マネジメントについて何が知りたいですか?」
「3年後のビジョンを教えてください」

こうした、既に用意された質問には、ワクワクしながら答えようとは思わないものです。ですから、コーチはクライントとの興味を喚起するような質問を、相手に合わせて創造する必要があります。

定型の質問には、定型の答えしか返ってきません。それでは、アイディアにも行動にも変化は起こりません。

では、コーチが質問を創りだす時には、どこから質問を創りだすのでしょうか?


ひとつは「view」です。 そのまま、相手に見えていることを質問します。

「あなたには、どう見えていますか?」
「あなたには、何が見えていますか?」
「あなたは、どこを見ているんですか?」

人間はものごとを見たいようにみて、聞きたいように聞いて、そして自分に都合のいい解釈をします。また、見えているものも、聞こえているものも制限されており、全部が見えている訳ではありません。

そもそも、見る、聞く、これらの感覚は脳によって制御されており、何を見るか、何を聞くかは、見る前、聞く前に決定されている訳です。それでも、人は自分の見たもの、聞いたものが真実であると信じ込む傾向があります。それが、誤った判断や、予測を引き起こします。ですから、コーチはその前提に立って質問します。

「会社を外側からみると何が見えますか?」
「あなたは、部下のどういうところを見ていますか?」
「あなたは自分のどこに目を向けますか?」

「view」からの質問は無限に近くあります。コーチングセッションを通して「view」を扱うことで、クライアントも周りの人に聞くようになります。

「この会議は君にはどう見えている?」
「僕と上司との関係は君にはどう映っている?」

これによって、自分の限られた感覚を通して手にする情報だけで判断したり、行動したりするのではなく、もっと多くの「view」からの情報をもとに、観察の幅を広げ、選択肢を増やすことができます。

私たちは学校の試験に慣らされていますから、質問されると、たったひとつの、正しい答えを出さなければならないと思い込みがちです。しかし、コーチングにおいては、たったひとつの正しい答えというものがあるわけではありません。「何が見えますか?」に対しては、何が見えていてもいいのです。 何に視線を向けるのが正しいのかを教えるのは、コーチの仕事ではありません。

「何が見えますか」
「あなたには何が見えますか」

そのたびに、クライアントは「私には、何が見えているのか?」 という質問を自分にします。お気づきのように、人は、外からの質問を内側で反芻します。その時に「私には」という主体に対する気づきがあり、その「私」は今何を見ているのかを考えます。そこには、私が見ている対象物だけではなく、それを見ている私も見えることになります。 そうすることで、私と対象物との関連や関係性も見えてくるようになります。

このように、「view」から質問を創ったり、同じように、目的から、状況から、人から、そしてその組み合わせから質問を創りだしていったりすることができます。

また、どんな質問をする時も、コーチは自問します。

「この質問はクライアントの興味をかき立てるだろうか?」

クライアントの中には、組織や人にとって役に立つような本人も気づいていない可能性と リソース(資源)があります。ただ、誰かがそれにアクセスしなければ、埋もれたままの金貨になってしまいます。

誰かが、「金貨はどこにありますか?」という質問をしなければ、誰も金貨を探そうとはしないでしょうし、質問されることで初めて、人はこれまでとは違う所へ注意を向けるようになります。

今回は、相手に向けた質問についてお話ししましたが、次回は自分に対してどのような質問が可能なのかについて、お話ししたいと思います。

【参考文献】
2010 Executive Coaching Survey
Copyright Sherpa Coaching LLC.

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