Coach's VIEW

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ビジョンは、常に先を行っている

私がコーチをつけるようになって、早9年になります。

コーチをつけ始めのころ、私はまず、そのコーチと、将来のビジョンについて話をしました。

「コーチAの3年後ってどうなっているんですか?」
「3年後の社員数はどのくらい?」
「そのときの社員は、今、まだ出会っていない社員ですが、彼らは、中島さんに、どんな表情で、何を話しかけていますか?」
「そのときのオフィスはどこで、そこから何が見えますか?」

コーチA創業まもない時期、私は足元のことで精一杯でしたから、こうしたコーチの問いかけに、はじめは面食らいました。とはいえ、コーチをつけていなければ、なかなかそういった未来のことに目を向けることはできなかったと思います。

その場で、いろいろと答えていくと、だんだんと映像が浮かんできます。そして、語れば語るほど、その映像はどんどん具体的に、そして鮮明になっていきます。

セッションで話したログは、即座にメールで送ってもらっていました。今でも大切に残してありますが、読み返してみると、なかなかおもしろいですね。

今から10年前に語った「3年後」......。結構、青臭いことも語っています(笑)。


その「3年後」は、今はとっくに過ぎました。結果はどうだったかというと、......結構、実現化しているんですよね。もちろん、全てが全て、完了しているわけではありません。でも、驚くべきことに、7割くらいは、そのとき思っていたとおりの状態になっているのです。

2週間に1回、ビジョンを描き続けていたことは、今から考えると本当によかった。もし、1回きりだったら、未来は、そうはなっていなかったかもしれません。

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ビジョンを描き続けるにあたって、印象深いのは、2回目のセッションのときです。

私は1回目のセッションで、かなり詳細に3年後のイメージを語ってしまっていたので、その2週間後のセッションで、コーチから3年後のイメージをもう一回問われたときは正直、頭の中でこう思ったものです。

「え? それは、前回、聞いてくれたし、俺も話したじゃん。もういいよ」と。

コーチにもその思いを正直に伝えました。そこで、返ってきたコーチの言葉。いまでも忘れません。

「中島さんは、2週間前に3年後のコーチAのイメージを語ってくれましたね。で、あれから、2週間経っているわけです。だから、3年後のイメージも、あれから2週間経っていてほしいのです」

それを聞いた私は、頭をパコーンと叩かれたような気持ちになりました。

私の「ビジョン」に対するイメージは、一度立てたら固定されて、そこに向かって「現在」がどんどん近づいていくイメージでした。

しかし、コーチの問いは、新しい。3年後は、常に「現在」の進行とともに、どんどん先に行っている。つまり、現在と3年後は、常にその間は、3年間空いているから、いつまで経っても3年後には追いつかない。

だから、3年後の「2週間後」を語りましたよ。もちろん、3年後の「半年後」も語りました(笑)。

でも、これを続けていると、ビジョンが立体的になってくるんです。一枚の絵ではなく、空間が創られていく。

時には、重なっていてもいい。同じことを何回も語るときもありました。

何回も、何回も、油絵のようにビジョンを塗り重ねていく。こうして、ビジョンを描き続けることによって、モノクロがカラーに、モザイクがハイビジョンに、そして、静止画だったものが、動画になっていきました。

そうなると、もう居ても立ってもいられない。もうごく自然に、そこに行きたくなる。行動したくなるんです。

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あれから、丸9年。いつまでも追いつけない3年後に向かって走り続けました。

そして、コーチAも創業10年目。私は、次の10年ビジョンを、仲間たちと描き始めています。

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