Coach's VIEW は、コーチ・エィのエグゼクティブコーチによるビジネスコラムです。最新のコーチング情報やコーチングに関するリサーチ結果、海外文献や書籍等の紹介を通じて、組織開発やリーダー開発など、グローバルビジネスを加速するヒントを提供しています。
創造的な組織づくりを担うリーダーをコーチする
コピーしました コピーに失敗しました昨年末、弊社のスタッフが国際版『ヘラルドトリビューン』の記事を
紹介してくれました。
彼女はこの記事を、自分が通う英会話学校の先生からシェアしてもらったようです。
自分の仕事の内容を、片言の英語でなんとかその先生に伝えると「君のやっていることはまさにこれじゃないか!」と言って、その記事を持ってきてくれたとのことでした。
記事の名前は「アイデア工場の『戸』を叩く」。その記事では、アメリカにある「Jump Associates」という50名の社員を抱える企業が紹介されていました。
彼らのビジネスは、企業が 「高度に不透明な問題 (highly ambiguous problems)」を解決するためのアイデアを思いつくことを、支援すること。
例えば、P&Gは、Jump社に「水の未来」について考えるための支援を要請した。水が、石鹸や洗濯洗剤のように、どうしたら必要不可欠な商品になり得るか。その解を見出だすためのサポートを依頼したことがあるそうです。また、GEもこれまで10件以上のプロジェクトをJump社に依頼してきたのだといいます。
依頼を受ける際、彼らは顧客に必ずこう言うそうです。
「私たちに答えを求めないように。私たちは、あなた方が自分たちのための質問を組み立てるのを助け、あなた方は、それに自分たちで答えるのです」と。
(Don't ask us for the answers. Let us help you frame the questions, so you can answer them yourself.)
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私たちは、脳というデータベースに日々、様々な情報をインプットしています。新聞を読み、ネットにアクセスし、人の話を聞き、外の景色を見て、膨大な量の情報を脳に投げ込んでいきます。
ソリューションを手にするため、私たちには、この脳というデータベースにアクセスし、必要な情報を探り当て、並び替え、繋ぎ合わせていくことが必要です。情報は、脳にすべて「ローデータ」として蓄積されていますから、それをソリューションに加工するには、適切な質問を、適切に構造化して、脳にぶつけていかなければなりません。
まさにJump社の言うとおりです。質問を組み立てる必要がある。
ところが、往々にして、人が自分に投じる質問はパターン化していて、必要な情報を脳の中に探り当てられなかったり、また、質問が散発的で、ローデータをうまく繋ぎ合わせられなかったりします。
リーダーとして成長するというのも、ある意味、高度に不透明な問題を解決することです。
リーダーは、本も読むでしょうし、他人の経験も聞くでしょうし、研修も受けるでしょう。ただそうした情報を、自分が置かれた現状に照らし合わせ、自分のタイプや強みも考慮し、最適なリーダーとしてのあり方に昇華させるには、やはり、適切な質問を適切に構造化して脳にぶつける必要があります。どのように質問を組み立てるかがソリューションの良し悪しに影響を与えるからです。
記事はさらに『イノベーションの向こう側(The Other Side of Innovation)』の著者である、ニューハンプシャー州のダートマス大学教授の言葉を紹介しています。
「私は自分自身を、『思考リーダー(Thought Leader)』と捉えています。コンサルタントは、問題を解決します。それは、私の任務(role)ではありません。私が目指しているのは、私の『思考リーダーシップ(Thought Leadership)』を通じて、企業が、彼ら自身の会社の問題を自己診断(self-diagnose)し、彼ら自身のソリューションを自己発見(self-discover)することです」
この教授の発言は、まさに我が意を得たりという感じです。
私たちが担っているコーチという役割もまた、リーダーが自身および自身の会社の問題を自己診断し、ソリューションを自己発見することを、適切な質問を、適切に構造化させて投げかけることによって実現しようとしているわけです。
今、企業のリーダーは、大変高度で不透明な問題に直面しています。それを乗り越え、新たなフロンティアを切り拓くためには、もはやたったひとつの秀逸な解では不十分です。
日々、自分自身で組織を診断し、ソリューションを自己発見し続けることが求められています。
イノベーションは、たまに起こればいいものではなく、今日も、明日も日々起こしていく必要のあるものです。
そうした企業のリーダーのニーズに応えて、私たちはコーチとして、適切な質問を、適切に構造化させて、投げかけ続けることを選んでいます。彼らが彼女らが、自らの創造性を決して失うことのないように......。
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1月1日付けで、株式会社コーチ・エィと株式会社コーチ・トゥエンティワンは合併し、新生「株式会社コーチ・エィ」が誕生しました。
創造的な組織づくりを担うリーダーをコーチすることを通じて、これまで以上に組織変革の実現を強くサポートさせていただきたいと思っております。
また、日本国内に留まらず、グローバル規模で、リーダーが組織をドライブし、組織力を高めていくことを支援していきます。
新生コーチ・エィをどうぞよろしくお願いいたします。
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