Coach's VIEW

Coach's VIEW は、最新のコーチング情報やリサーチ結果、海外文献の紹介を通じて、組織改革や人材開発、リーダー開発グローバルビジネスを加速させていくヒントを提供するコラムです。


未来が見えてくる

「もしも、未来が見えたら......」

それは、経営者やマネジャー、
いや、すべての人の夢かもしれません。

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先日、「フードアレルギー」の検査を受けました。

よく知られているのは、
食べてすぐ反応が出る「即時性食物アレルギー」。

しかし、今回、私が検査を受けたのは
「潜在性食物アレルギー」「遅発性食物アレルギー」などと
呼ばれているものです。

食べてから反応が出るのは、2時間から長いもので数週間後。

反応も「即時性」のような劇症ではなく、

「なんとなくだるい」
「なんとなく調子が悪い」

というような弱反応なので、
多くの方は、自分自身にアレルギーがあることに
気づかないのだそうです。

ところが、最近の研究結果によると、
頭痛、肩こり、めまい、下痢、疲労感、肌荒れ、ニキビ、
アトピー症状、喘息、高血圧、鼻炎、鬱など、
さまざまな症状や不定愁訴の原因である可能性が指摘されています。

私の検査結果からは、
・鶏卵を含む卵製品全般
・アスパラガス
・ブロッコリー
......など、他にも数項目の食品に強い反応が出ていました。

この結果を見ながら、
メディカルコーチの資格を持つ看護師による
説明を受けました。

「桜井さんは体組成の検査で筋肉量が多く、
 基礎代謝が一般より高いという結果が出ているので、
 本来、もっと痩せていてもいいはずです。

 太っているのはアレルギーが原因かもしれません。

 高血圧も、アレルギー性鼻炎も、
 フードアレルギーが影響している可能性がありますね」

説明を聞いた私は、その場でチャレンジすることを決め、
その後これまでの約3か月間、これらを口にしていません。

結果は、次のとおりです。

「体重はマイナス3キロ」
「アレルギー性鼻炎が軽くなったので、
 薬を飲まなくなった」
「血圧が少し下がり、飲む薬の量が3分の1に減った」
「お酒を飲んでも、翌朝の体調が良い」

自分自身、この変化にはただただ驚いています。

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ハーバード・メディカル・スクールの
Frates 医学博士がまとめた
メディカルコーチングの実施報告書によると、

「コーチングを受けたグループは、受けていないグループより、
 心臓血管疾患の患者のコレステロール値が下がったり、
 喘息患者の再入院率が下がったりと、良い影響が出ている」

のだそうです。

このように、近年、メディカルコーチングの成果は
続々と発表されています。

メディカルコーチングが成功しているのは、
患者に成果を上げる構造を持たせやすいからだと考えられます。

・最初に、検査やアセスメント等からの適切なフィードバックがある
・新しい行動をスタートさせるか、行動をチェンジするか、行動をストップさせるか、
 改善のための具体的な行動を決めやすい
・行動を継続させるためのメディカルコーチングの実施を、
 患者自身が望む傾向がある
・定期的な検査時など、
 アセスメントによるフィードバックループを作りやすい

これらの要素は、
ビジネスシーンにおけるコーチングを成功させるための要素と
全く同様です。

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現在、私はアパレル関連企業の社長をコーチしています。

この会社は、小売りの店舗を10数店展開するなど、急成長しています。

社長はとても明るく、ユニークな人物。

コーチングセッションの中では、ことあるごとに、

「社員には、のびのび、楽しく、いきいきと働いてほしい。
 そのことはいつも社員に言っているし、
 そのポリシーは社員にも浸透していると思う」

という趣旨の言葉が出てきます。

では、本当のところ、社員はそのことについてどう思っているのか?
「社員全員を対象にリサーチをしてみよう」ということになりました。

二人で作ったアンケートは実にシンプル。

「仕事をしていて、何に幸せを感じているか」
「仕事をしていて、何に不満を感じているか」

リサーチ実施前に、
どのような回答が返ってくるかを社長に聞いたところ、
「80%はポジティブな答えだと思う」という予想をしてくれました。

ところが、結果は想像以上にネガティブなものばかりでした。

特に、店舗勤務のように、現場で働く若い階層ほど不満が多い。
自由回答の様子では、離職者も出かねない雰囲気です。

次の回のコーチングセッションで、
回答結果を見ながらその社長はこう宣言しました。

「桜井さん、今月中に、お店を全部回ることにします。
 お店を回って、一人ひとりにこの結果を見せて、
 どんなことを思っているのか、生の声を聞いてみようと思います」

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コーチングの成功は、
いかに有効なフィードバックを得られるかどうかにかかっています。

自身のアレルゲンによって調子が悪くなっているかもしれないという事実と
今後もそれが続く可能性があるという事実が
明確にフィードバックされれば、
誰に言われなくても、自ずから食べるのをやめるものです。

社員の不満の要素が、
今後の経営に悪影響を及ぼす可能性があると分かれば、
新たな行動を起こすものです。

もし、あなたが歩いていて、
足元の亀裂に気づくことができれば、
亀裂が広がる前に埋めてしまうこともできますし、
避けて通ることもできるでしょう。

つまり、有効なフィードバックがあれば、
「未来が見えてくる」のです。

それは、コーチングを成功させるための
最も大切なポイントだと言えるでしょう。

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