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ティーチ型とコーチング型

ティーチ型とコーチング型 | Hello, Coaching!
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「今、2つのクラスを受けているんですけど、それぞれクラスコーチ(進行役)のアプローチがまるで異なっていて、本当に面白いです」

先日、リーダーシップ開発プログラムの参加者の方が、目を輝かせながら伝えてきてくれました。

弊社では、1対1のコーチングに加え、企業に勤めるマネージャーを対象とした、上記のようなプログラムも提供しています。電話会議システムにより、15名ほどの参加者とひとりのクラスコーチ(進行役)をオンラインで結び、同じメンバーが毎週1回集まり、日々の取り組みや課題について話し合うのです。

「新しく学んだことを実践してどうだったか」
「実践してみて、どのような成果が生まれたか」
「今現在は、どのような課題が残っているか」

各クラスは、参加者のシェアによって展開していくため、あらゆるクラスがリアルタイムであり、インタラクティブ(双方向)。ひとつとして、同じようなクラスはありません。

15人の会話を促す進行役であるクラスコーチも、自然とそれぞれの特異性を発揮するようになります。


冒頭のシェアに対して、参加者の方に具体的に伺ってみたところ、次のような返事が返ってきました。

「Aさんがリードするクラスは誰かが質問すると、そのことについていろいろとエピソードや豊富な知識を紹介してくれて、とても勉強になります。でも、Bさんはやり方が全然違うんです。ある人が何かわからないことを質問しても、Bさんは答えない。でも、『このことについては、Wさんが知っていると思います。Wさん、いかがでしょうか?』と適確に答えられる人を指名するんです。すると、Wさんは、本当にそれを知っていて、私たちが求めているシェアをしてくれる」

「Bさんは、自分からは、意見に対して回答したり、教えてくれたりはしないんですか?」

「ほとんどないですね。その代わり、参加している人同士が意見交換をしたり、ほかの人の意見に加えて発言したりと、とにかくみんなで場を作り出していく、というアプローチに長けているので、こちらもエネルギーが自然と高まってくるんですよ」

大きな違いは、Aさんはティーチ型、Bさんはコーチング型のアプローチをとっていることにあります。

もちろんクラスの目的によって、どちらが相応しいかは変わってきますので、一概に正しい、間違っている、と言うつもりはありません。むしろ、両方を使い分けることが重要ともいえます。

ティーチ型は文字通り、新しい知識を教える、提供することです。

Aさんは、話を聞きながら、「このことについて自分は何を知っているだろうか」と自分の内側の引き出しに意識を向けながら聞いているのでしょう。その結果、確実で役に立つ情報が出てくる。

では、コーチング型のBさんがやっていることは何でしょうか?

参加者の方は続けます。

「私、Bさんが使っている方程式が見えてきたんですよね。Bさんは、人の話を本当によく聞いている。話している人の背景にはどのようなものがあるのか、どのような人たちと関わっているのか、どのようなところに強みがあるのか、ということを観察しながら聞いているんだと思うんです。だからすぐに、『○○については■■さんが知っている』と判断し、指名ができる。Aさんのクラスが『Aさん対参加者15名』という感じだとすると、Bさんのクラスは15名の参加者がお互いに関わって作り上げている感じですね」


2000年に発売された"The Leadership Pipeline : How to Build the Leadership Powered Company "(※1)は、プレイヤーがリーダーへと上っていくプロセスにおいて起こってくる転換期をテーマに取り上げた、それまでにないリーダーシップ論を展開した1冊です。

その中で著者は、1つのユニットをマネジメントする上で、リーダーには、次のような意識改革が必要だと述べています。


リーダーがひとつ上の段階に行くには、コミュニケーションスキルの変容が求められる。それは、話すスキルから、聞くスキルの開発である。リーダーは部下と接するときは次の問いを持つべきである。

・彼らは何をやっているのか
・何が開発されているのか
・彼らは十分に戦略を理解しているか
・どのような課題があるのか
・どのようなアイディアを持っているか
・どのようなイノベーションを持っているのか

以上のようなことを聞くことができるようになってはじめて、その人は成熟したリーダーになったといえるであろう。


Bさんはこの数年間、コーチとしての活動に加え、営業やカスタマーサポートなどを通じて、数多くのお客様とのやりとりを重ねてきました。また、プロジェクトリーダーとして、社内のメンバーをまとめてきました。

お客様やメンバーと関わっていく過程で「相手に関心を持って聞く」ことを日常的にトレーニングしてきたのでしょう。

・今、この人のエネルギーレベルはどのくらいだろうか?
・この人は、今どのような環境から電話してきているのだろうか?
・この人は今、どういう人たちと仕事をしているのだろうか?
・この人は今、何を目指しているのだろうか?
・この人は今、何を求めているのだろうか?
・この人はこれから先、どうなりたいと思っているのだろうか?

コーチング型リーダーシップを開発するのに、日々の実践は欠かせません。中でも大きな要素を占めるのが「何を観察するか」ということです。

「この人はどんな人なのだろう?」

この大きな問い(関心)について観察を通じて、いくつもの小項目を作り続けることが、相手のパフォーマンス向上、ひいては目標達成につながっていくのではないでしょうか。

【※1】
"The Leadership Pipeline : How to Build the Leadership Powered Company "
Ram Charan , Stephen Drotter , James Noel (著)

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