Coach's VIEW

Coach's VIEW は、最新のコーチング情報やリサーチ結果、海外文献の紹介を通じて、組織改革や人材開発、リーダー開発グローバルビジネスを加速させていくヒントを提供するコラムです。


会社全体の現状を測定する

会社を経営する上で大切なのは、
現場を知ることだとよく言われます。

しかし、実は現場にこだわりすぎると、全体が見えなくなることがあり、
それはそれで危険なことだと私は思います。

なぜなら、そこで起こっていることと実際の全体像とは別物だからです。

よって、リーダーは、今起こっていることが
組織全体にどう影響を及ぼしているのかを
見ることができなければなりません。

今現在会社の業績が良くても、全体としてみた場合、
組織が衰え始めていることがあります。

一方で、たとえ今現在の業績が悪くても、
全体としてみた場合は成長しているということもあるのです。

会社は、経営者の意思によって、
いくらでも寿命を延ばすことができます。

では、どうやったら、その寿命を延ばしていくことができるのでしょうか?

私自身、現在4つの会社の経営に携わっていますが、
ずっと興味があったのは、

「表面には見えない会社の衰えを、一体どうしたら感知できるのか」
「どういう兆しがあれば、
今、会社は衰えの坂に入った、と判断できるのか」

ということでした。

そして、数々の組織変革に直接関わったり、
国内外の文献に触れたり、さまざまな研究を重ねたりした結果、

「『会社で起こっていることをどう判断したらいいか』という
スタンダードそのものが世の中に存在していない」

ということが分かりました。

だからこそ、表面的な業績にかかわらず、

「自分の会社が今どのような状態にあるのか」
「会社にはどのような暗号が走っているのか」

そういう疑問を言語化したいとずっと思ってきました。

それは、経営者から一般社員まで、
誰もが自分でその状態を判断できるような基準です。

先日発売された英語版『エコノミスト』に次のような記事がありましたので、
ここにご紹介します。


「上」からの眺め、「下」からの眺め
~上司と部下が持つ企業文化に関する見解の違い~

『How』の著者であるDov Seidman氏の依頼を受け、
ボストン・リサーチ・グループが行った
「ナショナル・ガバナンス、カルチャー、リーダーシップアセスメント」は、
米国企業の膨大な社員サーベイをもとに作成されている。

このアセスメントから、
実に43%の社員が、自社の企業文化を

「命令と統制」
「トップダウン管理型」
「威圧的リーダーシップ型」

だと回答していることが明らかとなった。

これらは、Seidman氏が

「盲目的従属(blind obedience)」

と呼んでいる状態である。

また、54%という大多数を占めたグループは、自社の企業文化を

「『トップダウン型』ではあるが、
 熟練したリーダーシップがあり、
 また、たくさんのルールや『アメとムチ』が存在している」

と回答している。

Seidman氏は、この状態を

「理解に基づく黙従(informed acquiescence)」

と呼んでいる。

一方で、

「自治型(self-governance)」

すなわち、社員全員が、
企業のミッションに沿って行動するような
一連のコアとなる規範や価値が存在していると答えたのは、
たったの3%に過ぎなかった。

(中略)

悲喜劇的な話だが、今回、上司は部下の本音に反し、
しばしば持論を過信する傾向があることがわかった。

上司たちは、平均値に比べ、およそ8倍の割合で、
自社の企業文化を「自治型」であると回答していたのだ。
(気楽に構えている人事担当者では、さらに楽観的な結果も出ている)

また、27%の上司が、

「自社の社員は会社からインスピレーションを受けている」

と回答しているが、悲しいことに、
この結果に同意している部下は、たったの4%であった。

同様に、41%の上司が、

「自分の企業は単なる営業的な数字ではなく、
 『価値』に基づいたパフォーマンスに重きを置いている」

と回答しているが、一般社員の回答結果は、14%となっている。

(以下略)

【出展:The view from the top, and bottom
 The Economist, September 24th, 2011】


この文献は、
組織の上層部がいかに組織全体の状態を過信して見ているか、
また、一般社員との認識に乖離があるかを表しています。

そして、この状態が続けば、
たとえ目の前の業績が良くても、
知らず知らずのうちに組織は衰え始めていくかもしれません。

コーチ・エィのコーチングでは、導入前に、
組織全体の状態を把握するためのリサーチを実施します。

まず、「上司は、部下に対して、
どのようなコミュニケーションを取っているか」
といった観点から情報を指標化します。

その情報を組織全体で集積することで、
表面的な業績だけでは測ることのできない、
その組織全体のコミュニケーション・インフラの充足度を
計測するのです。

COMPass(コンパス)と呼ばれるこのリサーチでは、
組織風土の状態と傾向が、ピラミッドの形で表れます。

そして、その結果を共有し、現状の組織の全体像を把握した後、
組織目標達成に向けたコーチングを導入していきます。

どの会社も、商品開発やサービス開発などのイノベーションには
必死で取り組みます。

新しい商品やサービスは、
その会社の業績に直結するものとして考えられるからでしょう。

もちろんそれは、企業の存続に欠かせない、
重要な取り組みのひとつです。

しかし、「業績数字だけでは判断できない会社の状態」や
「自分の会社は今どういう状態なのか」を把握することも、
本当の意味での組織変革につながる重要な指標です。

「経営者から一般社員まで、
 誰もが自分でその状態を判断できるような基準」

私がずっと思い描いてきたこの指標が、
今、コーチ・エィのコーチングを加速させているのです。

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