Coach's VIEW

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『幸福度』と『上司』

私が社会人になったばかりの頃、
当時の上司と一緒に、ある仕事を担当しました。
10ヶ月ほどの期間でした。

その仕事が終わった時、上司に、

「この仕事、お前と一緒にやれて楽しかったよ」

と言われました。

この言葉がとても嬉しくて、
当時の自分の気持ちや、その後、
がむしゃらにこの上司に認めてもらおうと頑張った気持ちは、
今でも私の心の中に残っています。


同志社大学の太田肇教授は、
上司からの承認(ほめる・認める)の効果を正確に裏付けようと、
3年間に渡る実証研究を行いました。

その結果、

「大企業、中小企業、正社員、派遣社員の違いにかかわらず、
 上司の『承認(ほめる、認める)』が、
 明らかに部下のモチベーションを高めている」

という結果が導かれたのです。(※1)

上司の影響はさらに大きいという調査結果もあります。

世論調査で有名な米国のギャラップ社は、
50年以上も前から、世界中(今では150ヶ国以上)で
「幸福度」について調査をしてきました。(※2)

ギャラップ社によると、

「あなたは今の仕事が好きですか?」

この質問に
「Yes」と即答したのは20%。

にもかかわらず、調査の結果では
「人生の幸福」に最も大きな影響を与えているのは「仕事」でした。

仕事の幸福度が高い人は、そうでない人に比べて
「自分はすばらしい人生を送っている」と思う割合が2倍も高いのです。

では、仕事の幸福度に最も大きな影響のある要因は
何なのでしょうか?

それは「上司」です。

調査によると、仕事への熱意を失う危険が最も高いのは、
「自分の上司は、部下である自分にまったく関心を持っていない」
と感じる時なのです。

もし上司が
「部下の発言にまったく関心がなく、
部下がどんな状態にあるか気にしない」人だと思われているとしたら、
「そのチームメンバーの40%以上は、職場に対して強い不満を感じ、
自分の仕事にまったく熱意が持てず、
仕事に何らかの実害をもたらす可能性」があります。

逆に、上司が「部下の強みに意識を向けている」場合は、
そのチームで職場に不満を持つ人の割合が1%にまで下がります。

次の質問に、
皆さんの組織のメンバーはどのように答えるでしょうか?

「あなたの上司は、
 あなたを1人の人間として気遣ってくれていると思いますか?」

実は、この質問に「Yes」と答えた人達には、

・職場で業績をあげている
・質の高い仕事をする
・体調が悪くなりにくい
・転職をほとんどしない
・職場で怪我をしない

という傾向があることが分かったのです。

つまり、上司の部下に対する関わり方は、
部下の「仕事の幸福度」だけでなく、
「人生の幸福度」にも影響を与え、
それが業績にもつながっています。

部下の幸福度を向上させる上司は、
組織の成長に貢献していると言えるのです。

この調査には、他にも次のような興味深いデータがあります。

・世界中で「3分の2以上の人が毎日仕事が終わるのを待ち望んでいる」
・一番楽しくないのは「上司と一緒の時間」である
etc......。


一連の調査結果を見ていて、私は、

「この状況を変えるために、
 自分はコーチとして世の中にどのような貢献が出来るだろうか」

と考え始めました。

「自分にそんな力があるだろうか」と自分自身に問いかけた時、
ふと新入社員の時に先の上司から言われたことを思い出しました。

「力というものは、
 世の中に貢献したいという思いの強さに比例して、与えられるんだよ」

【参考文献】
※1 『承認とモチベーション』 太田肇(著)(同文館出版刊)
※2 『幸福の習慣』トム・ラス (著)、ジム・ハーター (著)、森川里美(訳)
   (ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)

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