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幸せは感染する

世界各国で調査、コンサルティング事業を展開しているギャラップ社は、
世界150ヵ国の「幸福」に関する調査結果をまとめた『幸福の習慣』(※)の中で、
「仕事の幸福」に関するリサーチ結果について次のように言及しています。

「マネジャーが『部下の発言にまったく関心がなく、
 部下がどんな状態にあるか気にしない』と思われている場合、
 そのチームメンバーの40%以上が職場に強い不満を感じ、
 仕事に熱意が持てず、仕事に何らかの実害をもたらす可能性がある。

 逆に、マネジャーが『部下の強みに意識を向けている』人だと
 思われている場合、そのチームで職場に不満を持つ人の割合は、
 全体の1%まで下がる」

また、幸福の要素として、次の5つを挙げています。

1. 仕事の幸福:   仕事に情熱を持って取り組んでいる
2. 人間関係の幸福: よい人間関係を築いている
3. 経済的な幸福:  経済的に安定している
4. 身体的な幸福:  心身共に健康で活き活きしている
5. 地域社会の幸福: 地域社会に貢献している

特に「2.人間関係の幸福」については、
極めて興味深い記述があります。


「幸福は人から人へと感染する」

・日々接している人が幸せを感じていると、
 あなたが幸せを感じる可能性が15%高まる
・人の幸福度は自分から数えて3人目まで影響する


当たり前のことかもしれませんが、
幸せだと思っている人のそばにいた方が
自分が幸せになる可能性が高い、ということです。

見方を変えれば、
周りの人をうまくいかせることが、
自分や自分の周りにいる人の幸福感を高めることに
つながっているということになります。

あなたが部下を幸福にすることができれば、
その先にいる部下の営業先の担当者や
その家族の幸福度が高まる可能性があるのです。

そして、その幸福は、巡り巡って「自分自身の幸福」につながる。

コーチングは、「相手の目標を達成させるためのコミュニケーション」です。

「相手をうまくいかせるためのコミュニケーション」や、
「相手を幸せにするためのコミュニケーション」
と言ってもいいかもしれません。

ある大手食品メーカーでは、
4年前から風土改革のためにコーチングを全社規模で導入しています。

毎年100人、3年間で300人の社内コーチを育成するという
プロジェクトをすでに完了し、2012年はさらに100人の方が
社内コーチの資格を目指してトレーニングを開始しました。

この会社では、コーチング導入前後の効果測定を行っています。
社内コーチのトレーニングを受けた上司を持つ部下500人への
アンケートでは、以下のような結果が出ています。

・「上司は、私(部下)の次の行動を促す問いかけをしている」
 の指標が25%上昇

・「私(部下)は、自分から積極的に目標をたて行動をおこしている」
 の指標が10%上昇

この結果から、上司のコーチングにより「問いかけ」るコミュニケーションが増加し、
問いかけられた部下は、自分が考え、自ら答えを出す機会が増えたために
部下の「自発的」な行動が上昇した、ということを読み取ることができます。


『幸福の習慣』の訳者で、
プロのビジネスコーチでもある森川里美さんは、
同著のあとがきにこう書いています。

「人生の全体的な幸福を考えたとき、仕事面の幸福は最も重要根幹をなす要素」
「仕事の幸福に本気で取り組むことが何よりも大切」と。

私たちは、人生で最も多くの時間を「仕事」にあてています。

会社で働いているとすれば、
家族と過ごすよりも長い時間を会社で過ごしているかもしれません。

仕事での「幸福」は、私たちの人生にとって
大きく影響していることは言うまでもありません。

自分の幸福に責任を持ち、積極的に自分自身の幸福を作り出す。

そのために、まずは自らが「職場の誰か」を
幸福にするための行動を起こすことが
大切なのだと思うのです。

【参考文献】

『幸福の習慣』(原題は"WELLBEING")
トム・ラス、ジム・ハーター著 / 森川里美訳 (ディスカヴァー刊)

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