Coach's VIEW

Coach's VIEW は、最新のコーチング情報やリサーチ結果、海外文献の紹介を通じて、組織改革や人材開発、リーダー開発グローバルビジネスを加速させていくヒントを提供するコラムです。


リーダーシップ開発におけるコーチングの役割

「リーダーの育成において、
 あなたの会社が直面している課題のトップは何ですか?」

 1位  トップタレントを開発すること
 2位  リーダー育成と、組織目標の達成を連動させること

これは、3月27日、28日の二日間に渡って、
ニューヨークで行われた「エグゼクティブ・コーチング・カンファレンス」
(ザ・カンファレンス・ボード主催)の参加者約100名を対象に、
会場で実施されたアンケートの結果です。

このカンファレンスは、大手企業の人材育成や
人材開発部門の責任者を対象に毎年開催されるもので、
アメリカにおけるリーダー開発の傾向や手法に関する
最新の情報を入手することができる場です。

アンケートの項目は、次のように続きました。

「リーダーの能力開発のために、
あなたの会社では何に力を入れていますか?」

 1位 ハイ・ポテンシャル社員の能力開発
 2位 ストレッチ・アサインメント(能力を超えた任務)
 3位 エグゼクティブ・コーチングおよびメンタリング

「あなたの会社では、エグゼクティブ・コーチングを導入して
 何年経っていますか?」

 1位10年以上
 2位 5-10年
 3位 5年未満

このカンファレンスに参加している企業の多くが
既にエグゼクティブ・コーチングを「トップタレント開発」の一環
として導入し、コーチングを「リーダー育成のための人材開発制度」
として確立させています。

その導入方法には、多様なスタイルがあります。

1.特定の職務以上には必ずコーチをつける

CEO、COOなど、Cレベルのトップエグゼクティブには
必ずエグゼクティブコーチをつける。

そして、組織リーダーとしてのあり方、物事の捉え方、
内省するための自己への問いなどについて、
トップエグゼクティブを専門とするコーチがつき、共に取り組む。

2.社員は、希望すればコーチをつけることができる

コーチングを受けたい社員がリクエストすれば
コーチを受けることができる制度をつくる。

プレゼンテーションした大手ソフトウェア会社では、
「何を達成したらコーチングを終了とするか」と、
成果目標の具体化と達成へのコミットメントを求めた上で、
社員にコーチをつけることを後押ししています。

3.社員が職務の一部として「社内コーチ」をする

コーチングのトレーニングを受けた社員が、職務の一部の割合を
社員へのコーチングにあてる制度をとる。

例えば、創業167年の農機器メーカーでは、人材開発部の社員が
「社内コーチ」として職務時間の30%を
コーチとしての仕事に割り当てています。

1や2については、エグゼクティブや社員が
自分や自分の職務について熟考したり、
取り組みを具体化して目標達成したりすることを後押しします。

3に関しては、社員同士のコーチングによって、
コーチングカルチャーの醸成が得られるというベネフィットがあります。

そもそも、企業がコーチングの導入を制度化する背景には、
どのようなものがあるのでしょうか。

・リーダーに求められるコンピテンシーの変化
・多様化する職場環境に対応するために新しいスキルが必要
・次世代リーダーの早急な育成

「今、リーダーにはどのような能力が求められているのか?」
「その能力開発にコーチングはどう関連しているのか?」

こうした問題意識に対してキーとなるのは、
「変化への適応」の視点です。

導入事例のパネルディスカッションでは、
大手レストランチェーンの人材育成担当者の発言が印象に残りました。

「かつての企業トップの成功ファクターは
『私はわかっている。だから、誰からも示唆を
 受ける必要はない』というものでした。

 しかし、今の私たちを取り巻く環境は刻々と変化しており、
 そんな考え方をするエグゼクティブでは
 会社を引っぱっていけません。

 コーチとは、コミュニケーション戦略を通じて、
 リーダーの強み、特に人との関係構築を
 最高のレベルへ伸ばすために、リーダーと共に取り組む人です」

リーダーが自分一人でソリューションを出すのではなく、
周りの人とコミュニケーションを交わす中で、
複数のリーダーのリーダーシップを発揮させる。

エグゼクティブが自分にコーチをつけて体験し、
同時進行で、社内でもコーチングを実践することで
コーチングカルチャーを構築する。

これが今の時代のリーダーシップ開発の
先駆者である企業の人材開発モデルとして
定着しつつあるようです。

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