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リーダーになる  ~『選択』する~

リーダーになる  ~『選択』する~ | Hello, Coaching!
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本当のコミットメントとは、「これが自分の選択だ」という実感から生まれます。その実感があると、人は責任を引き受け、力の込もった自発的な行動を始めます。

フランチャイズビジネスで、エリア長を任されているA氏。彼は、それまでの実績を買われ、前任者達が苦戦し続けたあるエリアに異動しましたが、間もなくして、上司から「スタイルの修正」を迫られました。

「君は堅実だが、僕から言わせれば、遅い。本当に結果が出るのか? もっとショートカットする方法を見つけろ」

早急に目に見える実績を求められたA氏は、激しい口調で指示する上司に、次第に従い始めていきました。

「違和感はありましたが、結果が出ていない以上、反論できませんでした。言われたことを、言われた通りに取り組むのが無難だと思ってしまっていました」

こうしてA氏は、上司にとって聞きわけの良い人物を演じるようになっていきました。一方、部下の方は、「他人の指示」によって動こうとするA氏の下で、次第に混乱していきました。

A氏がコーチングを依頼してきたのは、そんな混乱の最中でした。A氏はポツリと、「自分のことが分からなくなってきている」と語りました。

そして、自分がリーダーとしてどう見えているのか、コーチとしてのフィードバックを求めました。

私は、

・A氏が、まるで上司に降服し、介入を許して主体性を欠いたリーダーのように映っていること
・状況に対して受け身で、自分の意思や選択が失われているように感じること
・結局、状況に対して自分で責任を引き受ける姿勢が伝わってこないこと

などを指摘し、コーチングがスタートしました。


セッションの中では、まず、A氏の過去を振り返り、立ち返るものを探す作業を行いました。

・実績を上げた時の行動パターン
・失敗してしまう時のパターン
・成長の糧としていた人の言葉
・学びを得た書籍

など。

こうしたプロセスを経て、A氏は再び、自身の輪郭を確かめていきました。

「自分は、着実さが持ち味の人間です。これまでも、それで着実にゴールに辿りついてきました」

A氏の言葉には、次第に意思が宿り始めていきました。

「大きな努力の中から、小さな成果が出ます。ショートカットなどは求めないことです。これこそが、自分が原点とする仕事への姿勢です」

力強い言葉がA氏から聞かれるようになったとき、その口からは、上司のことは一切、聞かれなくなりました。彼自身の「選択」が羅針盤になってきたのでしょう。

私はある時、尋ねました。

「コーチングを始めた当初は、何に混乱していたのか?」と。

A氏の回答は明快でした。

「要するに、自分は中途半端でした。どうしたいのか、自分で選択をしていなかったのです」

人は、自分の意思がありながら、別の意思を受容しようとしたとき、強い違和感を感じます。A氏は、自分の意思を通すことを「選択」していませんでした。それどころか、上司の意思を徹底的に理解することをも、「選択」していませんでした。

「あるとき思ったのです。自分は、自分の意思を欺いているなと。自分の意思を選択するからこそ、心から責任を負えることに気づきました」
「自分の責任は、苦戦の続くこのエリアで、長期的な結果を出すことです。そのためには、自分自身が最適だと信じるやり方でやっていきます。それが、私の選択です」

A氏はリーダーになった、と感じました。



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