Coach's VIEW

Coach's VIEW は、最新のコーチング情報やリサーチ結果、海外文献の紹介を通じて、組織改革や人材開発、リーダー開発グローバルビジネスを加速させていくヒントを提供するコラムです。


『コーチング』を際立たせる

ロンドンオリンピックが開幕しました。
選手の目標は金メダルを取ること。

選手にはかならずコーチがついています。
私たち組織人も、ビジネスで自分なりの金メダルを取ることを目指しています。

上司という立場で考えれば、自分が金メダルを取ることと合わせて、
部下を成長させ、部下に金メダルを取らせたい。
すべての上司やマネジャー、リーダーと呼ばれる人は、
日夜そのことに腐心しているのだと思います。

上司が部下をコーチする「コーチ型マネジャー」や
「コーチ型リーダー」の生産性が高いことは、
最近さまざまなリサーチから実証されつつあるように思います。

とはいっても、コーチ型リーダーは
日々、コーチングだけをしているわけではありません。
部下を育成し金メダルを取らせるために、
ありとあらゆることをしているのです。

業務上の指示をすることは当然必要ですし、さらに、

 ティーチング
 トレーニング
 メンタリング
 カウンセリング
 アドバイス

時には食事に誘って励まし、
時には厳しく叱咤する、、、。

コーチ型リーダーは、これらに加えて、
「コーチング」も実行しているのです。


組織にコーチングを導入し、成功させるには、
大切な3つのポイントがあります。

 ・コーチングと宣言する
 ・コーチングの時間を取る
 ・コーチングの時間を区切る

組織がコーチングを導入する目的は、
売り上げ、利益、離職率、コストダウン、人材育成など、
一言でいえば「生産性の向上」にあります。

これに対し、コーチング導入の効果を測定するのは
なかなか至難の業です。

為替や株価などの経済状況や競合他社の動向など、
ファクターが複雑多様で、純粋に「コーチングの影響だけ」を
測ることは困難だからです。

そこで、組織導入時には、
「上司と部下のコミュニケーションや
 チームワークなどが改善されれば生産性は伸びる」
という仮説の下、コーチングの導入前後に
「コミュニケーションに関する変化測定」を行うのが一般的になっています。

上司部下間のコミュニケーションの状態や、
組織の活性度などをコーチング導入前後で比較し、
結果が上昇すれば組織の生産性も向上する、と考えるわけです。


では、部下は上司のコミュニケーションの変化を、
どこで感じとるのでしょうか?

1.自分のために時間をとってくれるようになった
2.自分の話を聞いてくれるようになった

弊社の今までの取り組みからは、
この2点が部下が上司の変化として
最も感じる要素であることがわかっています。

一見、簡単かつ単純に見えるこの2つの要素。
ところが、現実的には一筋縄ではいかない難しさがあります。


「私は部下のために時間をとって話すようになった」
上司はそのつもりでいても、

部下は、 「またお説教された。詰められた」

と思っているかもしれないのです。


私は、プロのコーチとして活動していますが、
社内では部下を持つ上司でもあります。

仕事上の会話の中では、意見がぶつかることもありますし、
時には部下の提案を否定し、修正することも必要になります。

その瞬間はコーチングではありません。

「部下の話を聞こう」と思って会話を始めても、
途中で遮って修正したり、指示をしなければならいこともある。

その時間は、部下から見れば、
「やっぱり話を聞いてくれないじゃないか」
と感じてしまう可能性があるわけです。

では、どうすればよいのでしょうか?

その一つの方法は、
コーチングとティーチングや指示、アドバイスを
明確に「区別すること」です。

そのためには、「これからコーチングをする」と宣言し、
時間を決め、時間を区切り、両者同意のもとにコーチングを実行する。

なんとなくコーチするのではなく、特別に時間を取る。
お互いのスケジュール帳にコーチングの時間を書き込み、
「コーチング」を際立たせる。

そして、5分でも10分でも、30分でも、時間を区切り、
その時間の中では、「問いかけて、聞く」ことに徹する。

一般的に、上司と部下のコーチングでは
業務上の目標を扱うことになるので、
上司が、話を聞く途中で修正や否定をしたくなることがままあるわけです。

ところがそれをやってしまうと、
その瞬間にコーチングではなくなってしまう。

5分でも10分でも、
「この時間はコーチングだ」と決めて宣言する。

時間を区切れば、その間は我慢してでも聞くことができます。
修正が必要ならば、コーチングを終わらせてからにする。
コーチングの時間とコーチングでない時を
明確に区別をすることで、部下は安心して話すことができるのです。

時間設定をしないと、
途中でアドバイスや指示が混じる可能性が高くなり、
部下にとってみれば、その時間が
コーチングなのかティーチングなのか区別がつかず、
混乱することになります。

 ・コーチングと宣言する
 ・コーチングの時間を取る
 ・コーチングの時間を区切る

この3つのポイントを実行することで、
部下にとってみれば、少なくとも「設定されたコーチングの時間」の中では、

「自分の目標達成のために上司がコーチをしてくれている」
「自分のために、上司が時間をとって話を聞いてくれている」

ということをはっきりと認識することができるのです。

自分の目標達成、自分の成長を上司が応援してくれている。
自分が金メダルをとることを応援してくれている。

それは、上司から部下への、何よりも大切なメッセージなのだと思うのです。

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