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それで、あなたは何をしますか?

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「それで、あなたは何をしますか?」

この問いは一見とてもシンプルですが、これを相手に問うのは簡単なようで、実は、口にするにはとても勇気がいる言葉です。

いざ、聞こうとしても多くの場合は、「こうすればいいと思うんですけど、そういうことはないでしょうかね?」などと、自分の考えをアドバイスのような形で伝えたり、回りくどい言い方をしてしまったりするのが関の山。

このような会話のパターンは、コーチングを実践して間もない人のセッションの中でよく見られます。

「それで、あなたは何をしますか?」

これは、相手にコミットメントを求める言葉であり、それを発するには相手との間に強固な信頼基盤が必要です。

そして、質問する側にとっても「相手をコミットさせることにコミットする」というコーチとしての決めがないと、伝えることができません。

コーチとして「目標を達成するために必要な能力を備えさせ、行動を促す」というのは、相手と真正面から向き合う覚悟がいることであり、リーダーとは、そういう立場を選ぶことだともいえます。

あなたは、ご自身が関わっている部下やステークホルダーに、この問いを投げかけることができるでしょうか。

もし、シンプルに問いかけができないとすれば、相手との間にどのような信頼基盤を築いているかに目を向ける時なのかもしれません。

国際コーチング連盟が提示する「コーチのコアコンピテンシー」の一つに「相互の関係性を築くことができる(Co-creating the relationship)」という項目があります。

コーチングというと、単に「質問できるようになること」と理解する方がいます。でも、実は、コーチの問いが相手に「機能する」には、ある前提が必要となります。それは「関係性を築く」のコンピテンシーに深く関係します。

では、関係性や信頼感はどうしたら築かれるのでしょうか?

私は、それは相手とどのくらい会話を交わしているか、というコミュニケーションの「絶対量」に比例すると考えます。

コーチングを実践し始めて日の浅い方でも、プロコーチ並みのコーチ力を発揮することがあります。

そういう方は、例外なく、自分の部下などのステークホルダーと、週に1回とか、毎日10分、というようにコーチする時間を決めて実践しています。

「対話の時間をもつ」ということは、相手が考えていることを知るだけでなく、その背景やコミュニケーションのタイプ、大事にしている価値観などを読み取り、その人の強みを発見するといったことを同時に起こします。

さらに、対話の過程で相手のリアルな状況を把握している、そのことこそが、相手との信頼関係に繋がるのではないでしょうか。

だからこそ、ここぞという時に「それで、あなたは何をしますか?」という一言が機能するのだと思います。

先日興味深い話を聞きました。

ある外資系会社で日本人が役員として抜擢され、本人は、張り切って日本の情報を集め、定期的に本社にレポートしていました。

しかし、本社との距離感がなかなか埋まらないように感じ、そのことを本社のトップに聞いたところ、こう言われたそうです。

「レポートも大事だが、君にはむしろ毎日電話してきて欲しい。そして、『昨日見た野球の話』でもしてくれるのがいい。その方が、よっぽど君の状態が伝わってくるからね」


「それで、あなたは何をしますか?」

相手と関わる時間と対話の量は、このシンプルな問いを、「相手を動かすインパクトのある問い」にする力となるはずです。

【参考資料】
国際コーチング連盟「コアコンピテンシー」
ICF Core Competencies

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