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信頼関係、安心感、自発性

信頼関係、安心感、自発性 | Hello, Coaching!
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先日、インドネシアでコーチングの説明会を行いました。集まったのは、ジャカルタを中心に活躍する日本人の方が約30名。現地でのもっぱらの課題は、ナショナルスタッフとのコミュニケーション。

ほとんどの方が口をそろえて言うのは、「もっと信頼関係を築きたい」

言語の問題ももちろんあるのですが、 それ以上に、「なかなかしゃべってくれない」というのです。

こちらの言うことは聞いてくれるし、仕事はきちっとやってくれる。

しかし、向こうからの質問や提案、ましてや自発的な取り組みのようなことがほとんどない。現状から一歩ブレイクスルーするには、そこを何とかしたい、というのです。

聞くことに徹底する

そんな中、東京でコーチングを学び、ある企業で現地法人の社長として数年前からジャカルタに赴任している方が、ご自身の経験を話してくれました。 

「ジャカルタに来た当初は、ナショナルスタッフが何も話してくれないのが悩みの種でした。自分はもともと気が短くて、上から指示してしまうタイプ。

ミーティングや面談でも、相手が黙ってしまうと、すぐに、ああしろこうしろとまくし立ててしまう。すると、相手はますます話さなくなってしまうという悪循環にはまっていました。

そんなとき、ひとりのナショナルスタッフのマネージャーと面談する機会があり、『今日こそは我慢して聞くことに徹底しよう。コーチングをしよう』と思ったんです。

質問する、でも相手は答えてこない。いつもなら、我慢できずにこちらがしゃべってしまう。そこを、なんとか我慢して黙り続ける。それでも相手は話さない。

また質問する、黙る。

その状態が、しばらく続きました。私にしてみれば、本当に頑張ったと思います。

すると、そのマネージャーは、ぽつりぽつりと自分の家族のことを話し始めました。

『自分には息子がいる。その息子を高校に行かせてやりたい。自分はとても貧しい家庭に育ったので、本当に苦労して、働きながらやっとの思いで高校を卒業した。

それがあって、現在こんなにいい会社でマネージャーにまでなれて幸せだと思うが、息子には自分と同じ辛い思いはさせたくない。苦労させずに高校まで出してやりたい...』

最後は涙ながらに1時間以上も滔々と話していました。今まで見たことのない位、情熱的に話す彼に、聞いていた私も胸が熱くなる思いでした。

その面談の後、彼は変化しました。会社の中ですれ違うと、向こうから声をかけてきたり、細かいことでも、彼から質問をしてくるようになったんです」

上司側の実感値ではなく「部下の実感値」が高い

ここに、某大手製造業の営業部門に関するリサーチ結果があります。

「『上司からコーチングを受けている』という部下の実感値が高いほど 部下の自発的な行動は促進され、結果として売上達成率が高くなる」

ここで大切なのは、「上司がコーチングをしてくれている」という、"部下側"の実感値が高いということ。「私は部下をコーチしてる」という"上司側"の実感値ではないということです。

「上司がコーチをしてくれている」という実感値に影響を与える2つのポイント

では、部下からみて「上司がコーチをしてくれている」という実感値に影響を与えるポイントとは何なのでしょうか。

詳しくみていくと、以下の2点が特に有意な項目であることがわかりました。

  • 自分のために時間を取ってくれている
  • 自分の話を聞いてくれている

部下にとってみれば、

自分に関心をもってくれている
自分を成長させようとしてくれている
自分のことを知ってくれている
自分のために時間をつかってくれている

という実感があること。

つまり、「自分のことを理解し大切に扱ってくれている」と思うわけで、これが信頼関係を築くベースになっているのです。

相手のために時間をとる
相手の話を聞く

それによって築かれる信頼関係。信頼関係に支えられる安心感。安心感をベースに発揮される自発性。

もう30年も昔のことですが、私は中学校で社会科を教えていました。

そこには、いろいろな生徒がいました。おとなしい子もいれば、活発でやんちゃな子もいる。のびのびと自分のやりたいようにやる子もいるし、まわりに気を使って動きの悪い子もいる。

子供たちを見ていると、明らかに、安心感の高い子供ほど自発的に行動する。言い方をかえれば、安心感の高い子ほど、自由に伸び伸びしているのです。

それは、国や民族を超えて、自発性の原点なのだと思うのです。

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