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どうすれば組織は目標達成をするのか

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組織は、どうするとその目標を達成することができるのでしょうか?

組織がその目標を達成するには、非常に幅広い様々な要素が過不足なく満たされ、それが相互に連関し、最終的に結実する必要があります。今のご時世、「こうすれば組織は目標を達成します」などと安直に言うことは決してできないようにも思います。

しかし、大変複雑な難事であるからこそ、そして、多くの組織が目標の未達成に苦しむ今だからこそ、敢えて、大胆に、かつシンプルに仮説を立ててみたい衝動にも駆られます。

「大多数のメンバーが『目標を達成する』と思っている組織は、その目標を達成する」

エグゼグティブコーチとして数多くの組織に関わらせていただいた経験を軸に据えると、このようなステートメントを打ち出せるように思います。たとえ目標がとてつもなく大きく、傍から見たら「あり得ないだろう」と思うような目標であっても、その構成員が「達成する」と思っていれば達成する。

逆に、簡単に達成しそうな小さな目標だと思われていても、メンバーが「達成しない」と思っていれば達成しない。

さらに言えば、たとえ戦略が凡庸でも、メンバーが達成を信じて疑わなければ、組織は目標を達成する。そして、どんなに戦略が優れていてもメンバーが目標達成に半信半疑であれば、達成しない。


以前、ある大手情報通信企業で、役員が事業本部の年間目標を発表した翌日に、傘下の部下100人に、アンケートを配信しました。

質問は、たった一つ、

「本年の目標は達成すると思いますか?」

結果は、Yes が45%、Noが55%。

つまり、半数以上の人が、目標を発表した翌日の時点で「達成しない」と思っていたわけです。残念ながら、弊社が目標達成に向けてこの本部を支援する機会を得ることはできませんでした。

1年後、久しぶりにその役員にお会いしてみると、実績は目標を大幅に下回った、ということでした。私の仮説を当てはめると、そうなることは1年前には既にわかっていたわけです。

一方、ある大手製造業。一見すると、途方もなく高い中期目標を立て世間に公開しています。その会社の役員にコーチングを実施した際に、何人もの傘下の社員に聞きました。

「本当に達成すると思いますか?」と。

驚いたことに、ほとんどの社員が当然のことのように「達成すると思います」と答えました。どこかで逆の反応を期待していたこちらとしては、肩透かしをくらわされた思いでした。その企業は、毎年大幅に売り上げを伸ばしていて、確実に中期目標の達成に近づいています。

こうして見ると、リーダーがなすべき非常に大事なことの一つは、「必ず目標に達する」とメンバーに思ってもらうことだと言えるかもしれません。では、果たしてどうすれば、メンバーは目標に到達すると曇りなく思うことができるのでしょうか?

このミステリーを解明すべく、このメールマガジンの読者の方々に以下のアンケートに答えていただきました。

「御社が掲げる中長期の目標について、あなたは達成できると思いますか?」

166名の方の回答結果は、

A、達成できると思う 33.7%
B、達成できるかどうかわからない 37.3%
C、達成できないと思う 18.7%
D、中長期の目標を知らない 5.4%
E、中長期の目標はない 4.8%

このうちABCのいずれかを選んだ人に「達成できる」と思う理由を聞いてみると、「目標貫徹に対するトップの意志は強固である」というものが多く見られました。

また、できない理由としては「そもそも経営陣や管理職など、目標の作成責任者すら中期目標を何が何でも達成しようとは思っていないようだ」という回答が目立ちました。

さらに、弊社がエグゼグティブ・コーチングで使用しているアセスメントのデータを見ると、「会社の今期の目標は達成されると思う」という部下側の回答と「対象者は、心の底から会社や社員のことを想っている」というリーダーの行動には、強い相関関係があることがわかっています。(相関係数0.73)

この2つのデータから言えることは、要するに、「心の底から会社と社員のことを想い、目標達成を信じて疑わないリーダーの元で、メンバーは組織の目標達成を信じ、結果、組織は目標を達成する」ということだと思います。

ぜひ、今すぐリーダーとして、自分に次の2つのことを問いかけてみてください。

組織目標を実現できると「本気で」思っているか?
会社や社員のことを「心から」想っているか?

この2点に、一切の曇りなく「イエス」と答えられるようであれば、きっとメンバーはあなたの眼差しが向かう先を同じように見つめ、喜びをもって前へ歩みを進めていることでしょう。

一方、少しでも疑念が介入するようであれば、「なぜそう思えないのか」「思うようになるにはどうしたらいいのか」をぜひ自身に問うてみてください。

一週間考えて、やはり答えが「ノー」であれば、リーダーは別の人に譲った方がいいのかもしれません。

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