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組織を活性化させる上司は、"部下のため"に時間をとる

組織を活性化させる上司は、"部下のため"に時間をとる | Hello, Coaching!
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最近は、多くの企業で「組織活性度調査」が行われています。

「モチベーションサーベイ」、「社員満足度調査」、「職場実態調査」など名称は様々ですが、実施方法や質問内容は似ています。

インターネットや紙を使い、社員一人ひとりに「今の組織や仕事内容をどう思うか」など20~50問程度の質問を投げかけ、仕事に対する意欲や職場に対する満足度を測定します。

回答は部署別や階層別に集計、分析され、その結果が職場(特に管理職)にフィードバックされます。

企業でよく行われるフィードバックアンケートには、他にも「リーダーシップ・アセスメント」のような名称で「上司をどう思うか」について答えるものがあります。

「組織活性度調査」は組織に対するフィードバック、「リーダーシップ・アセスメント」は上司個人に対するフィードバックと言えます。

「上司がどのような行動をすれば組織を活性化することができるか」

今回、コーチ・エィとコーチング研究所は、「組織活性度調査」と「リーダーシップ・アセスメント」を同時に実施したケースをさまざまな視点で分析し、「上司がどのような行動をすれば組織を活性化することができるか」のヒントを導き出しました。

まず、リサーチ対象となった上司289人に対する部下1,968人の回答結果から、「コミュニケーションスキル」と「コミュニケーション量」を軸に「上司の部下への関わり方」をA~Dの4グループに分け、それぞれの「組織活性度」をみてみました。

その結果が図1のグラフです。横軸は、組織活性度調査のアンケート17項目で、縦軸は7段階のアンケート結果のグループごとの平均点です。

図1: 「上司の部下への関わり方」と「組織活性度」の関係

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この結果からは、「コミュニケーションスキルが高く、かつ部下とのコミュニケーションの量が多い上司」(A)の組織は、組織活性度の全項目がどのグループよりも高いことが分かります。

反対に、(D)「コミュニケーションのスキルが低く、かつ部下とのコミュニケーション量が少ない上司」の組織は、組織活性度が最も低いことが分かります。

その間にあるのが、(B)「コミュニケーションのスキルが高く、コミュニケーション量が少ない上司」の組織と(C)「コミュニケーションのスキルが低く、コミュニケーション量が多い上司」の組織です。

この2つは、「組織活性度」ではあまり差が出ませんでした。

この結果からは、次のことが言えそうです。

  • 「高いコミュニケーションスキルを持っていたとしても、部下とのコミュニケーション量が少なければ組織活性度は高まらない」
  • 「コミュニケーションスキルが低くても、コミュニケーション量を増やせば、組織活性度を高めることが出来る可能性がある」

一般的には、コミュニケーションの「スキル」に目が行きがちですが、組織活性度に対するコミュニケーションの「量」の影響力が大きい点は注目に値します。

では、コミュニケーションの「スキル」の低い上司は、
「ただ単に、部下とのコミュニケーション量を増やせばいい」のかというのと、実はそうではないようです。

次の分析のように、「部下とのコミュニケーション量を増やすだけでは、組織活性度は高まらない」ということも分かったのです。

図2: 「部下と週に10分以上まとまって話す時間を設けている」上司とそうではない上司の「組織活性度」を比較

図2は、コミュニケーションの「スキル」が低い上司のグループ145人について、「部下と週に10分以上まとまって話す時間を設けている」上司とそうではない上司の「組織活性度」を比較したものです。

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二者間には、大きな差がないことが分かります。では、どうすれば良いのでしょうか。

図3: 「"部下のために"話す時間をとっている」上司と「それ以外の上司」の組織活性度の比較

次の図3は、「"部下のために"話す時間をとっている」上司と「それ以外の上司」の組織活性度の比較です。

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ここでは、明らかに「"部下のために"話す時間をとっている」上司の組織活性度が高いことが分かります。

つまり、こういうことが言えそうです。

「部下と週に10分以上まとまって話す時間を設けている」だけでは 組織の活性化につながらないが、「部下が"自分のために時間をとってくれている"と感じるような 時間の取り方をすれば、組織の活性化につながる」と。

そこで気になってくるのが、部下が"自分のために時間をとってくれている"と感じる上司の行動とはどういうものか、ということです。

部下が「自分のために時間をとってくれている」と感じる上司の行動 ベスト7

我々の分析から導かれた上司の行動53項目のうち、ベスト7は以下の通りでした。

【部下が「自分のために時間をとってくれている」と感じる上司の行動】

順位 上司の行動 相関係数
1 部下と定期的に話している 0.81
2 部下に期待する役割を伝えている 0.77
3 部下の成功や成長を支援している 0.76
4 部下の価値観を理解している 0.75
5 部下をやる気にさせる提案や要望をしている 0.75
6 話しやすい・相談しやすい雰囲気である 0.75
7 自分の考えを伝えるだけでなく、部下の考えも尋ねている 0.74

組織活性度調査の数値を高めること自体を目的にしてしまっては本末転倒ですが、部下が"自分のために時間をとってくれている"と感じている状態をつくることは組織を活性化させることにつながりそうです。

あなたが部下と過ごす時間は"部下のため"でしょうか、"自分のため"でしょうか。

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