Coach's VIEW

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仕事の『目的』を明確にする

私たちが意識的に取る行動には、
自分自身への質問によって引き出されているものが多くあります。

「明日の商談は何時からだったか?」
と、出かける時間を決めたり、
「何を準備すればうまくいくのか?」
と、資料を作成したりしているのです。

準備について自分に質問するから、準備という行動を取ります。
その質問がなければ、準備しないかもしれません。

つまり、どのような行動をするかは、
自分自身に対する質問の内容次第なのです。

では、仕事においてはどうでしょうか。

自分自身への質問に最も大きな影響を与えているのは、
その仕事をする「目的」です。

たとえば、 「世界一安全な車をつくること」を目的に
仕事をしている人がいるとします。

その人は、さまざまな場面で
「この方法で世界一安全な車になるだろうか?」
「そのためには、自分はどのような能力を高めれば良いだろうか?」など、
「目的」に向かうための質問を自分自身に投げかけるでしょう。

一方、仕事の「目的」が不明確な人は、
「目的」に向かうための質問を自分に投げかけることはありません。
指示に従ってうまく仕事を進めることはできるかもしれませんが、
目的に向かって「主体的に動く」ようにはならないでしょう。

その結果、両者の仕事の仕方や言動、会議への参加姿勢、勤務態度などに
違いが生じ、最終的には仕事の「成果」に影響を与えてしまいます。

TEDのプレゼンテーションで人気が出たサイモン・シネックは、
「優れたリーダーや優れた企業に共通しているのは
"なぜ"、すなわち"目的"が明確であることだと分かりました。
人は"なぜ"という"目的"に動かされるのです」と話しています。(※1)

また、コロンビア大学ビジネススクール・モチベーションサイエンスセンターの
ハイディ・グラント・ハルバーソン副所長は、著書の中で、
「"なぜ"という視点で捉えると、日々の小さな行動にも、
 意義を感じやすくなります。理由が明確になることで、
 小さな行動が、大きな行動を達成するための一歩に変わるのです」
と述べており、人は「"なぜ"を考えるとやる気が出る」と語っています。(※2)

仕事の「目的」が明確であることは、
自分自身への「質問」を生み、
それによって「行動」を引き出し、
やがて「成果」につながっていくと考えられるのです。

しかし、「目的」が明確でさえあれば
成果につながるかというと、そうではありません。

一人ひとりが仕事をする「目的」は、
その人の能力や経験、やりたいことなどによって異なります。
しかし、その「目的」は、所属する組織が目指す方向性や理念に
合致していることが望ましいのではないでしょうか。

一人ひとりの仕事の「目的」と、組織の方向性や理念が
どのくらい合致しているかを正確に測ることは難しいですが、
私が担当している複数の組織に対して、
コーチ・エィとコーチング研究所が調査したところ、
組織の方向性や理念を「理解」していても、
そこに向けて「行動」している、と答える人の割合が
50%を超える組織はほとんどありませんでした。

こうした結果から考えられるのは、
組織の方向性や理念に沿った「目的」を設定し、
それに向けて自分に「質問」している人は 少ないのではないか、ということです。

そこで、みなさんから次のような質問を用いて、
メンバーに問いかけてみてはいかがでしょうか。

「この仕事を通じて、あなたは何を実現しようとしているのですか?」

答えにくい質問かもしれませんが、これは極めて重要な問いです。
この質問から明らかにしたいことは2つあります。

1) 仕事の「目的」が明確かどうか。
2) その「目的」が、組織の方向性や理念に合致しているかどうか。

これらに明快に答えられるメンバーが多い組織は、
組織自体が理想とする状態へと成長していけるはずです。
組織の「目的」を指し示すことができる企業理念は
CSRのためだけでなく、「業績を向上させるため」でもあるのです。

・自分自身が責任を持つ組織の「目的」を明確にする。
・そして、メンバーの仕事の「目的」が、組織の「目的」に合致しているかどうかを知る。

対話がきっかけとなり、
「目的」に向けた問いが一人ひとりの中に生まれれば
主体的な行動につながります。

組織の中で対話を起こす。

そうした活動こそが、組織の成長を加速させられるはずなのです。

【参考資料】

※1 サイモン シネック「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」から要約。
  Japanese translation by Natsuhiko Mizutani,
  reviewed by Yasushi Aoki. More talks in Japanese

※2 『やってのける ~意志力を使わずに自分を動かす~』
   ハイディ・グラント・ハルバーソン (著)、児島 修 (翻訳)

※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。

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