Coach's VIEW

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第1回 コロンビア大学 コーチング・カンファレンスに参加して

第1回 コロンビア大学 コーチング・カンファレンスに参加して

10月22-23日の2日間にわたり、コロンビア大学で
第1回コーチング・カンファレンス
(The 1st International Columbia Coaching Program Conference)
が開催されました。

集まったのは、17ヵ国から300人以上の
コーチや人材開発担当者、大学等の研究者ら。
コーチングについて、最先端の情報を交換する場となりました。

世界から80以上のエントリーがありましたが、
カンファレンス当日に発表できるのは、選出された15テーマのみ。
コーチ・エィはアジアから唯一選ばれ、発表を行いました。
コーチ・エィの発表内容はこちらよりご覧ください。

今号では、他の発表内容についてご紹介します。


1.Learning Agility

1日目の基調講演は、
コロンビア大学 組織・リーダーシップ前専攻長のW. Warner Burke氏が行いました。

テーマは、「Learning Agility(学習の俊敏さ)」。

「Learning Agility」とは、
必要な学習を迅速に行うことができる能力を指し、
変化の速い現代において、さまざまな分野で重要視されています。

講演では「Learning Agility」を構成する
6つの要素(フィードバックを求める、リスクをとる等)を紹介。


<「Learning Agility」を構成する6つの要素>

Burke氏は「Learning Agility」を高めるには、
「Defensiveness(防御)」の回避が重要であると述べました。


話を聞きながら、
コーチングは、「Learning Agility」を高める方法として
有力な手段になり得ると感じました。

なぜなら、コーチング研究所の調査より、
エグゼクティブ・コーチングを受けた人のうち、
93%は、「フィードバックを受け取れるようになった」、
86%は、「今までとは違うやり方を選択するようになった」
という結果が出ているからです。(※1)

これは、まさに「Learning Agility」の項目と符合します。


2.会話と脳の働き

アメリカCase Western Reserve大学の
研究者Dr. Ellen B. Van Oosten氏から、
「ポジティブな会話」と「ネガティブな会話」が
脳の活動にどんな影響を及ぼすか、について
fMRI(MRIを用いて脳の活動を画像化する方法)の
測定結果を用いた研究が紹介されました。

ポジティブな会話では、
30分間将来のビジョンについて話す。
一方、ネガティブな会話では、
30分間現状の課題について話す。

それぞれを行っている時の状態を測定します。

結果としては、メカニズムの解明には至っていないものの、
次のようなことが分かったそうです。

  • 脳の測定においては、ポジティブな会話の方が
    大脳辺縁系周辺において活動が活発になった。
  • 事後のインタビューアンケートにおいて、
    ポジティブな会話の方が
    「気づきがあった」「相手が私を信頼してくれている」
    という項目等で効果が高かった。


< fMRIによる計測の結果>


これまで、コーチングにおける研究では
インタビューやアンケートなど
「個人の認識」に基づくリサーチ手法がほとんどでした。

しかし、今後は技術の発展に伴い
脳科学に基づいた測定やウェアラブル端末を利用した行動記録測定が
進んでいくものと思われます。

これらの研究からどんな新しい発見があるのか、
今後も目が離せない領域です。


3.コーチングによる組織開発

2日目の基調講演の中で、
MIT名誉教授のEdgar Schein氏は、
コーチングと組織文化について次のように述べました。

「すべての会話は組織文化の上に成り立っているため、
 コーチングも組織文化を考慮しながら進めるべきである。
 また、ひとりだけをコーチングするのでは、
 組織文化の変化は起こらないだろう」


Schein氏の講演以外でも、
多くのセッションで「組織を変えるにはどうするか」
という議論がなされていました。

元来は個人を開発するための手法であったコーチングですが、
組織開発における活用にスコープが広がってきているようです。

しかし、具体的に組織開発を行うフレームワークや事例についての発表はなく、
本格化はこれからだろう、という印象を受けました。


<大会では参加者同士の会話を重視。300人全員によるworld caféが行われた>

次回は2016年10月に開催されるとの予告があり、
今年の大会は幕を閉じました。

本大会の発足をはじめ、
コーチングに対する学術的なアプローチが加速しています。

コーチ・エィおよびコーチング研究所では、
これからも世界のコーチング動向最先端をご紹介していきます。

※1 コーチング研究所調べ,「エグゼクティブ・コーチングを受けた85名への調査結果」, 2014年

※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。

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