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影響力とコーチング

影響力とコーチング
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「リーダーシップを測る真の物差しは、影響力だ──それ以上でも、それ以下でもない」(John C. Maxwell)

リーダーシップに関する要素はさまざまなものがあります。その中でも共通しているひとつの要素は「人に対する影響力」。このことについては誰しも異論はないと思います。

目標達成に向けて、部下を動かす、組織を動かす。

リーダーは自分自身の影響力を高めるために、日々腐心していると言っていいでしょう。


情報を持っていれば影響できる、知識があれば人はついてくる、技術を備えていれば信頼される...などなど、専門力があれば、相手に影響できる、と私たちは思っています。

確かにその考え方には一理あると思いますが、ここに興味深いデータがあります。

リーダーを「専門力」と「コーチ力」の高低で4つに分類し(図1)、それぞれのリーダーの管轄する組織活性度をグラフにしました。(図2)


このリサーチでの「専門力」「コーチ力」とは、それぞれ以下の要素です。

専門力:極めて高い専門知識を持っている
コーチ力:部下の強みや得意分野を引き出し、伸ばしている

リーダーAのタイプ
・専門力が高い
・コーチ力が高い

グラフを見るとこのリーダーの組織活性度が最も高く、理想的なリーダーのタイプと言えるでしょう。

リーダーDのタイプ
・専門力が低い
・コーチ力が低い

そもそも、このタイプをリーダーと呼べるかどうかが疑問ですが、当然このリーダーの組織活性度は最も低くなっています。

興味深いのは、リーダーBとリーダーCのタイプの組織活性度に大きな差があることです。

リーダーB
・専門力が高い
・コーチ力が低い

リーダーC
・専門力が低い
・コーチ力が高い

グラフからこの両者を比較すると、組織の活性度については、リーダーの「専門力」よりも「コーチ力」の方が強く影響していると推察できます。

また、このリサーチから、リーダーにとっての「専門力」と「コーチ力」とはまったく別の能力であり、組織を活性化させるための「影響力」という観点から見れば、「専門力」以上に「コーチ力」を強化する必要がある、と言うことができるでしょう。

では、リーダーのどのような行動が、メンバーの「自分の強みや得意分野を引き出し、伸ばしてもらっている」という実感に寄与するのでしょうか。

以下は、上記の実感に寄与が大きいリーダーの代表的な行動です。

・メンバーに話させ、聞くことに焦点をあてて関わる
・メンバーの目標達成を支援するために定期的に関わる
・メンバーに気づかせ、自発的に考えさせるための質問をする
・メンバーに明確な目標や役割を伝える
・メンバーの考えや価値観を理解しようとする
・メンバーをやる気にさせる提案や要望をする

以上からも、まさに、リーダーがメンバーに対して、コーチ的な関わりができるかどうかが、影響力を発揮するための重要な要素だということが分かります。


コーチングとは、相手の目標を達成させること。相手を、より速く、より遠くの目標に到達させること。

コーチングとは、それを可能にするために、
「人は、どのようなプロセスで行動を起こすのか?」
「人にどのようにして影響を与えることができるのか?」
について学ぶことにほかなりません。

人の行動に関する考え方、理論
関係性の構築について
モチベーションについて
目標達成についての知識、技術
目標達成に必要なキーマン
目標達成とパーソナルファウンデーション
会話と対話の違い
対話の重要性
対話と行動変容
コミュニケーションスキルとしてのコーチング
コミュニケーションのタイプについて
コーチングとティーチングを使い分ける
マネジメントにおけるコーチング

などなど、まずはこれらを網羅的、系統的に学び、これらに関する知識を得、理解すること。そして、何より重要なのは、それを実行すること。その繰り返しの先に、リーダーとしての「影響力」の拡大があります。

高い専門力。
それに、高いコーチ力をプラスする。
それが、いま求められている「組織を変革できるリーダー」なのだと思うのです。


【脚注】
図1,2
コーチング研究所調査「部下からみたリーダーの行動と組織活性度 評価平均」
調査内容:Leadership Assessment (LA)
リーダーの行動2項目、組織の状態5項目(7段階評価)
調査人数:リーダー1,108名(A:424,B:205,C:177,D:302)に対する部下8,489名
調査実施:2015年3月

【参考資料】
『マクスウェルのリーダーシップ集中講義』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
ジョン・C・マクスウェル (著), John C. Maxwll (著), 干場弓子 (監修, 翻訳)

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