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思考の輪郭

思考の輪郭
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「人工知能(AI)を持ったロボットにコーチングをしてもらう。そんな日はいつ頃くるのだろう?」

人工知能が専門の東京大学 松尾豊准教授の講演を聞きながらそんなことを考えました。同教授の予測では、AIが人間の言葉を理解できるようになるのは2030年以降だそうです。

ということは、人の話を聞く役割は、しばらくは、人が担っていくということでしょう。




先日、半年間のコーチングを終えたクライアントの方が次のようなことをおっしゃいました。

「私には、コーチングがすべて電話で行われたことが良かったように思います。普段は表情やジェスチャーで伝えてしまうこともあるけれど、電話ではすべてを『言葉』にしないといけない。そのため、どんな言葉で表現するかを考え、その過程で思考を整理し、深めることができました」

みなさんも、話して言葉にすることで、考えが整理できたり、物事がはっきり見えてきたりした、という経験があるのではないでしょうか。

「言語化」には、あいまいな思考を具体化し、輪郭をつくる作用があります。部下の思考を深め、成長を促すためにも、「部下が話す」機会を創ることは、リーダーの重要な役割のひとつといえるでしょう。

では、実際には、上司はどれくらい部下に「話をさせて」いるのでしょうか。
コーチング研究所で、15カ国それぞれ100人に上司との会話について調査をした結果があります。(※1)

調査では、上司との会話において

・上司が話している時間の方が長い
・部下(自分)が話している時間の方が長い
・ほぼ同じ

の3つの選択肢から選んで回答してもらいました。
その結果が次の通りです。


日本では、約半数の53%の部下が「上司が話している時間の方が長い」と回答しています。
一方、スウェーデン、イギリス、アメリカはその率は20%台と、日本の結果と大きな開きがあります。
(関連レポートはこちらをご覧ください。)

また、INSEAD客員教授のエリン・メイヤーは、著書『異文化理解力』で、各国の上司と部下間における「権力格差」について述べています。(※2)
「権力格差が低い」ことを「平等主義」、「権力格差が高い」ことを「階層主義」とし、24か国を比較しました。
その中で、日本、韓国、ナイジェリアの3カ国が「階層主義」がもっとも強い国と位置づけられています。
「階層主義」の特徴は、例えば「上司の了承を得てから行動する」「コミュニケーションは序列順に行われる」というものです。
これらのことからも、日本は他国と比較して「部下が話をする機会が少ない」傾向がある、ということが言えそうです。

だとすると、「話す機会の少ない部下」は、頭の中にアイディアが生まれているのに、知らず知らずのうちに霧散してしまっている、そんなことが起きているとも考えられないでしょうか。
もし日本の職場でこんなことが多く起こっているとしたらそれは、とても、もったいない状態であると思います。
日本の傾向が、あなたの職場にそのままあてはまる訳ではありませんが、「部下に話をさせる」ことに、より意識を向けてもいいのではないでしょうか。

実際、あなたの職場はどのような状態でしょうか?
あなたは、職場のメンバーが言葉にする機会をどれ位つくっているでしょうか?
また、何について言葉にしてもらうことが有効でしょうか?

この問いの答えが明確でない場合、誰かと話して言葉にし、あなたの思考に「輪郭」をつけてみてはいかがでしょうか。



【参考資料】
※ 『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』(角川EPUB選書) 松尾 豊
※1 コーチング研究所調査「組織とリーダーに関するグローバル価値観調査」(2015年)
世界15の国と地域で、企業に勤める非管理職の男女100名(計1.500名)に調査を実施
※2『異文化理解力----相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養』(英治出版)エリン・メイヤー (著)、 田岡恵 (監修)、 樋口武志 (翻訳)

※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。転載、その他の利用のご希望がある場合は、編集部までお問い合わせください。

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