Coach's VIEW

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Leadership Team

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「どんな企業が伸びるのか?」

スタートアップ企業への投資事業をしている知り合いに質問したところ
「経営陣の人間関係が良好な企業」という答えが返ってきました。

理由を尋ねたところ、
「社長ひとりの発想には限界がある。
リーダー同士が複数人で話すことによる視点の広がりは、
企業の成長に欠かせない」とのことでした。

スタートアップ企業というと、一人のカリスマ起業家が
組織全体を引っ張るイメージを持っていたのですが、
なるほど、と思いました。

カリスマ経営者の代表格というと、
やはりスティーブ・ジョブズが思い浮かびます。

取締役会の機能を豊富な事例と共に書かれた
『取締役会の仕事』には、ジョブズとアップル経営陣の関わりについて、
同社取締役だったエドガー・ウーラードの話が載っています。(※1)

「取締役もジョブズとの協力体制に前向きに取り組んだ。
(略)取締役会とジョブズの関係を振り返って、ウーラードは
『よそよそしいものではまったくなかった』と言う」

「やがて、ウーラードはジョブズが上にも下にも
敬意を払っていることに気づいた。
ジョブズは会社の将来について揺るぎないビジョンを描いていたが、
新しい取締役陣とは非常にうまくつきあっていた」

同社の発展の裏には、経営陣が「チーム」として
機能していたことが伝わってきます。

役員のリーダーシップというと、組織運営などの
縦方向の影響力を連想しがちですが、
役員同士の関係性を強化する「横の関わり」も
重要な要素ということなのでしょう。

では、実際に役員間ではどれくらい話をしているのでしょうか。

コーチング研究所が行った
「イノベーティブな風土と役員間のコミュニケーション」調査では、
役員は平均して1週間に約2割の役員としか話していませんでした。
(※2)

中には、半数以上の役員が、他の役員メンバーと
まったく話していない、という企業もありました。

一方、今後の希望としては、「現状の約2倍以上の役員と
目標達成のために話したい」という結果でした。

つまり、役員間で対話を増やす必要性を認識感しながらも、
実現できていないのが実情のようです。

また、役員間の「会話の質」はどうでしょうか。

日本企業での役員会議では、あらかじめ根回しがしてあり、
承認することが前提の案件が多いと聞きます。

「根回し」の元々の由来は、木を移植する際に
根を痛むことを軽減するための事前作業だそうです。

同じように、役員会議における根回しも、
会議上で対立が発生することを減らす役割を担っているように思います。
お互い領空侵犯をせず波風を立てないようにする経営会議であるなら、
役員同士の関係にもよそよそしさが生じてしまうのでないでしょうか。

ハーバード・ビジネススクールで、チーム作りの研究をしている
エイミー・C・エドモントンは、成功しているチームの
特別な行動のひとつに「率直に意見を言う」を挙げています。(※3)

具体的には、

・質問する
・意見を求める
・間違いについて話す
・助けを求める
・提案する
・問題や過ちや懸念について話しあう

というコミュニケーションだそうです。

こうした率直な関わりが、経営陣がチームとして機能していく上で、
さらに必要なものではないかと思います。

ここまで、役員同士の関係について述べてきました。
しかし、これは部長会議などリーダーの集まる場でも
同じことが言えるのではないでしょうか。

縦方向だけでなく、隣のリーダーの成功も支援する。
こう考えることが、組織の発展をさらに飛躍させることは
間違いありません。


【参考資料】
※1
『取締役会の仕事』(日経BP社)
ラム・チャラン、デニス・ケアリー、マイケル ユシーム (著) / 川添節子 (翻訳)

※2
コーチング研究所調査
「イノベーティブな風土と役員間のコミュニケーション」(2015年)

※3
『チームが機能するとはどういうことか
--「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ』(英治出版)
エイミー・C・エドモンドソン (著) / 野津 智子 (翻訳)

※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。

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