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リーダーとしてどのような能力を高めるか?

リーダーとしてどのような能力を高めるか?

2016年がスタートしました。

一年の目標を設定した方も多いと思いますが、
今年、リーダーとしてみなさんはどのような能力を高めていきたいですか?

グーグルの人事トップ、ラズロ・ボック氏は、
ベストチームづくりにむけた同社の教訓の一部を公開したともいえる著書
『WORK RULES!』の中で、
優れたマネジャーに共通して見られる8つの行動のひとつが、
「良いコーチであること」と記しています。(※1)

同著では、グーグルが業績を上げるために
「マネジャーが良いコーチであること」を重視していることがわかります。

また、元ハーバード・ビジネス・スクール教授のラム・チャラン氏も、
Harvard Business Reviewに、
「最下層のリーダー全員に、人材の評価、採用、コーチングに関する
厳しい訓練を受けさせるべきである」と記しています。(※2)

ここからも、リーダーとして、コーチングのスキルを備えていることの
重要性が見えてきます。

では、「コーチのスキルを備えている」ことは、
どのような意味があるのでしょうか?

コーチはさまざまなスキルを備えていますが、
中でも、特に大事にしているのが「質問力」です。

メーカーの事業部長をされているA氏は、事業をより成長させるために、
組織全体の意識改革をしたいと、コーチングを開始されました。

A氏には、社員が自ら新しいことを仕掛けることなく、
起きた事象の対応に終始する「守りの組織」に見えていたのです。


大なり小なり、組織運営がテーマになるとき、
「意識改革」という言葉は自然に使われているように思います。

が、そもそも、「組織全体が共有している意識」とは、
何によって作られているのでしょうか。

私たちは、「組織全体の意識」は、
リーダーがする質問によって作られる、と考えています。

脳科学の分野では、人間の脳は、質問されることを好む性質があり、
脳は、質問によって考え、活性化する、という説もあるようです。
人の意識は、頻繁に問われる「質問の方向」に流れる、
ということでしょう。


Aさんのコーチングでは、
はじめに、Aさんがふだんどのような質問をしているのか、
そのたな卸しからスタートしました。

「Aさんは組織全体や部下にどのような質問をすることが多いですか?」
「その質問は組織の目標達成に向けた質問として、最適な質問ですか?」

たな卸しの結果、

「うまくいったか?」
「もうできたか?」
「今日はどのくらい売れた?」
「どうしてうまくいかなかった?」

など、Aさんの質問は「結果」と「その理由」を問う質問が
多いことが分かりました。

組織に生まれていた意識は、Aさんが発する質問によって
「結果を気にするがあまり、新しいことにチャレンジすることや
行動を変えることに消極的になっている」ということが見えてきました。

Aさんと私は、
「事業の成長のために、組織や部下にどのような質問をするか?」
という問いを共に探索していきました。

毎回のセッションで一緒に質問を作り、
取捨選択してはまた作る、ということを繰り返しました。

自分でしたことのない質問を考えるのは、
実はとても難しいプロセスです。

それでもAさんは、毎回考え抜いた質問を最低10個は持ち帰り、
日常のあらゆる場面で、組織や部下に質問していきました。

Aさんに、特に大事にしている質問を5つ選んでもらいました。

「あなたの目標は何?」
「あなたが今、特に力をいれて取組んでいることは何?」
「そもそもこれは何のためにやっている?」
「私たちの事業は、世の中にどのような変化をもたらせるだろうか?」
「あなたが今日できる挑戦は何?」

もしあなたが、上司から上記のような質問を
頻繁にされることを想像してみるといかがでしょうか。

Aさんは、組織が、自分の理想としていた「攻めの組織」へと
変化していく手ごたえを感じるようになりました。

これは、リーダーの「質問力」が組織を変える一つの例です。

下記のアセスメントは、質問力のたな卸しのためのアセスメントです。
ご自身の質問力のたな卸しをしてみてください。

・新しい気づきが生まれるような質問をしている
・質問によって、相手に自発的に考えさせる機会をつくっている
・相手のための質問をつくることができる□
・答えを誘導するのではなく、自由に答えられる質問をしている
・短いフレーズでシンプルな質問をしている
・1回にいくつも質問をせず、1つのことだけ質問している
・自分の考えを伝える前に、まず周囲の人の考えを尋ねている
・5W1Hの疑問詞を使い分けている
・オープン・クエスチョンとクローズド・クエスチョンを使い分けている
・相手の考えを深堀りしたり、逆に抽象度をあげたりする質問をしている
・他の選択肢を引き出すような質問をしている
・自分に対して効果的なセルフクエスチョンをしている

リーダーは無意識に、組織や部下にさまざまな質問をしています。

ただ、その質問が組織や部下にどのような影響を与えているのか、
そこまで意識を向けているリーダーは多くないのではないでしょうか。

あなたは、あなたが実現したい組織を創るために、
どのような質問を組織や部下にしていきますか?


【参考資料】
※1
『ワーク・ルールズ!—君の生き方とリーダーシップを変える‐』
(東洋経済新報社)
ラズロ・ボック (著)、鬼澤忍 / 矢羽野薫 (翻訳)

※2
「戦略は人に始まる 〜CHROは経営者たれ〜」
ラム・チャラン、ドミニク・バートン、デニス・ケアリー
(Harvard Business Review 2015年12月号、ダイヤモンド社)

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