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「すぐに聞ける」チームの創り方

「すぐに聞ける」チームの創り方

先日ゴルフに行ったときのこと。

どこがどうおかしくなったのか、スコアが伸びぬまま、前半が終わりました。

ゴルフをする方には共感いただけると思うのですが、ゴルフは一度崩れると、なぜか丸1日、うまくいかないことがあるものです。

ランチを終えて、気分を変えて「よし、後半はがんばろう」とコースに向かって歩いていたとき、背中にまだ「がっかり感」がにじみ出ていたのでしょうか。

一緒に回っていた友達が笑いながら、「今日のお前、いつもより少しボールが左にあるかもな」とさりげなく言ってくれました。

そこで、後半はボールの位置を少し意識して調整しました。

すると、いきなりの絶好調。不調の原因は、ただ単にボールの位置がおかしかった、ただそれだけでした。おかげで後半は、いつも以上に満足するスコアが出たのです。

人はなぜ、自分がうまくいかないとき、その原因をすぐ人に聞けないのでしょうか。

なぜ「すぐ、人に聞く」ができないのか?

「自分の力で原因を探したい」
「人に聞くなんてプライドが許さない」
「そもそも人に聞くのがイヤ」
「相手の時間を取るのは迷惑だ」
「そんなことも知らないのかとフィードバックされたくない」

理由はそんなところかもしれません。

私も例外ではありません。

もちろん、人に聞く前に、自分で調べられることはたくさんあります。でも、グーグルで調べられないことほど、「人に聞く」と早く解決できることも、多々あります。

その日のゴルフもしかりですが、仕事でわからないことがあって前に進めないときも、その原因をグーグルでは探せないこともあります。

そんな時こそ「人に聞く」のが一番で、第三者は案外、自分を客観的に見てくれていて、原因を一発で指摘してくれるものです。

昔はアフターファイブに上司と飲みに行き、この「人に聞く」という行為を、お酒の力も借りながら誰もが気軽にできていたように思います。あらたまって「教えてください」と言わなくても、さりげなく上司が教えてくれることもよくありました。

でも今、この環境は減りつつあります。

では、そんな環境の中で、これからのリーダーがすべきことは何でしょうか。

リーダーの仕事が「チームの成果の最大化」であるならば、「メンバー同士が相談しやすく、なんでも聞きやすく、気軽に助け合える環境」をつくるために、リーダーができることとは何でしょうか。

会話の「活発度」と生産性の関係

AIと人間社会行動の研究で第一人者の矢野和男氏による著書『データの見えざる手 ~ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会~』には、会話をするときに身体を動かす量と職場の活発度や生産性の関連についての検証実験が紹介されています。

「会話時に頻繁によく動く」のは、「積極的に問題解決する人」に見られる特徴だそうです。前向きな会話をしているとき、人の身体の動きは活発になるといいます。

あるコールセンターで、休憩所でのオペレーターの会話の「活発度」と受注率には、相関があることがわかりました。

活発な会話がされると、身体の動きが活発になります。そのコールセンターでは、休憩時間に身体の動きが活発な日は受注率が高く、活発でない日は受注率が低いことがわかったのです。

そこで施策として、同世代の4人のチームで一緒に休憩を同時にとるようにしたところ、その活発度は10%以上向上し、受注率は13%も向上したのだそうです。

「なんでも聞いてね」の次の一手

私はこの本を読みながら、生産性が向上するような「活発な会話」はどのように生まれるのかを考えました。そして、「気軽に話せる、気軽に聞ける環境」とは、メンバー同士が顔を合わせた時の「心理的安心感」が関係しているのではないかと思いました。

当たり前のことかもしれませんが、リーダーが「なんでも聞いてね」「なんでも言ってね」「お互いに相談し合ってね」と口にするだけでは、「すぐに聞き合える組織」にはならないでしょう。

リーダーが気軽に聞ける環境、聞ける文化、フィードバックを自然に汲み上げる仕組みを用意し、無意識レベルでストレスを与えない環境を用意しなければいけません。

先の実験から、心理的安心感を生み出すために私がやってみたいと思ったのは、チームメンバーとランチタイムを一緒にとる場を作ること。そして、私自身が、今までメンバーには相談していなかったような「小さなこと」を思い切って聞いてみること、です。

これからのリーダーは、それぞれに方法を工夫することで、チームの会話を活性化し、メンバー同士がどんなことでも気軽に相談し合える、心理的安心感のあるチームをつくることが、大切なのではないでしょうか。

組織へのコーチング導入や組織リサーチについてなど、お気軽にご相談ください。

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【参考資料】
『データの見えざる手』(草思社)
矢野和男(著)

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