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「エゴ」とうまく付き合う方法

「エゴ」とうまく付き合う方法
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最近、とても居心地の悪い体験をしました。

エグゼクティブ同士の意見交換を意図した会食に参加したのですが、簡単に言うと、全く「盛り上がらなかった」のです。

ひとりが自社の取り組みを話すと、即、もうひとりが「うちではこうしています」と話し、話題が途切れる。お互いに自分のやっていることだけを話すのです。

その繰り返しを見ながら、私はある経営者の言葉を思い出しました。

「エゴが会社をダメにする」

「エゴ」と人の行動

「エゴ」を辞書で調べると、「自我、自尊心 / 利己主義な考え(自分の利益だけを考えること)/ 利己主義な人」とありますが、私たちが日常で「エゴ」と言うときは、もう少し"ネガティブ"なイメージで使うことが多いのではないでしょうか。

ライアン・ホリディ著『エゴを抑える技術』(※)では、「エゴ」を「自分が重要な存在だという不健全な思い込み、尊大さ、身勝手な野心」と定義しています。

私なりに解釈すると、過信による「このままで問題ない。自分は何でもできるし、なんとかなる」という、セルフトークが生まれている状態と言えます。

こうした状態にある時、人はどんな行動をとるのでしょうか。

  • 自分のやり方の正しさにこだわる
  • 自分の苦手なことや、できていないことを人に見せないようにする
  • わからないことや判断に迷うことがあっても、ひとりで考え続ける
  • 難しい場面に直面しても助けを求めない
  • よくない出来事が起こった時に、自分に都合よく解釈する
  • 新しいアイディアや情報をもらっても、もともと知っていたようにふるまう
  • 周囲からの提案やフィードバックを受け流す
  • 周囲の意見に対して、欠点や足りないことばかりを指摘する
  • 周囲から援助の申し出があっても断る

冒頭の会食では、それぞれのエグゼクティブが「自分の正しさ」にこだわり、主張し、お互いから学ぼうという姿勢は全く見られませんでした。

新しいプロジェクトを生み出した会食

実は、時を同じくして参加した別の会食では、全く異なる光景がありました。

同じように別の企業のエグゼクティブが同席していたのですが、双方が、相手の話すことに興味関心をもち、

「それは知りませんでした。もっと教えてください」

「実は弊社でも同じようなことが起きています。どのようにされているんですか?」

とやりとりが続き、話がどんどん広がったり深まったりしていくのです。他社にそこまで情報を開示して大丈夫なのかと、私が心配するほどでした。

後日、片方のエグゼクティブにお話を伺うと、会食の場で思いついたアイディアを活かして、早速新しいプロジェクトを立ち上げたというのです。

これは会食の場で起こったことですが、同じようなことは、組織の中でも起こりうることです。

「エゴが会社をダメにする」

これは、見過ごせない一言ではないでしょうか。

ワールドカップやタイ洞窟のニュースと「エゴ」

最近、話題になったニュースにも、「エゴ」を乗り越えて結果を出したように思えた出来事がありました。

ひとつは、タイの洞窟に閉じ込められた少年たちが救助されたニュースです。一日遅れていたら、少年たちは助からなかったかもしれないとも言われています。

救助が成功した大きな要因のひとつに、タイが世界中の援助を受け入れたことだという報道もありました。実際、各国から軍や洞窟探検家、さまざまな分野の専門家たちが訪れ、アイディアを出し合って救助方法を考えたようです。

もし「自分たちだけでできる」と判断していたら、どうなっていたでしょうか。

もうひとつは、フランスの優勝で幕を閉じたサッカーのワールドカップです。

日本の躍進に大いに盛り上がりましたが、日本経済新聞に、西野朗監督のマネジメントスタイルについての記事がありました。記事の見出しは、「西野流『聴く力』結実」。

スタッフや選手からは、

「型にはまった考え方をせず、いい意味でこだわりがない」
「スタッフの進言を最大限に取り入れた」
「まず聞く側に回り、最後は自分で決める」

という声が聞かれるようです。

西野監督は、Jリーグの最多勝利数を誇る監督で、監督経験は日本の中ではトップクラスです。記事からは、西野監督の「エゴのない」采配スタイルが伝わってきました。

では、予期せぬ様々な場面で現れる「エゴ」を、私たちはどのように対処していけるのでしょうか?

「エゴ」の対処方法とは?

『エゴを抑える技術』には、「エゴは、コントロールし、方向付けることができる」と書かれています。

つまり、「エゴ」は、捨てたり、消したりするものではなく、「うまく付き合うもの」であるということです。「エゴ」が現れないようにするためにエネルギーを使うのではなく、むしろ、現れた時にいち早く気づいて、コントロールしていくものだと思います。

エゴが出てきたときに、それに素早く気づく。

そのためにはどんなことができるのでしょうか。

冒頭に挙げた項目について、自分の行動を時々振り返るのもいいですし、周囲の人たちにフィードバックを求めるのも一つの方法です。

ちなみに私は、週に一度、上司へのホウレンソウの回数を数えるようにしています。そして、回数が減ってきているときは、自分の状態を確認すると決めています。

ホウレンソウが減っているときは、エゴからくる「誤解した有能感」で、人の力を借りなくても大丈夫、自分ひとりでできる、と思っていることが多いことが、経験上わかっているからです。

「エゴ」は、成果を上げるためには、必要なものでもあります。

だからこそ、エゴとうまく付き合う方法を見つけませんか?

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参考書籍
※ ライアン・ホリデイ(著)、金井啓太(翻訳)、『エゴを抑える技術』 、パンローリング、2016年

※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。転載、その他の利用のご希望がある場合は、編集部までお問い合わせください。

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