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多様性ある組織をつくるために変わるべきは、誰か?

多様性ある組織をつくるために変わるべきは、誰か?
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お客様とのお話で、ダイバーシティー&インクルージョンがよくテーマになります。

最近は、圧倒的に女性活躍の話が多く、「幹部候補の女性たちにコーチをつけたい」とご相談をいただくことも増えてきました。

お話を聞いて感じるのは、ダイバーシティー&インクルージョンとは、推進メンバーや関係部門が多岐にわたるなど、なかなか複雑で、短期に結果が出るような簡単なチャレンジではない、ということです。

そしてもう一つ思うことがあります。

それは、ダイバーシティー&インクルージョンの取り組みを成功させるための「一番のキーパーソンは、一体誰なのか?」ということです。

何がダイバーシティー&インクルージョンを阻むのか?

ダイバーシティー&インクルージョンを推進する人たちの表情は、決して明るくはありません。多くの苦労が伝わってきます。

  • 経営陣の本気が現場に伝わらず、形だけの取り組みになっている。
  • 役員会では誰もが賛同するが、実行段階になると事が進まない
  • 女性支援にむけて様々な施策は打つが、本当に必要なことが何なのか確信がもてない

といった声も多々お聞きします。

そもそも、ダイバーシティー&インクルージョンの推進を阻む最大の要因は、一体何なのでしょうか。

「Inclusive Talent Management」の著者、ステファン・フォーレストは次のようにまとめています。

  • 私たちは、そもそも、変化を好まない。
  • 私たちは、自分と似た人間を好み、自分たちの基準に挑戦されることを恐れる。
  • 私たちは、自分と似た人間を高く評価してしまう。また、そのことに気づいていない。

つまり、「同一性」は私たちに居心地の良さを提供し、「同一でないもの」は居心地の悪さを生む。その「居心地の悪さ」がダイバーシティー&インクルージョンの推進を妨げになっている、ということが言えます。

では、その「居心地の悪さ」を超えるには、何が必要なのでしょうか?

居心地の悪さを乗り越えるために

私は、中学3年生の時に父の仕事でアメリカのフロリダに行きました。渡米直後の私の英語力は全く話せないレベルでしたが、現地校に入学しました。日本人は、私の妹以外誰もいない環境です。

言葉が通じないだけでなく、これまでに接したことのない文化やバックグラウンド、価値観、考え方も異なる人たちに囲まれ、居心地の良さのかけらもない環境でした。しかし数年の後、ニューヨークの大学に行く頃までには居心地の悪さは自然となくなっていきました。

果たして、何が変わったのでしょうか。

私の中で何か特別な「意識改革」が起きたわけではありません。
また、周囲の人たちが「多様性を受け入れよう」と制度をつくったり、方針を変えたりしてくれたわけでもありません。

単に「環境に慣れただけ」とも言えますが、一番の違いは、私自身に「その環境でやっていく能力」が身についたということだと思います。

英語を話せる能力、文化の異なる人を理解する能力、自分の考えていることを表現できる能力、などでしょうか。そうしたさまざまな「能力」が身についたことで、「居心地の悪さ」を感じることがなくなったのです。

組織や企業でダイバーシティー&インクルージョンを推進するとき、経営層の本気度や、マネジメントの意識改革、社員の理解、現場での制度や支援対策といったことも、もちろん大事でしょう。

しかし、それ以上に必要なのは、組織を構成する社員一人一人の、ダイバーシティー&インクルージョンを実現するための「能力開発」なのではないかと考えます。

もし、社員一人ひとりに「多様な人たちと協働できる能力」があるならば、組織が多様化していくことに、それほど抵抗を感じることはなくなるのではないでしょうか。

では、ダイバーシティー&インクルージョンを成功させるためには、誰の能力を開発する必要があるのでしょうか。

個性は一人ひとり違う

女性の活躍を推進するために、幹部候補の女性にコーチをつけたい。

そんなご相談をいただくと、私は、出来る限りその対象となっている女性たちに直接話を伺うようにしています。そこでは、意外な本音を耳にすることがあります。

  • 私は、会社からすでに沢山の支援を頂いている。
  • コーチを必要としているのは、自分たちだけでなく、女性の活躍推進に戸惑っている人たちの方ではないか?
  • 一口に「女性」といっても、一人ひとり仕事への考え方やビジョンは異なる。

などがその代表例です。

女性たちが活躍するには、女性たち自身だけでなく、その力を引き出し、組織に活かす周囲の人たちの力が何より大事だ、ということを言っているのです。

ダイバーシティー&インクルージョンの目指す先は、労働力の確保や、公平な機会の提供にとどまるだけではありません。そこから新しいアイディアを生み、多様化する社会のニーズに合わせ、企業を継続的に成長させることだと思います。

だとするならば、リーダーである人たちこそが、まず一番最初に先陣を切る。
そして、「互いの個性と向き合い、互いの能力を活かし合う能力」を育み、組織風土を根気強く作っていく。

それが、この長く複雑な取り組みに成功する秘訣ではないかと思います。

あなたは今、周囲にいる人の個性がどれだけ見えているでしょうか。
そして、それをどれだけ活かす能力を持っていますか。

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