Coach's VIEW

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「ありがとう」で新年を

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街は華やかなイルミネーションでクリスマス一色ですが、お仕事の調子はいかがでしょうか?

年間目標が達成できるかどうかのヒヤヒヤ、大先輩が職場を去る寂しさ、新たな役割への期待と不安...さまざまな気持ちが交錯する時期なのではないでしょうか。

年の瀬だからこそ、リーダーとしてメンバーに伝えられることって何でしょうか?

若かりし頃、この時期に上司から言われたあの一言、あの場面、ご記憶にないでしょうか?

  • チーム目標を達成した歓喜の中、自分が頑張ったことを見ていて、そっと伝えてくれた上司
  • 他のメンバーの活躍ぶりは笑顔で話していたけど、自分には「まぁ、お前も頑張ったな」と、冷めた雰囲気だった上司
  • いつも険しい顔なのに、歓送会で去り行くメンバーへ寂しさを滲ませ、思い出を語った上司
  • 業績推移や施策を誇らしげに話すものの、メンバーへのメッセージが一切ない上司
  • 毎年同じセリフで労い、納会を締める上司

この時期に何を伝えるかで、上司やリーダーの真価が問われると言っても過言ではないのかもしれません。

では、その違いは何なのか?

それは、「リーダーからの感謝」にあるのではないでしょうか。

人を幸せにする4つの因子とは

先日、今年1年にわたって組織改革に全力を注がれた社長さんとのコーチングがありました。一年を締め、来年にむけて従業員のモチベーションを繋ぐために、メンバーの幸福感を刺激したい、というお話になりました。

幸福学研究の第一人者、慶応義塾大学教授 前野隆司氏によれば、人の幸福は4つの因子で決まるそうです。(※1)

1.「やってみよう!」因子(自己実現と成長の因子)

自分のやりたいことをとことんやれているか、自分の成長が実感できているか

2.「ありがとう!」因子(つながりと感謝の因子)

社会や周囲の人へ貢献ができているか、周囲に感謝を伝えられる相手がいるか

3.「なんとかなる!」因子(前向きと楽観の因子)

前向きな物事の捉え方ができるか、失敗や不安から短期に立ち直れるか

4.「あなたらしく!」因子(独立とマイペースの因子)

勝ち負け最優先でなく、ありのままの自分でいるか

個人でこれらの因子を意識して行動するだけでなく、組織としても、これらを反映した制度や仕組みを入れると、社員全体の幸福感が高まるそうです。

また、「ハーバード・ビジネス・レビュー」にも、幸福感とパフォーマンスには深い関係があり、幸せな社員は不幸せな社員よりも創造性が3倍、生産性が1.3倍高くなる、という記事がありました。(※2)

幸福感があると心の病になりにくく、欠勤率や離職率が低くなり、働き方改革にも通じるところがあるように思います。

「リーダーの感謝」は、この4つの因子の2番目、「ありがとう」因子に相当します。

感謝のレパートリー

経営者のリーダーシップに関するアンケートやインタビューでは、

  • リーダーは仕事を任せてはくれるが、自分の仕事ぶりがリーダーの期待に応えられているかどうかはわからない
  • 仕事ができるリーダーだが、感謝されることがない
  • 業績は上がっているが、自分は使われているだけだ

といった声が部下から寄せられることが多くあります。

業績やプロジェクト、タスクといった「モノコト」を大事にしてきたリーダーほど、ご自身がどう思い、感じているかなどの「感情」を話さない。そして、「モノコト」を評価する表現が多くなる。そんな傾向を感じます。

あなたは日ごろ、リーダーとして

  • メンバーのどんな成長に嬉しさを感じますか?
  • 業績を上げるために、メンバーのどんな行動や姿勢を評価、承認していますか?
  • メンバーにどんな場面で感謝を伝えていますか?
  • メンバーにどんな言葉で労っていますか?
  • 幸福の4要素の中では、どの要素にもっとも働きかけていると言えますか?

これらの質問への答えは、きっとあなたの大事な表現のレパートリーなのだと思います。

今は年末、クリスマス。

メンバーに、いつもとは内容、手段、伝え方を変えて、感謝を伝えてみるのはいかがでしょうか?

  • 先の質問への答えのどこか変化をつけるとしたら何ができますか?
  • あなたは使っていないが、他のリーダーたちが使っている感謝の言葉は?
  • いつもと違うタイミングで感謝を伝えるとしたら、いつがベストでしょうか?
  • あなたが見つけきれていないメンバーの貢献を、どうやって見つけますか?

いつもと変えて感謝する、その新たなレパートリーの発掘に悩んだら、周囲のメンバーを巻き込んでみてください。

職場やプロジェクトのメンバーみんなで、一人ひとりのメンバーについて、感謝、期待、貢献の想いを馳せる。すると、メンバーの沢山の活躍ぶりが見えてきます。

「お客様の問い合わせに、こんな気配りをしている」

「リーダーが帰った後に、こんな努力をしている」

メンバー同士が見ていることに新たな発見があったり、リーダーである自分にしか見えていなかったことを伝えることで、メンバーが嬉しく思うこともあると思います。

メンバーが「リーダーの感謝」を聞いて自身の成長を感じ、これからの期待や成果をイメージすることができるなら、2019年、きっとパフォーマンスとして跳ね返ってくるのではないでしょうか?

最後に、もう一つ、感謝のレパートリーをお伝えします。

Love Actually ...

というクリスマス映画があります。クリスマス5カ月前から9組のカップルの行く末を追ったラブコメディーで、エピローグはクリスマスの1カ月後に迎えます。

映画に出てくる夫婦やカップルはみな個性的です。それぞれがそれぞれの葛藤を経ながら、紙芝居でそれぞれの方法で想いを伝えていきます。

家族や友人たちと映画をみれば、想いを伝えるレパートリーを増やすことができるでしょう。

ちなみにLove Actually...の意味は、冒頭シーンのメッセージに答えがあります。

Love Actually is all around

見渡すせば、愛はどこにでもある、といったところでしょうか。

感謝を伝えるメッセージの題材も、どこにでもある。

あなたはこの節目を迎えるこの時期に、誰に何を伝えますか?

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【参考文献】
『幸せのメカニズム 実践・幸福学入門』 (講談社現代新書) 
前野 隆司

「個人、組織、社会に広がる幸福経営学」 
EIシリーズ創刊記念イベント「働く私たちの幸福学」講演録[後編] 
(ハーバード・ビジネス・レビュー)

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