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「現地化の枠」を超える

「現地化の枠」を超える
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私はいま、年間で140日ほど中国に出張しています。

日系企業様を訪問するたびに、きまって出てくる話題があります。

「現地化」です。

まさに、古くて新しいテーマとも言えるでしょう。

「お客様は中国人。ビジネスパートナーも中国現地企業。
だから、中国市場や相手の商習慣を理解できる中国人に活躍してほしい」

これは、中国に限らず海外でよく聞く「現地化」の考え方です。

それは、深く納得できることです。

実際、現地スタッフが活躍する組織を作り上げ、成果を上げる企業もたくさんあります。

ただ、私は最近、本当にそれだけが「現地化」なのだろうか?と考えるようになりました。

「現地化」に正解はない

上海にある食品メーカーの日本人総経理の方から、壮大なビジョンを伺いました。

「近い将来、いくつも会社を買収して事業の拡大を図りたい」

「そして、この上海拠点から、そこに送り込む経営人材を多く輩出していきたい」

さらに、「日本本社を傘下に収めることも夢ではない」とも笑いながら言うのです。

よく耳にする「現地化」とは次元の異なる発想でした。

また、大阪に本社を構えるメーカーの中国現地企業の社長はインド人です。

この会社では、元々「社員の国籍」という発想を解き放ち、ビジネスモデルと地域特性を鑑みながら真に必要な人材の登用に重点を置いているのだそうです。

その結果、中国ではこのインド人に白羽の矢が立った、ということだそうです。

「現地化」という言葉には、地域の特性に応じてテーラーメードに対応する、という意味もあるようです。

これをそのまま素直に受け取れば、「正しい形」や「正しい方法」があるわけではなく、現地の国籍ではない人がトップになるような事例も、むしろもっとたくさんあってもいいはずです。

リソースは広げられる

昨年、楽天がグループの新たな研究機関として「楽天ピープル&カルチャー研究所」を新設しました。社員のエンゲージメントを中心に組織開発を担う部門が指揮する機関として位置付けられているようです。

増えつづけるサービスや海外展開、M&Aに伴う社員や地域の多様化など、楽天グループがおかれる経営環境は複雑さが加速しているのでしょう。

そのような中で、グループミッション「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」の体現にむけ、自らの組織を素材に研究し成果を上げる取り組みだ、と私は理解しました。

この研究の行く末や結果に私が興味を喚起される理由のひとつは、研究推進のためのインプット元の多様性です。

人材開発、組織開発、経営の領域はもとより、時代をけん引するGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)からスタートアップなど、さまざまな他社事例だけでなく、スポーツで常勝集団といわれるチームが持つ風土、心理学、医学そして脳神経学にも及びます。

個と組織(集合体)が織りなし創り出される力学であれば、あらゆる情報が組織開発の知見になる、という視点です。

組織開発の分野で「自社の枠組み」を超えて取り組む視点は、日本ではまだ斬新なのではないでしょうか。

しかし、少し視点をずらせば、ついこの間まであったはずの「枠」がなくなり、人や情報が自由自在につながる現象は、すでに足元でたくさん起こっていることに気づきます。

複数の会社と契約して働く人の増加、いきなり海外で起業する会社、数十人が世界中の自宅からアクセスして参加するネット上のワークショップなど、自然な流れで「枠を越えた」例は、身近に多々あります。

どのような価値を生み出したいか?という視点で、目の前のリソースを見直し再設計することで、国、業種、親・子会社の関係性といった「これまでの枠」に捉われることなく、新しい「現地化のカタチ」を自由に作れる時代なのです。

「新しい現地化」とは

「現地化」という、古い言葉だからこそ、思い込んでいる枠があるとしたら何でしょうか。

現地法人とは、その地域の特性を活かさなければならないと、縛られていないでしょうか?

現地「化」という以上、何かの変化、進化形というニュアンスが感じられますが、何を変化・進化させようとしているのでしょうか?

また、今日以降の「新しい現地化」があるとしたら、それはどのようなものでしょうか。

  • 今まで前提として考えていた条件はなんだったでしょうか?
  • それを考慮しなくていいとしたら、どのような組織が描けるでしょうか?
  • 世界地図の中で現地の組織を見直したとき、どのような組織をつくりたいですか?

あらためて、「現地化」を見つめなおす契機となれば幸いです。

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【参考資料】
「いま話題の人と組織を考えるコミュニティー ~企業文化や組織開発に特化した研究所を新設 未来に向けた人・組織を考える 『楽天ピープル&カルチャー研究所』~」
HRコンソーシアム 2018.11.30

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