Coach's VIEW

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社員を信じるリーダー、信じないリーダー

社員を信じるリーダー、信じないリーダー
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「今のメンバーと過去最高の成果をあげる」と思っているリーダーやメンバーと、「今のメンバーでは何をするにも難しいな」と思っているリーダーやメンバー。

みなさんは、どちらのリーダーや同僚と一緒に働きたいですか?

組織を見る、2つの見方

私はいま、東南アジアを中心に日系企業の組織開発をご支援しています。

トップマネジメントの方には、海外駐在がはじめてという方、同じ国に二度目の駐在という方、多くの外国にいらしたことがある方など、さまざまです。

そして、現地の組織や社員に対する意見や想いも、さまざまにお持ちです。

「うちの社員たちは、なにかいいアイディアを持ってますよ」
「現地スタッフは受け身とかやる気がない、と聞くことがありますが、そうさせているのは我われ日本人の関わりなんです」

と言う方もいれば、

「最近は諦めています。現地スタッフには、何を聞いても出てきません」
「彼らは結局、上に決めてほしいのです。その方が楽ですから」

と言う方もいらっしゃいます。

では、どちらの組織が売上や社員の定着率といった業績指標が上がっていくでしょうか。

これまで多くのお客様と組織開発をともに進めてきた経験から感じるのは「リーダーや社員の、職場に対する"主観的評価"が低い組織に、業績指標が良いケースはほとんどない」ということです。

「日本」で働く日本人と、「中国」で働く日本人に、違いはあるのか?

コーチング研究所が調べた興味深いリサーチ結果があります。

「日本で働く日本人」と「中国で働く日本人」を対象に、自分自身の状態や職場状態に関する主観的評価を比較したものです。

[調査対象:日本で働く日本人2,045人、中国で働く日本人143人 /
調査内容:Leadership Assessment / 調査期間:2012年10月~2019年5月]
コーチング研究所 2019年

同じ日本人でありながら、まったく異なる環境である外国の職場を見ても、自分自身の状態や、会社との関係性、職場状態に対する主観的評価は、ほとんど変わらない、という結果です。

これは、なにを意味するのでしょうか?

自分の考え方や行動を変えるには、時間配分を変える、住む場所を変える、つきあう人を変える、といったことをすると良い、と聞くことがあります。

しかし、このリサーチからは、ちょっとやそっとで、我われのものの見方や考え方、捉え方を変えるのは、かなり難しそうだ、ということが言えそうです。

ものの見方や考え方、捉え方を変えることは出来ないのか?

「社会構成主義」という考え方があります。

私なりに簡略化して説明すると、「人間関係が現実を作る。『現実』とは、『人々の頭の中でつくり上げられていくもの』ではなく、人と人の関わりの中で創造された結果』である。ということはすなわち、『再構築が可能』である」というものです。

社会構成主義の研究に大きな貢献を果たしているケネス・ガーゲンは、「価値ある再構築を起こすもの」として「対話」の可能性を説いています。

「人は、違うものの見方や、考え方と交わる時、やれることは1つとか2つではなく、もっと『たくさん』あることに気づく。対話は私たちに『たくさん』のことをやれる可能性をもたらすのだ」と。

「職場の捉え方」は「対話」で変わるのか?

この「対話の可能性」を示す、あるプロジェクトをご紹介します。

ASEANの数千人規模のある日系企業では、「会社が実現したいビジョン」に向けて大きな組織変革に取り組んでいます。

まず、日本人と現地社員の中から、18人の変革キーリーダーが選ばれました。

そして、「提案と挑戦であふれる組織づくり」にむけて、直属の部下ではない、他部門のメンバー5~6人を半年間にわたってコーチングし続けるというものです。

「ビジョンが実現した理想の職場」の象徴項目として、以下をはじめ30項目の変化を測定していきました。

  • 私の職場では、皆が明るく活き活きと働いている
  • 私の職場では、仕事は提案型で進められている
  • 私の職場では、個々の異なる強みや得意技が尊重されている
  • 私の職場では、会議においてオープンな意見交換や本質的な議論をしている

さて半年後、何が起きたでしょうか?

18名のキーリーダーたち自身の、30項目に対する評価スコアが大きく上昇しました。

一方で、キーリーダーと同じ職場にいながら、プロジェクトに直接参加していない「その他」の人たちにはスコア上昇がほとんど見られませんでした。

同じ職場を見て、「変わった」と感じられる「キーリーダー」群と、「変わった」と感じられない「その他」群。これは、いったいどう考えられるでしょうか。

18人の「キーリーダー」群と「その他」群の違いは、部門外のメンバーと継続的にコーチングしたかどうか、だけです。

このことは、ガーゲンの言葉を借りるならば、「キーリーダー」たちは、これまで関わることの少なかった他部門の社員たちと、組織のありたい姿、ビジョンについてコーチングを続けた。そしてこのコーチングが、ガーゲンのいう「対話」の役割を果たし、その結果、これまでは「できそうもない」と感じてきたことに、「何かをやれそうだ」という再解釈が起きたということではないでしょうか。

職場に可能性を感じ始めたキーリーダーたちは今、それぞれの職場で、自社のビジョン実現に向けて自発的なミーティングなどを始めました。

「会社にとって、このビジョンの実現は、この国にどんな価値をもたらすのか?」
「あなたにとって、このビジョンの実現は、どんな意味があるのか?」

また、国境をわたり隣りの国の生産工場の責任者に抜擢されたリーダーもいます。

このリーダーはまたこの国で、ビジョン実現にむけて社員たちとの対話を始めています。

「対話」から始める

どこの職場、どこの会社、どこの国にいっても、私たちの見方や捉え方を変えるのは難しいことなのかもしれません。

であれば、自分の見方や捉え方を変える可能性のとびらを開く「対話」から始めてみるのはどうでしょうか。

そこに挑戦する価値は小さくないと思うのです。

さらに言えば、もしあなたがリーダーであるならば、その価値はさらに大きいだろうと思うのです。

先の企業の変革プロジェクトは、これから第2フェーズに入ります。

目の前の職場メンバーに可能性を感じ出したキーリーダーたちが、周りのメンバーたちとさらにどんなドラマを紡ぎ出していかれるのか、今から目が離せません。

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【参考資料】
『現実はいつも対話から生まれる』
ケネス・J・ガーゲン、メアリー・ガーゲン(著)、伊藤守(監修、翻訳)

※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。転載、その他の利用のご希望がある場合は、編集部までお問い合わせください。

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