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誰が組織文化を創造するのか

誰が組織文化を創造するのか
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我々を取り巻く環境が大きく変化する中、組織としての「変化のスピード」は、経営において非常に大きなテーマです。そしてそのスピードに大きく関係するのが「組織文化」と言われます。

「組織文化」とは、具体的に何を指すのでしょうか。

一般的に「組織文化」とは「現場で起こっている現実」を指します。「ものの見方」や「考え方」、組織内の「仕事の進め方」や「振る舞い」といった組織内の日常です。つまり、その組織に属している誰にとっても「あたりまえ」のものなのです。「あたりまえ」すぎて、何が文化なのかに気づきにくい。しかし、それは確実に社員の思考と行動のパターンに強い影響を及ぼします。

つまり、社員やメンバーの意識や行動を変えたいのであれば、組織文化を変える必要があるのです。

「組織文化」を理解するプロセス

組織の変革を導こうとするリーダーにとって、自らの組織文化を理解することが最初のステップになります。何が起きているかを理解しなければ、それを変えることはできないからです。

「学習する組織」のコンセプトを世界に広め、経営学に貢献したと言われるピーター・センゲは、著書である『出現する未来』の中で、組織文化研究の第一人者エドガー・シャインの「組織文化とリーダーシップ」に関する考え方を紹介しています。

「エドガー・シャインは、『組織の文化を理解したいなら、会議に出るに限る(※)』と主張する。誰が発言し、誰が発言していないのか、誰の話が聞かれ、誰の話が聞かれていないのか、どの話題が取り上げられたか、どれが無視されたり笑いものにされたりしているかは、その組織の実態を知るうえで有力な手がかりとなる」

つまり、日常の振る舞いとしてあたりまえのものになっている「文化」を知るには、自分の目や耳で実際に何が起こっているかを観察(客観視)することが大切だといいます。さらにセンゲは、次のように続けます。

「会議が終わったとき、気持ちが動いた出来事を思い出してみる。その出来事が起きたとき、自分がどう感じ、何を考えたのか、想像力を駆使して再現してみる。それを同僚に話したり、ノートに書いたりするのも役立つだろう」

観察によって得た客観的な情報に加え、さらに自分自身がどのように感じたのかに向き合うプロセスは、自らが組織の一員として、その文化にどのように影響しているかを知る機会にもなるでしょう。

リーダーシップと「組織文化」は表裏一体

エグゼクティブ・コーチングのクライアントである精密機器メーカーのA氏は、この10月から執行役員に昇格し、今まで30年間所属していた事業部を離れ、2つの事業部が統合された新しい事業部の組織変革を担うことになりました。新組織は2つの組織が統合されたこともあって、文化の違いによる軋轢も生まれていました。

A氏は、リーダーとしてどのように新しい組織を率いていくかを考える上で、まず、現在の組織の文化がどのような状態にあるかに目を向けました。A氏は自ら現場を歩き、社員の話に耳を傾けることで、それぞれの組織の文化を理解していきました。そのプロセスはまた、A氏の考える新しい組織の理想の文化のイメージを創ることにも役立ちました。

そしてA氏は、二つの文化の違いを乗り越えて「新しい文化」を創造するために、新たな組織の未来に向けて「この組織で何を実現したいか」「そのために一人ひとりに何ができるか」を一人ひとりに問いかけていきました。未来に向けての「問い」を共有することで、A氏の組織は確実に変化に向けて動き出しています。

* * *

組織に属する一人ひとりの行動は、その文化に影響します。それはつまり、新しい文化の創造も一人ひとりの行動から始まることを意味します。A氏のように組織を率いる立場でなくとも、新しい文化を創造し、さらに発展させていく役割を担える人材こそがリーダーと言えるのかもしれません。

変革のためには、まずは観察すること、そして、理解すること。

あなたは、今の組織文化とどのように向き合っていますか? また、あなた自身はどのような影響を及ぼしているでしょうか。

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【参考資料】
ピーター・センゲ他著、野中郁次郎(監訳)「出現する未来」(講談社)、2006年
(※ 上記書籍内の紹介より E.Schein, “Organizational Cultures and Leadership”, 2nd ed.(San Francisco: Jossey-Bass, 1992); E.Schein, “The Corporate Culture Survival Guide (San Francisco: Jossey-Bass, 1999))

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