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会社の文化を変えるとは、何を変えることなのか

会社の文化を変えるとは、何を変えることなのか
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あなたの会社は、お客様や友人から、どのような会社だ、と言われることが多いですか?

仕事柄、さまざまな業種業界との接点を頂きますが、その会社のありようや雰囲気は、お一人の方と話していてもよく分かりません。でも、訪問して受付の方同士の様子や、守衛さんと社員の関わり、特に、複数が参加するミーティングに参加すると、その会社の様子を一気に感じられるようになります。

目の前にいる二人の間に流れる空気だったり、座ったときの距離感、お互いがどんなふうに視線を合わせているか。

「気持ちのいい、緊張感のあるチームだな」
「上の人が権威的だな」
「なんて、楽しそうな人たちなんだ」
「ほとんど目も合わせないんだな」

そこからその会社の自由度、勢い、会社へのエンゲージメント、楽しさ、責任感、やる気......こういったものを感じとることができます。

これは会社風土の表れと言えるのではないでしょうか。

文化は社員同士の会話の中に存在する

「会社の風土、文化を変えたい。もっとイノベーティブな提案と挑戦にあふれるものにしたい」

こう考えている経営者の方は多いのではないでしょうか。

風土や文化というと、どこか雲をつかむようですが、要は、社員同士が交わす言葉や行動の積み重ねです。であれば、会社の文化とは、オフィスや建物にあるわけではなく、社員同士の会話の中に存在しているのではないでしょうか。

とすると、「会社の文化を変える」とは、社員同士のコミュニケーションを変える、そしてさらには、お客様や友人があなたの会社に触れて感じることが変わることだ、と言ってもいいかもしれません。

ありたい姿が明確になれば、文化は変わるのか

会社の文化に一番大きな影響力をもつのは誰か。それは言うまでもなく経営陣です。ある大手老舗メーカーのA社では、現在、社長のBさんの強いリーダーシップのもと、組織文化の変革を進めようとしています。

経営チームで自分たちのありたい姿について議論を重ね、言語化し、再構築しています。そしてこれを世界中の社員に共有すべく、対話会などが各所でスタートしています。

プロジェクトが進捗する中、Bさんは少し不安そうに、こんなことをおっしゃいました。

「こうしてありたい姿を言葉にして、固定化していいのだろうか。地に足のついた変革となるのだろうか」

多くの企業では、ありたい企業文化は明文化され、社内外に発信されていきます。基本的には誰もが賛同するような言葉が並ぶので、それに反対する人はほとんどいません。

しかし、それが標語やスローガンとして額に入ったお飾りになり、誰もが賛同しているはずなのに組織の動きが変わるわけではない、といった話もしばしば耳にします。

Bさんの不安は、こういった点にあるようです。では、額に入ったお飾りではなく、地に足のついた変革にするために足りないピースがあるとしたら、それは何でしょうか。

「答えは未知である」

これにひとつのヒントを与えてくれる、ある病院での組織変革の取り組みがあります。

『どんな外的環境の変化にも、この地域で生き残り、そしてすべての患者さん、家族、職員が安心できる病院であろう』

このビジョンを掲げ、6年にわたる組織変革活動を続けている、地方の大規模病院です。

病院長であるCさんは、

「このビジョンを実現する病院が具体的にはどんな病院なのか、それは『未知』です」

と語ります。

「これだけ変化が激しいと、もはや我々幹部たちに答えがあるわけではありません。我々と職員が、患者さんを前に、一緒になって考えていくことで初めて見えてくるのです」

このビジョンを策定した当初、職員からは「それってどうしたらいいんですか?」「言われた通りにやるので、ご指示ください。」といった声が上がったそうです。

でも、これまでのように「教え、教わる」「指示通りに愚直にがんばる」というコミュニケーションに限界が来ていたことを痛感していたCさんは、「話す、聞く、共に考える」というコミュニケーションに変え、怖かったけれども「信じて任せる」ことを忍耐強く続けていったそうです。

「このビジョンを実現している病院がどんな病院なのか、それは一人ひとりが自ら見つけ出すしかありません。我々同士の対話と実践を通して見えてくるものなんです」

Cさんの言葉は、Cさんが職員と向き合ってきた積み重ねがあるからこその重みと確信、そして一種のすがすがしさとともに私に伝わってきました。

変えたいと思うのであれば、まず自らが変わる必要がある

私は、Cさんのお話の中に、地に足のついた組織変革のための重要なヒントがあるように思います。

それは、「答えは未知である」という態度です。

組織であれば、ビジョンやパーパスがあり、これを実現するための計画があります。しかしこれを実現する「自分たち」がどんなチームであろうとするかに正解はありません。部門、職場によっても異なるかもしれませんし、扱う製品によっても違うかもしれない。答えは所与のものではない。だからこそ、「自分たちで共に考え探索し、変化を共に創っていく」という双方向のコミュニケーションへのシフトが求められます。

組織文化は経営陣と社員とが共に日々創ってきたものです。いままでと同じ関わりであれば、いままでと同じ未来となります。経営陣が、文化を、そして未来を、本気で変えたいと願うのであれば、社員との向き合い方を日々の中でどう変えていくのか、どうコミュニケーションを変えていくのか、です。

変化を起こすとは波風を起こすようなものですから、当然コンフリクト(対立)も起こるでしょう。また、これまでと違うアプローチをとるわけですから、Cさんがおっしゃったような「怖い」という感情や、何かを手放す不安も生じるかもしれません。それでもなお、変えていこうとするその本気が試されているということなのだと思います。

地に足の着いた変化を起こすためには、あるべき姿を論じ発信するにとどまらず、日々の中で社員との向き合い方を変え、対話し共に未来を探索する。

ここにたどり着いたとき、お客様や友人のあなたの会社に対する印象も変わり始めるのではないでしょうか。

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