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好奇心はどこからやってくるのか

好奇心はどこからやってくるのか
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先日、弊社に中途入社した社員がいます。彼女は外資系のマーケティング会社のトップを10年以上務めた経験をもち、営業が得意中の得意です。自分の参考にもしたいと思って、彼女に尋ねました。

「これまで営業をやってきた経験から教えてほしいのだけれど、人は何で動くものなの?」

彼女は間髪入れずに答えました。

「人は fear(恐れ)か greed(欲)で動くものではないでしょうか。ですから営業では、そこに働きかけるのが大事だと思います」

多くの経験から抽出された、彼女の明快な軸です。強い信念があることが感じられました。でも「人が動く理由は、本当にその二つだけだろうか?」そう思った私は、重ねて彼女に尋ねました。

「でも、コーチングをするときに、企業のエグゼクティブを fear か greedで動かすというのはどうだろうね? もちろん使えないものではないけれど、他にないかな?」

すると、彼女は

「うーん」

と考え込んでしまいました。

あなたは、人が動く背景には、fear と greed のほかに何があると思いますか?

好奇心は人を動かす

彼女が言うように、相手に動いてほしいとき、私たちは多かれ少なかれ何らかの方法で相手の fear か greed に働きかけているかもしれません。しかし、本当にそれだけでしょうか。そのどちらでもない第三の道はないのでしょうか。

他にもいろいろアプローチできるものはあるかもしれませんが、彼女とやりとりの際に、私の脳裏に浮かんだ一つの言葉は「好奇心」です。

好奇心が生まれると、行動が起きると私は考えます。

「どんな新しい技術を生み出すことができるだろう?」
「DXを会社の発展にいかに活かせるだろう?」
「もっと生産性を上げるには何が必要だろう?」
「早期の次世代開発を可能にするには、何が必要だろうか?」
「もっと顧客の満足を高めるために、何ができるだろうか?」

義務や強制、あるいは目の前にぶら下げられた「ニンジン」で行動が起きるのではなく、好奇心によって興味が高まり、自律的、自発的に行動が促される。そういうことがありそうです。

だとすると、リーダーにとって、部下や周りの人の好奇心をどう喚起できるかは、とても大事なことに思えます。同時にリーダーとして、自分自身の好奇心をどう高められるかも重要です。なぜなら好奇心が高まれば、自分の行動の範囲を広げ、深耕を可能にし、スピードを早めることにつなげられるはずですから。

では、どうすれば人の好奇心を刺激することができるのでしょうか。また、どうすれば自分の好奇心を高めることができるのでしょうか。

そもそも、好奇心はどこからやってくるものなのでしょう?

好奇心は「個性」ではなく「状態」である

『子どもは40,000回質問する』という本があります。この本によれば、夜星を見上げて、「あの向こうには何があるんだろう?」と思いを馳せるのは人間だけのようです。同書には、人間と他の動物との一番の違いは好奇心の有無であり、さらには好奇心こそが人間に文明をもたらした、とあります。

さらに著者は、次のように述べます。

「好奇心に関する学術研究において多くの点で見解が対立するなかで、人間の好奇心は個性ではなく状態であるという点についてはほとんど異論が見られない。つまり好奇心は環境によって大きく左右されるということだ。したがって、私たちは生き方次第で好奇心をかき立てられることも、台無しにすることもできるのである」(※)

私たちは誰かを評して「好奇心の強い人」という言い方をすることがあります。しかし、生まれつき好奇心の強い人とそうでない人がいるわけではなく、人間であればもともと誰にでも好奇心は備わっているわけです。たしかに自分自身を振り返ってみても、自分の状態、自分の在り方によって、強い好奇心がかき立てられるときと、そうでないときがあることがわかります。

不安を抱えているとき、その不安で頭がいっぱいになってしまえば、好奇心が入り込む余地はありません。いそがしいときも同様でしょう。また、人に認められることに汲々としていれば、いかに人の関心を引くかに意識がいってしまい、自分を取り巻く環境にはアンテナが立たなくなります。さらに、安心できない環境では警戒心が心の大半を占めます。

まさに、好奇心は「状態」なのです。

対話で好奇心を刺激する

好奇心が起動するためには、自分自身をある程度余裕のある状態にしておくことが重要そうです。いそがしい、心配事が多い、イライラしているといった状況では、好奇心が顔をのぞかせるのは難しいでしょう。しかし、余裕があるからといって、誰でも同じように好奇心を発揮しているかと言えば、そんなことはありません。好奇心が個性と結びつけられる風潮は、まさにそのことを表しています。好奇心は生き方次第。つまり、自分でいくらでも高めることができるのです。

では、日々の生活の中でさらに好奇心を高めるために、私たちには何ができるでしょうか?

自分自身の体験を振り返ると、私にとって一番効果的なのは自分の好奇心を刺激してくれる人と、定期的に、そして継続的に、対話を続けることかもしれません。

幸い、弊社のファウンダーは、人の好奇心を刺激するエキスパートです。彼とは、定期的に対話の時間を持ちますが、そこでは彼からたくさんの「新しい考え方」「本」「人」に関するシェア(共有)があります。彼と話していると、自分の中の「当たり前」が崩れていくのを感じます。世界が新鮮に見えて、更に新しいことを知りたくなります。

結果、自分自身の好奇心が高まった状態で、コーチングのお客様と向かい合うことになり、それはお客様の好奇心を刺激することにつながっていると感じます。そういう状態のお客様と話していると、自分の好奇心がさらにかきたてられ、二人の間で新しいストーリーが創られていくのを感じます。

こう考えると、好奇心は伝染するのかもしれません。

あなたの好奇心を刺激してくれる人は誰でしょうか?
あなたから好奇心を刺激されている人は誰でしょうか?

好奇心を高め合う輪の中にいたいなと思います。人生はきっとその方が楽しいでしょうし、仕事もうまくいくでしょうから。

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【参考資料】
イアン・レズリー(著)、須川綾子(訳)、『子どもは40000回質問する~あなたの人生を創る「好奇心」の驚くべき力』、光文社、2016年

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