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あなたの思っていることや考えていることは、最適な言葉で表現されているか?
コピーしました コピーに失敗しましたみなさんは、自身の感情を表現する言葉をいくつ持っているでしょうか?
たとえば、「喜怒哀楽」という言葉があります。喜び、怒り、悲しい、楽しいは、感情を表わす代表的な言葉といえるでしょう。
しかし、コーチ・エィのトレーニングで使う「感情のリスト」には、実に148もの感情を表現する言葉が書かれています。そのリストには、ほとんど使うことがない言葉や、見てもどういう感情を指すのかすぐにわからない言葉などがあり、普段、自分がいかに限られた言葉で感情を表現しているかに気づきます。
コンサルタントの細谷功氏「言葉は抽象化の産物である」といいます。(※)
私たちは、自分の内側で日々さまざまなことを思い、さまざまなことを考えています。そして、自分の思いや考えを表現するための言葉を選び、他者とコミュニケーションを交わします。
しかし、「言葉にする」という抽象化のプロセスで、私たちは果たして本当に自分の思いや考えを表現するのに最適な言葉を選べているのでしょうか?
こう考えると、多様な言葉をもっている人とそうではない人では、自身の内側で起こっていることを的確に表現できるかどうかに違いが生まれそうです。
言葉を探すプロセス
「自分がこうしたい、こうありたいと思っていることを、コーチに説明することで言語化できた。言語化できたので部下をはじめ周囲と共有できた」
8ヶ月にわたるエグゼクティブ・コーチングの最終セッションで、クライアントは「コーチングの価値」をこう語ってくれました。
クライアントの内側を探索し、思っていることを表現する言葉を見つけ、検証する。他の可能性をまた探索し、そしてようやく、ようやく思っていることを表現する言葉を手に入れることができる。
そんな時間を共に過ごしてきた感覚が、コーチである私にもありました。
非常に動的で、探索的、そしてリニアには進まない。
たどり着いたときに達成感すら感じるようなプロセス。
それを「言語化」と呼ぶのだと思います。
逆に言うと、自分の思っていることを表現する言葉を見つけるのは、とても時間のかかる、難しいプロセスとも言えます。
では、自分にとって最適な言葉で表現されているかどうかは、いかにしてわかるのでしょうか。
自分の言葉を見つける
前述のクライアントは「言語化できたので、自分の考えを部下をはじめ周囲と共有できた」と語ってくれました。彼が「共有できた、伝わった」と感じたのは、おそらくそれが周囲の行動として表れたからでしょう。
別のクライアントが私に語ってくれた言葉にも、ヒントがあります。
「コーポレートカルチャーの変革というと、何となく漠然として、何から手をつけていいのかわからなかったのですが、コーポレートカルチャー変革とは、仲間を増やすことである、と理解する時がありました。『仲間を増やす』という言葉を手に入れた瞬間、これまで漠然としていたものが具体的になり、イメージが湧き始めました。まるで霧が晴れるような感覚があったんです」
さらに別のクライアントは、こう語ってくれました。
「やりたいことが言語化されると、力になるんだと感じました」
自分にとって最適な言葉を見つけたとき、手に入れたときには、そんな感覚を味わうのかもしれません。
コーチング研究所による「クライアントが実感するエグゼクティブ・コーチングの効果」についてのリサーチ結果があります。
多くのエグゼクティブがコーチングを通じて実感する「ビジョンの明確化」は、まさに「自分の思っていることを表現する言葉にたどり着いた」と言えるのではないかと思います。
言語化する時間を惜しまない
私は今、上海に赴任し、中国人メンバーとともに仕事をしています。語彙の量、文化的な背景の違いなど、コミュニケーションギャップが生まれやすい要素がたくさんある環境です。だからこそ、彼らと仕事をしていると私自身の言語化がとても重要であると感じます。
ですから、私自身もコーチとの対話で、自身の思っていることを表現する最適な言葉を探し、彼らとのコミュニケーションのために常に準備をしています。
それでも、私の使う日本語の言葉を、そもそも彼らが知らないことが多いのが現実です。違う言葉に変えてみたり、中国語では何というのかを辞書で調べたり、時に英語に置き換えてみたり。双方向のやり取りを繰り返します。
興味深いのは、そのプロセス自体が、私の中の言葉の選択肢を増やすことにつながっていることです。彼らとのコミュニケーションの中で言葉が見つかり、共有できる瞬間は、格別の喜びがあります。
そのような機会が日常の中にたくさんあることに、私は心から彼らに感謝をしています。
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クライアントの言葉や自らの経験を通じて、リーダーにとって自身の思いや考えを表現する最適な言葉を手に入れておくことは、非常に重要なことだと感じます。
日常の中でも、他者とのコミュニケーションを通じて最適な言葉を手に入れることができます。だからこそ、そのための時間を惜しんではいけないのではないでしょうか。「言語化」は、リーダーにとって投資の対象です。
コーチとの対話を通じて、言語化のプロセスに取り組んでみませんか?
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【参考資料】
※ 細谷功、佐渡島庸平(著)、『言葉のズレと共感幻想』、dZERO、2022年
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