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自分自身を知り、他者を理解する

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あなたが一番最近、新しい「チーム」に参加したのはいつのことですか?

人は、人生の中でチームに参加する機会を数多く経験します。学校のクラブ活動や職場のプロジェクトチーム、地域のボランティア団体など、多岐にわたるチームへの参加は、私たちにさまざまな学びと成長をもたらします。しかし同時に、新たなチームに加わることには、不安や戸惑いが伴うものです。

私は、今年の5月から、60歳以上のメンバーで構成されるバスケットボールのクラブチームに参加しています。そのチームの平均年齢は67~68歳、最高年齢はなんと81歳です。趣味としてバスケットボールを楽しんでいるという共通点はあるものの、メンバーを誰一人として知らない、話したこともない、どんな人たちなのかもわからない、そんなチームに参加するのは、私にとって勇気のいることでした。

あなたはチームに何を求めるか

あなたは、新しいチームに参加する際に、何を求めるでしょうか? また、チームの一員として、どのようにチームに貢献しようと考えますか?

今回は、私自身の経験をもとに、新しいチームに参加する際の心構えや貢献のあり方について考えたいと思います。

この機会に、私自身が新しいチームに参加する際に求める要素を書き出してみました。

  • 所属している安心感
  • 共に成長していく仲間、助け合える関係性
  • お互いの強みを活かして、目標達成に向けて力を結集すること
  • ゴールを共有し、楽しくゴールに向かえること
  • 一緒にゴールを目指すという一体感、高揚感
  • 個人では成し遂げられない大きなゴールを達成すること
  • 自分が貢献できる場
  • 自分が刺激を受ける場

みなさんはいかがでしょうか。違う要素もあるかもしれませんが、共通する点も多いのではないかと思います。

チームに所属することは、一人で手にするものを越える満足感や達成感をもたらしてくれる可能性があります。実際に、人はそうしたものを求めてチームに所属しようと思うのでしょう。しかし、いくら可能性があるとはいえ、必ずしも大きな満足感や達成感を手にできるとは限りません。

実際に、自らが求めるものを手にするために、私たちはチームの一員としてどのような心構えで臨むべきなのでしょうか。

求めているだけではほしいものは手に入らない

私はこのバスケットボールチームで練習を始めたとき、

「早くこのチームに馴染んで、メンバーといい関係性をつくろう。認めてもらおう」

と考えていました。そこで、練習の際には、相手のプレーを活かそうと、相手のプレーに合わせる、自分のプレーは控える、という行動をとりました。

しかし、しばらくすると、コーチの役割を担っているメンバーの一人から呼び止められました。

「稲川さんがどんなプレースタイルなのかがわかりません。自分の得意なプレーをぜひ示してほしい。なぜならば、チームメンバーは稲川さんは何が得意で、どんなプレーが好きで、どのように活かせば全体のチームパフォーマンスにプラスに影響するのかがわからない。早くそのことを知りたいのです。チームに合わせるプレーをするのではなく、自分のプレーを見せてほしい」

この言葉には、はっとさせられました。振り返れば、私は自分の安心だけを求めていたのかもしれません。

このチームにおける自分の役割や責任はいったい何か、自分はどんな能力をもっていて、チームに活かすために何ができるかについて意識を向けた瞬間でした。

チームメンバーにはそれぞれ自分の役割があります。違う役割や責任を負う人々が集まっているから、チームなのです。だからこそ、誰かのため、みんなのためなど、周りのことばかり考えて行動するのではなく、自分のできることを探して行動することが大切だ。コーチからの一言は、そのことを思い出させてくれました。

チームワークに必要な能力

翻って、チームをまとめるリーダーの立場で考えると、どんな人をチームの仲間に入れたいと思うものでしょうか。

チームワークとは、他者との関わりによって創り出されるものです。関わりがなければ、チームである必要はありません。それを考えると、メンバーには「他者と関わる能力」が求められます。他者と関わる能力とは、他者を尊重する意識や、他者の話に耳を傾ける能力などが含まれます。

『人望が集まる人の考え方』という書籍に、次のような言葉がありました。

「良い人間関係とは、自分が求めているものを手に入れるのと引き換えに、相手が求めているものを与えることだ」(※)

私がチームに参加するときに求めるものがあるのと同様に、それぞれのメンバーもチームに対して求めているものがあるでしょう。また、私がチームに受け入れてもらいたいと思うように、チームメンバーも自分のことを受け入れてもらおうとしているのではないでしょうか。

そう考えると、チームがチームとしてまとまるためには、リーダーもメンバーも、お互いに求めているものや自分が何をしたいか共有しながら関係を築いていく必要があるといえるでしょう。

チームワークは双方向から生まれる

チームに新しく参加するとき、あるいはリーダーとして新しいチームをまとめていこうとするとき、私たちが最初にできることは、メンバー一人ひとりに耳を傾け、自分のことも伝えることです。

以下は、私自身が相手を理解し、良い関係を築こうとするときに、よく自分に問いかける問いです。

Q 気になっているのは誰か? その人はどういう人か? どんな特徴があるか?
Q 自分はその人と本当はどういう関係を創りたいと思っているか?
Q そのために自分には何ができるだろうか?

チームとは協力の場です。そして新しいチームに参加することは、他者と協力関係を築いていくための、自分にとっての成長の場です。

そのためには、自分自身を知り、他者を理解することが欠かせません。それがあって、初めて真のチームワークが生まれると思うのです。

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【参考資料】
※ レス・ギブリン(著)、弓場隆(翻訳)『人望が集まる人の考え方』、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2016年

※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。転載、その他の利用のご希望がある場合は、編集部までお問い合わせください。

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