書籍紹介

Hello, Coaching! 編集部がピックアップした本の概要を、連載形式でご紹介します。


『一流のリーダーほど、しゃべらない』の編集者が挑んだコーチング
すばる舎編集部 編集次長 水沼三佳子 氏

【編集者インタビュー後編】本の制作現場がコーチングで変わる

【編集者インタビュー後編】本の制作現場がコーチングで変わる

コーチ・エィ 桜井一紀の近著『一流のリーダーほど、しゃべらない』の編集を手掛けられた、すばる舎編集部次長の水沼三佳子氏。桜井へのインタビューを重ねながら、自ら職場でコーチングを実践。その体験が、本作りにどのように反映されていったのか、また、ご自身や組織をどのように変化させていったのかなどについて、著者であるコーチ・エィ 専務取締役 桜井一紀を交えて伺いました。(聞き手はコーチ・エィ広報 大谷恵)

前編 一流のリーダーになるために「とにかく黙って聞く」
後編 本の制作現場がコーチングで変わる

「変わったね、水沼さん!」

桜井へのインタビューをしていただきながら作っていく過程で、何か感じたことや、印象に残っていることなどはありますか?

水沼 桜井さんへのインタビューでは、自分が職場でコーチングを実践する中でわいてきた疑問に対して、答えをいただいていたように思います。インタビューをしながら、お話をうかがったことを実行してみて、うまくいかなかったこと、疑問をもったことなどを質問していきました。実践を通し、コーチングは効くんだ、という自分自身の実感をもちながら編集を進めていた感じです。

自分自身が「どうすれば一流になれるか」とか、「しゃべらない」をテーマに、「どうやってコーチングをやっていけばいいのか」ということを知りたくて桜井さんにお話を伺っていたと思います。

桜井 僕はそれが面白かったです。

水沼 そうですか。

桜井 はい。インタビューそのものが、すごく体験的でしたよね。スキルについて話すというよりも、「こういうときはどうするの?」「どうなるの?」といった、とてもリアリティのある会話だったなと思います。1ヶ月とか2ヶ月おきに水沼さんに会うと、その間職場でコーチングを試していて、本当に「変わった」「こういうふうに役に立った」とおっしゃっていましたからね。

水沼 そうなんです。部下との会話では、以前は私がしゃべるのが100だったとすると、それが70ぐらいに減ったな、という感じがします。私のほうが話す量が多いというのは変わっていないのですが(笑)。私が本の中で会話例などを出したかったものですから、実際に自分が職場で交わしている会話をアレンジしました。

たとえば、「どうしましょう」とよく部下に聞かれるのですが、「どうしたらいいと思う?」と言い返してみたら、また「どうしましょう」と言い出しまして(笑)。「考えます」と言った後、結構いい答えが出てきたりするんですね。ですから、本当にやってみないとダメだなぁと思いました。

私の組織はそれほど大きくはないですが、以前は完全にトップダウンでした。上司が「ああしろこうしろ」と言えば、みんなが「はいはい」と言うこと聞く感じでした。でも、「みんなで話さなければいけない」ということを、桜井さんと話す中で強く感じました。

なるほど。他にはどんなことをやってみたのですか。

水沼 今までやっていなかったミーティングを増やし、人と話す機会をいろいろと増やしました。私は、どちらかというと職人肌タイプなので、自分の殻に閉じこもってコツコツ仕事をしたいのですが、それではダメだと思い、他部署の人や、編集部の他の課の人、営業などといろいろ話すようになりました。

そうしたら、「変わったね、あの水沼さんが!」と言われるんです(笑)。「どうしたの?」「今年から違うじゃない!」と、本当にいろいろと言われました。そうなると、みんなが私に対してもつ印象も変わってくるし、全体的に組織自体が変わってきたと思います。みんながやる気になったなと思いますね。

桜井 それはすごく嬉しいですね。

水沼 私自身、コーチングをきちんと学んだり習っているわけではないので、かなり自己流の部分はありますが。エッセンスは、取り入れられているのかなという気はします。

弊社の電話会議クラスでは、コーチングについて1時間、理論をまず学んで、その次のクラスまでに実践してくるというものです。インタビューもそれと同じPDCAを回しているような時間でしたね。

水沼 そうですね。本当にそう思います。

組織に広がる変化

水沼さんだけの変化ではなくて、上司の方や他部署の方など、組織へのインパクトもあったということですが、そのあたりも伺っていいですか。

水沼 社長と私はよく話すのですが、「コーチングではお互いにいろいろと話すことが大事らしいですよ」と言っていると、社長も徐々に周囲の人と話す機会を増やすようになりました。「相手の話を聞かなければ」という意識ができてきた表れだと思います。

また、私は関連部署とより積極的に対話をするように心がけました。そのことにより、組織全体が「ものを言いやすい」雰囲気になってきたように思います。「『話せばわかる』って本当だな」ということを大いに感じますね。

職場で部下や周囲の人との関わりが変わったということですが、水沼さんご自身には変化がありましたか。

水沼 そうですね。私は、聞くのが苦手だったのですが、だいぶ「聞こう」という気持ちになりました。以前は自分に自信がなかったのか、先に自分の言いたいことを言うと、それをくつがえされたくないところがありました。でも今は「まずは聞いてみよう」という気持ちになりました。

思ったことが言える組織に

桜井 水沼さんが「聞く」ようになって、周囲ではどんな変化が起こっているのですか。

水沼 そういえば今は、みんな言いたい放題言っているかもしれません。以前は、打ち合わせをするときに、「この件、どうなってるの?」と開口一番に聞いていました。でも今は、まず「じゃ、ちょっと報告してくれる?」と言えるようになったのが自分の中では大きな変化だと思っています。たまに、一方的に話すこともありますが、私の中では以前とは姿勢が全然違うんです。

桜井 そうすると、部下の方はどんな感じになるんですか?

水沼 部下はみんな「ワーっ」と言いたいことが言えるんです。それに対して、私からダメ出しをすることも多いのですが、自分の思っていることを思いっきり言わせることができるようになってきたことで、部下にフラストレーションは溜まっていない感じがします。お互いに隠していることもないと思います。部下はダメなことも全部言ってくるので、叱ることも多々ありますが、私にちゃんと理解されているという実感をもちながら挑戦してくれていると思います。

桜井 素晴らしいですね。

水沼 桜井さんのおかげで、最近は自分にとっての理想のリーダー像に少し近づけたように思います。

マネジャー全員にお薦めしたい

この本が完成してみて改めて、どんな人に読んでもらいたいと思いますか。

水沼 プレーインググマネジャーの人。組織をとにかく前に回さなくてはいけないあまり、指示命令で部下を動かしてしまっている方は多いと思います。でも、そろそろそのやり方に行き詰まってきたと感じている方がたくさんいると思うんです。そういう方々に手にとっていただきたい。きっと「しゃべらない」ということにハッとするのではないかなと思います。

「そういえば命令ばっかりしていて、あいつの意見って聞いていなかったな」と。そんな方に、「今日だけでいいから、5分だけ相手の話を聞いてみたらいかがですか」「そこから始めてみたらいかがでしょうか」という提案ができればいいなと思います。

桜井 経営者のみなさんは「しゃべらない」という言葉を見ると、ドキッとするみたいです。先日、ある経営者の会で会った方が、言っていました。やはり、しゃべりたがりの方が多いですからね。

スピードなどを意識したりすると、多分、「指示した方が早いんじゃないか」と思いますよね。

桜井 あとは、「ちゃんとしゃべらなくちゃいけない」と、みんな思っていますよね。スピーチや、表現するための講座は世の中にいっぱいありますが、「聞く」という講座はほとんどないですからね。

桜井さんは、どんな人にどんなことが伝わるといいと思っていますか。

桜井 世の中のマネジャー全員です。マネジメントの現場で機能するのはコーチングだけではないし、ティーチングだけでもない。それがうまく組み合わさった、一つのコーチ型マネジメントのような形なのだろうと思います。

今日は、いろいろとお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

(了)

「良い質問」をする技術

『一流のリーダーほど、しゃべらない』

著 者: 桜井一紀
定 価: 紙の書籍1,620円(税込)
発行日: 2017年8月9日
出版元: すばる舎
内 容: 第1章 リーダーの9割は話しすぎている!?
第2章 まずは意識的に話す量を半分にしてみる
第3章 「教える」ではなく「考えさせる」
第4章 「話す時間」が増えると部下はどんどんやる気になる!
第5章 最終目標は「自分がいなくても回る」組織づくり


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