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相手の考えに影響を与えたいときに出来ること

【原文】How to Influence Instead of Argue
相手の考えに影響を与えたいときに出来ること
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自分を主張するのではなく、「相手のため」であることを伝える

たとえこちらがどれほど正しいと分かっていても、考え方を変えてもらいたい相手が求めているのは事実や理屈ではない。

影響を与えるというのは、相手の考え方が変わるように関わることである。それは誰かにものを教えたり、何かを強制したりすることではない。考え方に影響を与えることは、その人に視野を広げる気づきを与え、できれば選択や行動にも変化を生じさせることである。

あなたが自分の意見を主張し、相手のものの見方を変えさせようとすると、相手は間違っているといわれているように感じる。愚か者扱いされていると思うことも多い。これによって怒りや羞恥心が生じる。たとえ相手の成長や癒しの一助になりたいという思いからであるにせよ、こうした感情のせいで相手はもう聞く耳を持たなくなる。

相手の視野を広げるために影響を与えるという意図は大切なことだが、それは自分が正しい者でありたいからでも、自分の主張を聞いてもらいたいからでもなく、その人にとって大切なことを成し遂げてもらいたいからでなければならない。あなたがどんな目標を達成してほしいと思っているのか相手に伝えよう。あるいは、他の人々の考え方や行動の背後にある理由を理解できるように、別の視点から状況を見てはどうかと促してみよう。あなたの意図が相手の目標あるいはお互いの目標に到達することだと感じてもらう必要がある。言葉だけでは十分ではない。あなたの気遣いが本心からであり、あなたが自分のやりたいようにするためだけにいるのではないと信じてもらわなければならない。

以下に相手と会話を始めるためのステップを紹介する。数分もすれば、相互理解の方向に進むことができるかどうか見えてくるだろう。

数分経っても会話に何の動きもなければ、こちらの意見を話すことができてよかったと感謝し、またいつかこの話題を取り上げてもよいかと聞いてみよう。相手は話が終わった後でこの機会の価値を考え、次回はもっと心を開くようになる場合が多い。そうならなければ、可能であれば放っておこう。不動の壁を動かそうとするよりもストレスは軽くなる。

相手の視野が広がるように影響を与えるためのステップ

  1. まず、相手の立場を理解したいと本心から思うこと。相手の判断を誘導しようとするのではなく、相手の考え方に関心があると感じてもらわなければならない。
    相手を気遣い、本当の好奇心から、「あなたがこの状況をどう見ているか理解したいので、話してほしい」「話したいと思うことについて、もう少し話してみてください」「あなたがこの状況で重要だと思っていることは何ですか?」「あなたのものの見方に関して他の人たちに理解してもらいたいことは何ですか?」といったオープンクエスチョンをして、具体的に話してもらう。
  2. 話を聞きながら、相手の考えや望みがあなたが気にかけていることとどう結びつくかを探る。相手が「話を聞いてもらえた、理解してもらえた」と感じるポイント、特に二人ともそれが大切であり、望んでいることをまとめる。
  3. あなたが自分の見方を話す前に、話を聞いてもらえるかどうか相手に訊ねる。相手の話の中からお互いに望んでいることを要約したうえで、「この状況について私はあなたとは異なった見方をします。私の考えを聞いていただけますか?」と訊ねる。
    • 相手が「聞く」と答えたのに、話の途中で反論してきたら、こちらの考えを聞くつもりがあると相手が言ったことをやんわりと思い出させる。
    • こちらの考えを話したいと持ちかけたとき相手が気が進まないようなら、気乗りしないようだが、それでも話を聞きたいと思うかどうかたずねてみる。
    • 相手が断った場合、あるいはあなたの意見に興味がないことを素振りで示した場合、会話はそこで終わりである。お互いの意見が一致する可能性があるのに、それを探り出せないのは残念だという気持ちを相手に伝えよう。そして、できれば友好的な関係を維持するために相手に敬意を払って会話を終わらせる。

考え方の変化を促すためのポイントは冷静さと思いやり

相手を気遣い、敬意を払って会話を始め、その後もずっと冷静でいることができれば、相手の考え方に影響を与える可能性は高い。感情的に落ち着いた状態を保つには、こまめに立ち止まって一呼吸置くとよい。感情をコントロールする方法は、こちらのブログ「How to Manage Your Emotional Reactions(感情的な反応を抑えるには)」で紹介している。

あなたが苛立ちを感じ、自分の論点を弁護したくなり始めたことに気づいたら、ふーっと息を吐き、自分が求めているのは相手にこちらの考えを押しつけることではなく影響を与えることだということを思い出そう。そして緊張をほぐす。これによって、自分の見解が相手の視点とどう結びつくかを検討する時間もできる。あるいは、少なくともお互いにとって結果がどうなるかを思い起こすことができる。

相手の話に口を挟みたい、あるいは侮辱したいといった衝動に気をつけ、そういう気持ちが生じたらポジティブな思いを取り戻そう。

相手が攻撃的な態度をとり、そのせいであなたが心を閉ざしたり、怒りを募らせたりしていないだろうか? 相手はそのとき自分の視点や概念を否定されたと感じ、それを守ろうとしていることを念頭に置こう。こちらが落ち着いていれば、おそらく相手の感情もおさまるだろう。それでもなお態度を硬化させるようであれば、相互理解に至りそうもないので、先へ進みましょうと冷静に伝える。

できるかぎり相手の反応に巻き込まれないようにすること。こちらが落ち着いて、ゆったりとかまえ、相手にきちんと向き合っていれば、相手の考えを理解し、さらに探求するチャンスに恵まれるだろう。

心を閉ざした人を納得させることはできないが、いったん心を開いてくれれば影響を与えることができる。


【筆者について】
マーシャ・レイノルズ博士(Dr. Marcia Reynolds)は、コーチングを通して世界各地の企業の幹部育成をサポートし、実績を上げている。クライアントは、多国籍企業、非営利団体、政府機関のエグゼクティブや将来の幹部候補生である。また、世界各地で開催されているコーチングやリーダーシップに関するカンファレンスで講演し、43カ国でリーダー向けの講座を担当し、コーチングを行っている。調査機関グローバル・グルス(Global Gurus)で世界5位のコーチに選ばれ、さらに国際コーチング連盟が選出している10名のThe Circle of Distinctionの一人でもある。
医療分野でのコーチング経験も豊富で、ヘルスケア・コーチング・インスティテュートのトレーニングディレクターを務め、総合病院、クリニック、大手製薬会社などで25年にわたり数多くのリーダーにコーチングを提供している。
また、彼女は国際コーチング連盟(ICF)の 歴代5番目のグローバル・チェアマンであり、世界で最初のICFマスター認定コーチ (MCC) になった25人のうちの1人である。組織心理学の博士号、および、教育とコミュニケーション分野における修士号を取得している。
著書に、"Coach The Person, Not the Problem"(邦訳:『変革的コーチング』), "Outsmart Your Brain", "The Discomfort Zone: How Leaders Turn Difficult Conversations into Breakthroughs"などがある。

【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】How to Influence Instead of Argue(レイノルズ博士のウェブサイトCONVISIONINGに掲載された、2022年1月12日の記事を許可を得て翻訳。)


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