プロフェッショナルに聞く

さまざまな分野においてプロフェッショナルとして活躍する方たちに Hello, Coaching! 編集部がインタビューしました。


熱血型マネジメントから「コーチングマネジメント」への転換
東京海上日動火災保険株式会社 東京自動車営業第二部 兼 自動車営業開発部 部長 増田創一 氏

第2章 なぜ、コーチングマネジメントなのか? ~「目指す姿」にむけたPDCAの場~

※内容および所属・役職等は取材当時のものを掲載しています。

第2章 なぜ、コーチングマネジメントなのか? ~「目指す姿」にむけたPDCAの場~
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グーグルやヤフーなどのシリコンバレー企業だけでなく、日本国内でも、マネジメントの軸を定期的な「1対1」の面談にシフトする企業が増えている。「熱血型マネジメント」一辺倒だった増田創一氏が10年前に学び始めたのがコーチングマネジメントだった。営業チームを日本一にも導いた同氏が実践したコーチングマネジメントとは何か。また、人生100年と言われる時代に「学び続ける」とはどういうことか。東京海上日動火災で営業一筋、現在は全国営業推進役として活躍される、増田創一氏にお話をうかがった。

第1章 先輩に問われた「増田は、マネージャーとしてのスキルを持っているのか?」
第2章 なぜ、コーチングマネジメントなのか? ~「目指す姿」にむけたPDCAの場~
第3章 人生100年時代の「人の成長」とは ~ コーチングマネジメントで「自分主体」が「相手主体」に変わる

※内容および所属・役職等は取材当時のものを掲載しています。

第2章 なぜ、コーチングマネジメントなのか? ~「目指す姿」にむけたPDCAの場~

増田さんは、職場で本格的にコーチングを活用し始めます。部下と定期的なコミュニケーションを重ねることで、部下のスタンスも「自ら考え、行動する」というものに変化していきます。「日本一」の達成も、チームメンバーの一人ひとりが主体的に考え、動くようになったことによって実現できたと語ります。

「コーチングマネジメント」の良さとは、何でしょうか?

増田 「自分の目指すべきもの」に対してどうアプローチするかを、メンバー自身が自分で考え、理解した上で行動できることでしょう。

定期的にコミュニケーションすることで、仕事の進捗状況や成長が明確になるという利点もあります。

「前回の面談ではこんな挑戦をしようと決めたけど、やってみてどうだった?」といった形で、日々の進捗を聞く。すると、「こんな挑戦をしてみたら、こんな風にうまくいった」とか「挑戦したけれど、この点がうまくいかなかった」といったふうに自分の行動を振り返る。「うまくいくこと、いかないこと」をお互いに理解する時間になるわけです。

半年に一回の面談で業務を振り返るだけでは足りません。やりたいこと、やったこと、修正したいことを、頻度高く定期的に振り返り、次の行動にむけて修正して新たなトライをする。コーチングは、「目指す姿」にむけたPDCAの土台となる時間ですね。

周囲の人たちからどう見られているかのフィードバックもあると、変化や成長が見えやすくなり、自分の目指すところへの進捗状況が把握できる効果もありますね。

大切にしたいのは「業務の進捗」よりも「部下の成長」~人は、誰もが成長したい、と思っている~

日々の業務のPDCAの土台となっているのですね。コーチングの中では、具体的にどんな対話をされているのですか?

増田 一人ひとりの成長を軸に、業務をどう発展させていくかに重きを置いた対話の場にしています。「業務の進捗」よりも「部下たちの成長」に軸をおいています。

人はみな「成長したい」と思っているはず。誰にでも「評価してもらいたい」「昇格したい」という想いが、本音にあるのだと思うんですね。

そのために、自分はどうなりたいのかを、できる限り早く自分自身で見つけて「あるべき姿」「ありたい姿」を描く。

それさえ見つかれば、いま足りない点は何か? どんな業務遂行ができると良いのか? どんなアウトプット、人を巻き込む力が必要なのか? 会議の進め方や情報の共有する相手は誰か? 新しくできることはなにか? といった問いや発想が、彼ら自身から出てきます。

一人ひとりの「成長したい」「~したい」を後押し、会社という場で業務を通して成長する。仕事の業績や業務能力の向上というよりも、「人の成長」をサポートするためにコーチングを使わせていただいていると考えています。

部下の今井啓二さん

2014年には、全国の営業課支社の中で「日本一」を達成されました。日本一にコーチングが関係しているとすると何でしょうか?

増田 日本一は、メンバー一人ひとりが自発的にいきいきと仕事し成長できた証です。

全員が前向きに仕事し成長を感じることができた。そして、コミュニケーションが良い職場を作れた結果、ということなんでしょうね。

何が変わったのでしょうか?

増田 やらされ感でなく、自分も成長し、良い会社にしようと本気で思うと、「どんなお客様に喜んでもらおうか?」という発意が出てくるのではないでしょうか。

そしてメンバー同士、横のつながりからコミュニケーションが増え、情報共有もできる。互いのサポートが自然発生的に生まれ、一体感につながったんじゃないですかね。

一人ひとりのコミュニケーション力が高くなると、互いを尊重することができる。コーチングによって組織のコミュニケーションの質と量が変わる。そういう効果もありますね。

成長の過程を言葉にする

増田さんは、人事考課フィードバックの際に、部下お一人おひとりに紙にメッセージを書いて渡されるそうですね。ある方にむけて書かれたものには、増田さんの感謝の言葉やその方の成果、強み、今後の成長テーマ、今後にむけた激励の言葉が書かれていました。これを書くために、日々意識されていることは何ですか?

増田 人事面談は、考課結果を口頭で伝えるだけでは何か味気ないと思うんです。昔、ある課長から、一言二言コメントを書いたものを頂いたことがあり、自分自身が嬉しかったんですね。「自分のことを見てくれていたんだ」と。自分が上司になったら絶対にやろうと思っていたことなんです。

マネージャーになった時から、一人ひとり全員に渡しています。普段から面談しているので、内容は彼ら自身が日ごろ意識し、挑戦し、進捗がわかっていることです。一緒に成長や見てきた過程を書いているんです。

元部下と久しぶりに会った時に、昔手渡したメッセージを持っていて、「これ嬉しかったです」と言ってもらいました。紙に書いて伝えてもらうのを嬉しいと思うのは私と一緒だと改めて思っています。

人の成長意欲や、成長欲求に刺さるマネジメントの、まさに証だと思いました。

「日本一」になった時にメンバーからプレゼントされたペン。「日本一」と名前が書かれている。

(次章に続く)

聞き手・撮影: Hello Coaching!編集部

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