プロフェッショナルに聞く

さまざまな分野においてプロフェッショナルとして活躍する方たちに Hello, Coaching! 編集部がインタビューしました。


学校のつくりかた
軽井沢風越学園設立準備財団 理事長 本城慎之介 氏

第3回 「根」が伸びるにつれ見えてきたこと

第3回 「根」が伸びるにつれ見えてきたこと
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第1回 学校のつくりかた、チームのつくりかた
第2回 自分を確認して「根」を伸ばした16年
第3回 「根」が伸びるにつれ見えてきたこと
第4回 さまざまな場での経験を糧にして

連載第1回で話されていた通り、今回のプロジェクトが前に進んだのは仲間がいたから。教育の世界に足を踏み入れた当時は、それまで大事にしていた「誰かと一緒にやる」とういうコンセプトをすっかり忘れていたそうです。お話をうかがってみると、本城さんのルーツには「誰かと一緒にやる」という体験がたくさんありました。

16年前からもっていた学校のイメージ

「直根」を伸ばしてきた16年間とのことですが、具体的にはどのようなプロセスだったのでしょうか。

本城 まず「全寮制の中高一貫校をつくる」というコンセプトを前に進めてみました。すると、その過程で「そうじゃない、つくりたいのは進学校に通う子どもたち向けの寮だ!」と思うようになり、今度はそこに向けて動いていきました。すると「どうやらこれも違う」とまた別の方向が見えてきたんです。

いろいろ動く中で、「あ、これは結構確かだぞ」という部分にも出会いました。また「確かではあるけれど、これだけじゃなさそうだ」と思い、別のところもちょっと掘ってみたところ、下でつながっていたという発見があったこともあります。

そうして見えてきたのが、「幼稚園・小学校・中学校が入り混じった学校をつくる」ということです。そこが自分の立脚点になりそうだと思い、そこをもっと掘っていきたい、進めていきたいと思うようになりました。

変遷を経る中で、新しいコンセプトに出会ったということでしょうか。

本城 それが実は、楽天時代のインタビューですでに「教育を幼・小・中・高で」というようなことを話していたりするんです。

このあいだ、たまたま楽天のときの本を読んでいたら、「こんなことをこの時に言っていたんだ」という部分を発見しました(笑)

おそらく、潜在的にはずっとそういうことを考えていて、何度か口にも出していたんでしょうね。それが確信をもってはっきりと見えたのが2016年だったということなのだと思います。

新しく出会ったコンセプトというよりは、動いていたり話したりする中で、潜在的に考えていたことが表に出てきたという感じなのかもしれませんね。

本城 そういうイメージに近いと思います。この間ずっと月1回のコーチングを受けながら、その時々の取り組みを振り返りながら自分を確認していきました。そして、先ほど(第1回)お話ししたように、2016年の1月のセッションで、「学校づくりを真剣にやらないと後悔する」という想いが湧いてきました。同時に「もっと人生を面白くできるんじゃないか」という想いも強くなりました。他の人がどう思うかより、自分自身が本当に楽しんでやれるかどうかがすごく大事だと思ったのです。

根が深くなるにつれ、いろいろとハッキリしてきたわけですね。

そうですね。実はその後、コーチングを1年ほど休んでいた時期があったのですが、最近またコーチをつけ始めました。月1回くらいのペースで自分の状態を棚卸しし、確認するという作業は健全だと思います。

一人で突っ走るのか、誰かと一緒にやるか

この16年間を振り返って、ほかに気づくことはありますか

本城 実は、楽天を辞めて教育関係に入った当初、すっかり忘れていたことがあったんです。

それは、「一人でやる」のではなくて、「誰かと一緒にやる」ということです。その大切さをわかっていたはずなのに、教育関係に足を踏み入れた時、なぜかそれをすっかり忘れていました。そして一人で突っ走ってしまったんです。

スタートのときほど、一人で突っ走るのはご法度です。いかに他の人たちの力を借りるか、巻き込むか、それがすごく大事だという実感があります。

その実感はどこからくるのでしょうか。

大学時代の体験です。

高校時代の進路指導の先生が「お前みたいなやつは、新しくてまだ完成されてない場所がきっと合う。ぴったりの学校ができたから、受けてみないか」と、できて2年目の慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)を薦めてくれました。AO入試のときに、いろんなものがまだまだ工事中のキャンパスを訪れて、ワクワクしたのを覚えています。

実際に入学してみると、先輩もまだ1学年しかいませんし、サークルも何もない状態でした。いろいろなものが未整備だからこそ、まだまだこれからつくっていけるぞ、と思いました。

新しいことにチャレンジできる可能性を感じられたのですね。実際にどんなチャレンジをされたのですか。

本城 一番力を入れたのは「秋祭」という学園祭です。「三田(キャンパス)の三田祭とは違う、SFC独自の祭りにしたい」、「大学生だけではなく、地域の人たちも巻き込んだ祭にしたい」という想いで、2年生のときに仲間と一緒に立ち上げました。チームをつくっていくこと、何かをつくりあげていく面白さを強く学んだ体験です。

学園祭の立ち上げは、どんなふうに始まったのですか。

そもそも学園祭をやりたいという人はたくさんいたんです。一期生の先輩たちもやりたいと思っていたし、二期生の僕らもやりたいと思っていました。でも、具体的なアイディアや方向性がなかったので動かない、という状態でした。そこで、みんなのそうした思いを一つの方向にする動き、振る舞いをしてみたんです。

具体的にどのようなことだったのですか。

本城 まず、先輩を二人、自宅に招待しました。鍋を一緒につつきながら「こういうことをやりたいと思っているんですよね。どういうふうに進めたらうまくできるでしょうね」と相談をもちかけてみました。すると先輩も「こうしたほうがいいんじゃない?」「ああするといいんじゃない?」と意見を言ってくれて、話しているうちに「じゃあ、一緒にできるじゃない」とまとまっていきました。

スタート時点で誰かが一人で突っ走ってしまうと、他の人があとから追いつくのはたいへんです。だからスタートのときこそ、いかに他の人たちの力を借りるかが重要です。実際にはそんなに困ってなくても「困っている」「助けてほしい」と周囲に助けを求めたり、巻き込んだりしていくということを意図的にする必要があると思います。

その感覚はどのように身につけていらっしゃったのでしょうか。

本城 北海道の田舎で育っているからかもしれません。僕の育った町では、家族がいて、学校があって、その間に地域の人たちがいて、みんな一緒にいろんな活動や行事をしているんです。あとは、高校時代の寮生活も影響しています。生徒が主体となっていろいろ決めるという自治的な運営の寮で、先輩や仲間とのやりとりも多いところでした。

インタビュー実施日 2018年12月14日

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