部下などに対するコーチングの実践やセルフコーチングに使えるさまざまなツールを紹介するコーナーです。ツールをうまく使いこなして、コーチングをレベルアップさせましょう。
「1on1」に活用できるコーチングツールシリーズ(1)~ 相手を知る。自分を知る。だから対話が深まる。
2019年11月26日
近年、効果的なマネジメント手法の一つとして企業でも注目度が高い「1on1ミーティング」。
その効果を感じつつも、現場からは
「毎回の準備が大変」
「忙しいため、準備や新たな試みができず、最近マンネリ化している」
「そもそもどんなことを話し合えばいいかわからず、なんとなく雑談のまま」
という声も聞きます。
そこで今回は、「1on1ミーティング」のテーマとして、また、フォローアップとして使えるツールをご紹介します。
1on1 ミーティングが、「深まらない」「広がらない」「盛り上がらない」と思ったら、ぜひツールで新しい風を!
マンネリ化防止はもちろん、最初から使って「1on1 ミーティング」をロケットスタートさせるのにも最適なツールを、全3回でご紹介していきます。
初回のテーマは、こちら。
「1on1」に活用できるコーチングツールシリーズ(全3回)
(1) | 相手を知る。自分を知る。だから対話が深まる。 |
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(2) | 「1on1」のその後をサポート!だから対話が続く。 |
(3) | 「1on1」に新風を!だから対話が広がる。 |
相手を知る。自分を知る。だから対話が深まる。
あなたは部下のことをどのくらい知っていますか?
たとえば、あなたの部下は今、
- どんなことが一番の関心事でしょうか?
- どんなスキルアップの課題を抱えているでしょうか?
- どの業務(仕事・案件)に最もやりがいを感じているでしょうか?
そして、
- これらのことについて、本人は自分でどう思っているでしょうか?
いかがでしょう?
案外、つきあいの浅い部下とは、こうしたことを自然と話し合ったりするものです。一方、長くつきあいのある部下ほど、なんとなくわかったつもりになりがちかもしれません。
しかし、人も状況も変わるもの。
にも関わらず、知っているつもり、わかっているつもりになっていないでしょうか?
相手の「今」を知れば、自然と興味・関心がわき、相手に合わせてもっとよくサポートできます。必要なのは、相手の情報についての「アップデート」です。
とはいえ、いきなり聞くのはなかなか気まずいもの。そこで活きてくるのが、「1on1」という場であり、ツールです。
ちなみに、情報のアップデートが必要なのは、何も上司だけではありません。実は部下自身にとっても重要です。
なぜなら、忙しい中、自分の変化や現状について、本人も気づいていない、言語化できていないことは少なくありません。自分のことを改めて知る、そして考えることは、部下にとっても「発見」の機会となりうるのです。
ということで、今回は、部下について改めて知る、そして、部下の情報をアップデートするためのツールを3つご紹介します。
部下の仕事を俯瞰する
① 仕事に関する質問10(Test.jp 内「コーチヴィル」より)
「就労時間中にあなたが最も時間を割いている上位5事項を挙げて下さい」
「仕事上、 最も困難でストレスとなっていることは何ですか?」
「仕事上、最も満足のいく要素は何ですか?」
など、仕事に関しての発見を促す質問がリストになったこのツール。
仕事上の時間の使い方やストレス、やりがい、スキルアップテーマなど、普段なんとなく漠然としたままにしていることをはっきりさせることで、対応や次のステップがはっきりしてきます。
次の「1on1」の時間までの宿題にすることもできますが、「1on1」のテーマとしてこのツールを間に置いて話し合うのもお薦めです。
たとえば、まずは自分で取り組みたい、じっくり考えたいタイプの人には宿題として、
話し合うことでいろいろを発見が進む、または忙しさなどから宿題には取り組みにくそうなタイプ・状況の人とは「1on1」の中で扱うなど、相手に応じた活用をすると効果的です。
部下自身の現状を知る
普段の部下との会話は、どうしても「仕事」「業務」に関するテーマになりがち。それに対して、「部下自身」に焦点を当てられるのが「1on1」の意義でもあります。
とはいえ、いきなり自分のことを話して!と言われても、部下からすれば、なかなか難しいもの。
そこで活躍するのがこの「クライアント自身に関する質問10」です。
② クライアント自身に関する質問10 (Test.jp 内「コーチヴィル」より)
このツールでは、
「自分自身について最も関心のある事/心配な事を上位3つ挙げて下さい」
「あなたの最大の長所は何ですか?その理由は?」
「自分の習慣の中で、あなたが自分自身最も嫌だと思っているものは何ですか?」
などを質問することで、部下自身の現状を明らかにしていきます。
わかっているようで案外わかっていないのが自分のこと。
自分について改めて考え、棚卸しすることで、部下本人にとっても重要な発見があるかもしれません。
部下のリソースを知る
③ クライアントの背景に関する質問 (Test.jp 内「コーチヴィル」より)
達成したこと、失敗から学んだことなど、部下がここまでに得てきた「リソース」についてあなたはどのくらい知っているでしょうか?
普段から部下をよく見て、コミュニケーションをとっていれば、部下の「現状」や「今後」についてはある程度理解できるかもしれません。
しかし、部下の過去・背景については、本人に聞くしかありません。
そこで役立つのが「クライアントの背景に関する質問」です。
このツールでは、
「いままであなたが達成したことの中で、最も満足のいく上位3つのものは何ですか?」
「あなたはどのような失敗を経験し、それが現在のあなたの言動にどのような影響を与えて いますか?」
「過去10年間で、他人や人生に対するあなたの態度はどのように変化しましたか?」
などの10の質問を通して、部下自身の経験や学びを明らかにし、上司にとってはもちろん、部下本人にとっても、意識していなかった「リソース」を掘り起こす機会とすることができます。
自分自身について知る
いかがでしたか?
最後に、こうしたツールをより効果的に使うためのポイントをひとつ。
それは、まず上司であるあなたも自分自身についてこれらのツールに取り組んでみる、ということです。
なぜなら、人は自分を基準にしがちなため、部下について「きっとこうに違いない」と思うこと、それは往々にして自分自身の今や経験の反映である場合が少なくないからです。
まず、自分について知ることで、相手との違いをきちんと認識、尊重することができます。それにより、相手のことを理解し、受け入れやすくなるのです。
さて、今回は相手の情報を最新にアップデートするためのツールをご紹介しました。
次回のテーマは、「1on1のその後をサポート!だから対話が続く」です。
「1on1」で話し合ったことを行動に移しやすくするためのサポートツールをご紹介します。「1on1」に活用できるコーチングツールシリーズ(2)~「1on1」のその後をサポート!だから対話が続く。>>
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