部下などに対するコーチングの実践やセルフコーチングに使えるさまざまなツールを紹介するコーナーです。ツールをうまく使いこなして、コーチングをレベルアップさせましょう。
「1on1」に活用できるコーチングツールシリーズ(3)~ 「1on1」に新風を!だから対話が広がる。
2019年12月10日
せっかく「1on1 ミーティング」の時間をとっているのに、
「結局、いつもの業務相談とあまり変わりがない...」
「いろいろ試みるものの、あまり話が深まらない、広がらない...」
「何か新しいテーマに取り組みたいが、いきなり持ち出すのも躊躇がある...」
こんな想いを少しでも抱えているとしたら、そんなときこそ「ツール」の出番です。
ツールを間に置くことで、いつもとは違った切り口を「1on1 ミーティング」に持ち込みやすくなります。
そこで、シリーズ最終回の今回は今までとは違うテーマ設定ができるツールを3つをご紹介します。
「1on1」に活用できるコーチングツールシリーズ(全3回)
(1) | 相手を知る。自分を知る。だから対話が深まる。 |
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(2) | 「1on1」のその後をサポート!だから対話が続く。 |
(3) | 「1on1」に新風を!だから対話が広がる。 |
なお、こちらのツールは、すでにはじめている「1on1」のマンネリ化の防止・打破にはもちろん、「1on1」をこれからスタートする際の棚卸しツールとしても役立ちます。
ツールを味方にして、ぜひ「1on1」に新しい風を吹きこんでみてはいかがでしょう。
成長・成功につながる「習慣」を扱う
毎日の10の習慣 (Test.jp 内「コーチヴィル」より)
成長と成功をもたらすものの一つに、いい「習慣」の積み重ねがあげられます。
日々の効果的な取り組みや行動を明らかにし、それを習慣化(継続)し、成果に結びつけるまでをフォローするのがこのツールの狙いです。
はじめに、これまでの成功体験や調子のいい日の過ごし方などをヒントに、ハイパフォーマンスを発揮する土台となっている習慣を10個洗い出します。
たとえば、「1日のはじめに計画する時間を持つ」「1日の終わりにその日の振り返りと次の日の計画をする」「1時間に1回は短くリフレッシュタイムをとる」といったものがあげられるかもしれません。
そして、それを習慣化すべく、まずは1ヶ月間取り組み、実行できた日にはチェックをつけます。合わせて、その期間に達成したことや成長したことを、そのたびに下の表に書き留めていきます。
1週間ごと、また1ヶ月ごとに振り返り、10の習慣と成功・成長の関連性を検討し、必要に応じて、10の習慣をバージョンアップ、入れ替えしていきます。
「1on1」では、主に、次のような関わりを持つといいでしょう。
- 「10の習慣」を洗い出す
習慣の洗い出しをを一人で取り組むと、どうしても一般論や「べき論」になりがちです。「その人らしさ」に目を向けるのが、ここでのコーチ(上司)の役目です。 過去の成功体験や普段の観察を材料に、その人にとって、重要かつ効果的な習慣を特定・計画できれば成功です。 - 「10の習慣」の継続をサポートする
新しく決めた習慣を「続ける」というのはなかなか難しいもの。リマインドしてくれる存在と機会が重要です。また、実行できないことが続くと、一気にやる気がなくなってしまいます。必要に応じて、早めに声がけをする、取り組む数を見直すなど、臨機応変なサポートが必要です。 - 「10の習慣」のバージョンアップや入れ替える
実際の成功・成長との関連性から必要に応じて、習慣の内容を一緒に再検討します。
テーマにバリエーションをもたせる
あなたは毎回の「1on1」をどのように始めているでしょうか。
もしかしたら、相手にテーマの希望を聞いて、すぐ、それについて話し始めていませんか?
その場でパッと出てくる、また用意されたテーマは、すでに本人も普段から意識しているテーマです。もちろん、それを他者と話し合うことで得られることも多いのですが、一方で、改めて他者と話し合ったり、集中して考える時間を持つことで、はじめて発見できるテーマもあります。そして、それこそが、「1on1」で扱うべきテーマとなる可能性が高いのです。
そこで、オススメなのは、扱いたいテーマやゴールを複数聞いてみること。
そんなテーマの棚卸しをサポートしてくれるのが、このツールです。
取り組みたい項目リスト20 (Test.jp 内「コーチヴィル」より)
このツールでは、まず、取り組みたいことを20個書き出します。
そうやってしぼり出すうちに、本当に大切なことやさまざまなテーマに共通する課題、また、普段はなかなか取り組みにくいテーマなどが出てきます。
テーマを洗い出すときに、出てきやすいのは「緊急」のテーマです。しかし、それは放っておいても自然と取り組みます。
「1on1」で取り組みたいのは、むしろスキルアップや長期的なゴール設定などといった、重要であるにも関わらず、緊急でないがゆえに後回しにされがちなテーマです。
とはいえ、大事なのは本人の意志。どのテーマを扱いたいかを決めるのは本人です。
くれぐれも、上司のほうから、「これを話そう」と特定のテーマに飛びつくことがないよう、棚卸ししたあとには、「どのテーマを扱いたいか」を本人と確認するようにしましょう。
理想の1日をえがいてみる
最高の1日について (Test.jp 内「コーチヴィル」より)
このツールでは、思いきりポジティブ、そして欲ばりになって、自分が最高のパフォーマンスを発揮し、気分も最高にいい、そんな「最高の1日」を想像して書き出します。
最高の、そして理想の1日を描くことで見つかる今とのギャップ。そこに変化の種を発見することができるでしょう。
また、理想の状態を描くことで、そこに近づきたい、実現したいというモチベーションにもつなげることができます。実際に言語化してみると、案外実現できるかもしれないと、ポジティブな思考が強くなるかもしれません。
時には、少し遊び心のあるこんなワークに取り組むことで、視点を変えたり、無意識のうちの「制限」を外し、楽しさやより高い目標・チャレンジについて一緒に考えていくことができます。
いかがでしたか?
今回ご紹介したツールが、あなたの「1on1」に新しさと楽しさを提供できれば、幸いです。
オススメしたいのは、使うツールは、まず自分自身で取り組んでみること。自分が体験しておくことで、部下と話し合うときに、より高い関心とより多くの視点を持って向き合うことができます。
ぜひ試してみてください。
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